「韓国に学べ」という論調の記事や書籍を目にすることが増えた。メリハリのある投資と現地化重視の人材育成、デザイン性を高めた製品で知られるサムスン電子、80年代の日本の自動車メーカーを彷彿とさせる現代自動車─。こうした企業から学ぶべきことも少なくないが、それ以上に学ぶべき点が多いのが韓国の電子政府への取り組みだろう。2010年3月22日には原口一博総務大臣が訪韓し、韓国の電子政府・電子自治体の運営状況を視察。日韓の協力体制に関する覚書締結に向け、両国の合意が図られたほどだ。 もともと韓国は1990年代初めまで、日本に範をとって行政の仕組みを構築していた。ところが経済危機などをきっかけに、電子政府へと大きく舵を切った。今では住民票を個人が自宅のパソコンで取得できる、所得税の申告は税務署から送られてくる計算結果を承認するだけ、といった高度な電子政府を実現している。今後は住民票そのものをなくす方向だ