2016年8月12日(金曜日) (はじめに) 日銀が2%の物価目標を掲げて量的・質的金融緩和(QQE)をスタートして間もなく3年半になるが、今年6月時点の消費者物価(除く生鮮食品)の前年比は-0.4%だった。もちろん、これには原油価格急落の影響が大きく、今後エネルギー価格のマイナス寄与が縮小して行けば、年度後半にも消費者物価はプラス領域に戻るとみられており、直ちに「デフレへの逆戻り」を心配する必要はない。 とはいえ、①日銀が物価の「基調」を示すとしてきた生鮮食品とエネルギーを除いた消費者物価(「日銀版コア」)の前年比は昨年末の+1.3%から足もと+0.8%まで低下しており、②同コアは、円高に伴う食料品価格の上昇率低下から今後も低下を続ける可能性が高いこと、さらに③後述するように賃金のベースアップ率も頭打ち方向にあることを考えると、2%目標が近い将来に達成されると期待することは難しくなってい