緑色蛍光タンパク質(GFP)が入った試験管(右)を手にする発光生物学者の下村脩博士(平成19年10月、東京都内) ■定説覆す仕組みを解明 生命科学に画期的貢献 ホタルなどの生物が作り出す光は神秘的で、多くの謎に包まれている。この生物発光の研究で先駆的な業績を挙げたのは米国在住の下村脩博士だ。1960年代にクラゲから緑色蛍光タンパク質(GFP)を発見。これを標識に使うことで、生きた細胞内で物質の動きを観察できるようになり、生命科学の研究に革命的な進歩をもたらした。(長内洋介) 1961(昭和36)年夏。留学先の米プリンストン大から実験器具を車に積み込み、約5000キロ離れたシアトル北部の臨海実験所へ向かった。沿岸を漂う「オワンクラゲ」が放つ光の謎を突き止めるためだ。 オワンクラゲは、おわん形の傘(直径10〜20センチ)の縁が緑色に光る。ホタルに代表される生物の発光現象は当時、ルシフェリンとい