新潮社 2008年12月 こういうタイトルではあるが、実際には幕末から明治10年ごろまでを論じている。明治のはじめは幕末と連続したものであり、そこを断絶したものであるように装う明治維新などという言葉を俺は断じて認めない、そういう半藤氏の主張を込めている。長岡の出自である自分としては、勝てば官軍で勝った側が捏造した薩長史観(それすなわち皇国史観でもあると)には断固反対であるということである。 明治をどうみるかについて、司馬遼太郎史観と山田風太郎史観というようなことがよく言われるが、明らかに山田風太郎史観の側の本となっているように思われる。わたくしは司馬遼太郎の小説はほとんど読んでいないのに(エッセイはある程度読んでいるが)、山田風太郎のものは結構読んでいるから、公平な判断ができるとは思えないが、自分は山田史観側であると思う(司馬遼史観対山風史観というのだそうである)。 話はペリーの来航から始