静岡県と山梨県にまたがってそびえ立つ日本最高峰の山、富士山。その美しい円錐形の山容は多くの人を魅了し、芸術の分野などにも大きな影響を与えてきた。しかし、富士山には「もう一つの顔」がある。過去に何度も噴火を繰り返し、人々に恐れられた火山としての顔だ。3月末公表の「富士山火山避難基本計画」の策定に尽力した火山噴火予知連絡会の元会長で、現在は山梨県富士山科学研究所の藤井敏嗣所長に、富士山噴火の可能性や想定される被害について話を聞いた。(聞き手:飯田和樹/撮影:殿村誠士/構成:安藤智彦/Yahoo!ニュース オリジナル 特集編集部) 富士山が最後に噴火したのは、江戸時代の1707年のこと。富士山の南東斜面に新たな火口を開けた「宝永噴火」と呼ばれるこの有名な噴火は、山麓の村々はもちろんのこと、当時の江戸にまで火山灰を降らせた激しいものだった。しかし、これ以降、現在に至るまで富士山は表向き静穏な状態を