本シリーズの第1回では地域の現状と課題を、第2回では島根県・浜田市の現状と文化資本「神楽(かぐら)」を紹介した。第3回目となる今回は、浜田市の実際の取り組みを見ていくことにしよう。 4.デジタルコンテンツ化の狙いと地域文化資本の意義 前回の「3.浜田市の現状と2つの資本」のように、まずはデジタルコンテンツ化して、神楽の文化財のアーカイブを作る。それは単に高精細なデジタル写真を残すだけではなく、その歴史的文化的な解説などメタデータも完備する。さらには、それぞれの歴史的区分や工房別作者別の作風などの検証を行い、それを分類・整理する。このような学術的な裏づけや分析を行いながら、神楽の文化体系を確立したいと考えるのである。 これらによって、石見神楽の文化体系や構造を明確化・検証することを通じて、浜田市の文化アイデンティティがより強められると考えられる。日常的なもの、身近にあるものが、外からの評価に