※ 対談その1:日本の知識人は、なぜ「日本回帰」するのか 「左」の力はなくなったのか? 山折:竹内さんは、読売・吉野作造賞を受賞した『革新幻想の戦後史』の中で、戦後の左翼的雰囲気と、進歩的知識人について描いています。雑誌に連載している段階から、批判もあったと思うのですが、実際はいかがでしたか? 竹内:最初は、左のほうから批判がたくさん来ると思っていましたが、以外となかったですね。ただ、酒の席で悪口を言われていることは、何となくわかりました。特に東大教育学部の流れの人たちが、苦々しく思っていると聞いたことがあります。 今の時代に、もう左の力はなくなったと言えなくもないですが、ある意味、かえってうっすらとした、革新の感情はあるような気がします。 山折:左の反発が弱かった背景には、時代の変化もあるのでしょうが、やはり先生の論文に説得力があったということでしょうね。 竹内:というより、日本の知識人