●オーケストラの内側を語った案内書はこれまでにもあった。しかし当のオーケストラの事務局が編者となって書かれた本はそうそうないのでは。「オーケストラ解体新書」は読響事務局による渾身の一冊。コンサートがどうやって作られるのか、名指揮者たちが音楽を生み出す現場の様子、楽団員はどんな日常を送りなにを考えているのか等、音楽ファンが知りたいと思うことがぎっしりと詰まっている。 ●なんといっても事務局という内側からの視点がふんだんに盛り込まれているのがおもしろい。世間の多くの人はオーケストラ=プレーヤーと思いがちなんだけれど、実際に楽団を運営するのは事務局の人々。演奏会の企画立案から出演者との交渉、楽器運搬の手配もあれば、チケット販売から助成金獲得まで、膨大な仕事がある。そんな様々な背景や裏話のひとつひとつがおもしろく読めて、なおかつその向こう側にある楽団の持つ志みたいなものが伝わってくるのが本書の魅力