<解説> 独立行政法人「GPIF」が運用する公的年金の積立金が二〇一六年四~六月期も損失を出す見通しとなった。短期の損失以上に問題があるのは、情報公開の姿勢。例年、七月上旬までに発表する前年度の運用実績を今年は参院選後の二十九日に先送りした。うそはついていなくても、政府は国民に伝えるべきことを伝えていない。 本紙は二日、GPIFホームページの「よくあるご質問」への回答から一部の文言が株式比率の拡大後に削除されたと報じた。気になったのが「積極的な運用はより大きなリスクを取ることが必要で市場変動の影響をより大きく受ける。リスクは最終的に加入者が負担する」の部分だ。誠実な文章で、これを削除したことに問題の本質がある。株で収益を得るメリットの裏には市場が荒れたときのデメリットがあるからだ。