ときどき,私が「ダイオキシンはほぼ無毒です」と言うと,「ケシカラン!」と罵倒されたり,「もう少し丁寧に言えっ!」と怒られたりする. 日本で一人の患者さんも無いのだから,「毒物」というのは無理なような気がするが,ダイオキシンとなると日本人は何で,そんなに感情的になるのだろうか? マスメディアも,人体にたいするデータが出ていないときに,あれほどダイオキシンが猛毒だと報道したのだから,訂正報道をするぐらいの勇気が欲しい.それが「報道の魂」というものだ. 「訂正報道をしなくてもよい」という意見には,「WHOにこう書いてある」などというのがあるが,反論にはならない.WHOは学問を扱う機関では無いし,事実を報道するのがマスメディアというものだからだ. その意味で,「ダイオキシンが人々に不安を与えている原因」はまさに「科学の力の弱さ」にある.いまや科学はすっかり社会や国連,環境運動家の下に敷かれている.