人間の身体を清浄なものと思いこむことは、即ち悪魔(煩悩)につけ入る間隙を与える愚劣なる思考であるということは前号で解説したところですが、今回は人間の感覚器官の制御についての考察を試みてまいりましょう。人間の本来を忘却させ感覚器官の制御を機能させないとする行為もまた悪魔のよく好むところなのですから。 人間は、眼、耳、鼻、舌、身、意の六感覚器官をつかって、色、音、香、味、触、法の六つを識別認識して活動しています。これは仏教の基本的な用語となりますから、注意深く認識しておいてください。“私”と言う存在はこの六感覚器官を介しで私”以外の外界を認識していきます。外の世界に通じるために開かれた窓口のようなものです。さて、この眼耳鼻舌身意の六感覚器官のうち意をのぞけば、これら器官から人手できるのは極めて制限された情報ということになります。 ここにある物象があったとしましょう。眼は物象の形、色(光)しか判