がんは、現在も日本人の死亡原因の30%を占め、年間40万人が新たに診断され、24万人が死亡しています。 がんを撲滅することは、多くの医者、科学者の大きな夢のひとつであり日夜多くの研究がされています。 本稿では3回にわけて、基礎医学研究者の立場からがんについて現在までにわかっていることについて、がん細胞が身体のなかでどのようにしてできてくるか、そして得られた基礎的知見にもとづいて、治療に向けてどのような研究がすすめられているかなどにについて説明したいと思います。 なお、がんについては、病理学的、臨床医学的研究など、多くの専門領域から膨大な研究がされております。本稿で触れるのは、その中でも分子レベルからみたがん研究のごく一部を紹介するにすぎないことをあらかじめ付け加えさせていただきます。 第1回:がんは1個の細胞から 小児がんなど一部のがんをのぞいて、がんに羅患する率は加齢に伴って増加し