不慮の事故について、小児科医で緑園こどもクリニック(横浜市)院長の山中龍宏さんに聞きます。(聞き手・萩原隆史) 身の回りの製品による事故の中には、その製品の性質を知っているかどうかが予防のカギになる場合が少なくありません。 ある夜、生後2か月の男児を床に寝かせた母親が、同じ部屋で爪のマニキュアを落としていました。男児は12時間以上寝ていましたが、起きた時には母乳を吸う力が極端に弱くなっており、嘔吐(おうと)も繰り返しました。 様子がおかしいため医師に診てもらったところ、血液検査などからアセトン中毒と診断されました。アセトンは有機溶媒の一種で、マニキュアを落とす除光液に含まれていたものです。 揮発しやすい液体ですが、蒸気は空気の2倍も重く、低い場所にたまります。つまり、床で寝ていた男児はアセトンを含む空気を一晩中吸っていたことになります。男児は入院後回復し、4日で退院できましたが、大量に吸え