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屍者の帝国 作者: 伊藤計劃,円城塔出版社/メーカー: 河出書房新社発売日: 2012/08/24メディア: 単行本購入: 43人 クリック: 1,717回この商品を含むブログ (191件) を見る 病床の伊藤が行動記録クリーチャーのフライデーを使って書いた絶筆。その意味で、本書は現実を模倣するものでもある。 伊藤はぼくの関心をかなりなぞっているし、今回も意識の話だというのは聞いていたけれど、まさかまったく別のぼくの関心のほうまで拾ってくれるとは思わなかった。バロウズの座右の銘:Language is a virus from outer space. あるいはもっと正統SFファンなら、アミガサタケの話とでも言おうか。ありがとう。でもそれを核に据えたために、本当の創発的な意識のあり方についての考察が迂回されてしまったのは、ちょっと残念。が、一方でゾンビというものについて、非常におもしろい説
屍者の帝国 伊藤計劃×円城塔 | 河出書房新社 円城塔インタビュー詳報:故・伊藤計劃との共著「屍者の帝国」を完成させて− 毎日jp(毎日新聞) 屍者の帝国 作者: 伊藤計劃,円城塔出版社/メーカー: 河出書房新社発売日: 2012/08/24メディア: 単行本購入: 43人 クリック: 1,717回この商品を含むブログ (182件) を見る 「屍者の帝国」において、ザ・ワンは人間の意志は「菌株」により生じると言った。屍者化の技術は、人間を不死化する技術ではなくその「菌株」を不死化する技術であるという。なるほど、それならば生者と屍者の意識が連続でない理由も頷ける。しかし、人間以外に感染しない「菌株」は人間が存在する以前はどこに存在したのだろうか?ザ・ワンは言う。「菌株」で納得出来ないならば「X」とし、任意の言葉を代入しろと。屍者の帝国において人間の意識、そして屍者を作り出した「X」とは何なの
屍者の帝国 作者: 伊藤計劃,円城塔出版社/メーカー: 河出書房新社発売日: 2012/08/24メディア: 単行本購入: 43人 クリック: 1,717回この商品を含むブログ (191件) を見る「屍者の帝国」には実に沢山の情報が詰め込まれている。史実だけでなく、他のフィクションを下敷にしたものも多い。 元ネタを気にせず読んでも充分に楽しめるだろうが、背景を知るともっと楽しくなると思うので用語集を書く。 順次解説してゆくが、必然的に記事が長くなることと、ネタバレを含むことに配慮して分割執筆の上目次を独立させた。リンクされる時は各記事ではなくこのページを示されることをお薦めする。 プロローグ 第一部 I II、III IV、V VI、VII VIII、XI 第二部 I〜IV V〜VIII 第三部 I〜V VI〜エピローグ なお、この用語集の書き手は近代史もアジア・ヨーロッパ情勢も宗教も門外
屍者の帝国 作者: 伊藤計劃,円城塔出版社/メーカー: 河出書房新社発売日: 2012/08/24メディア: 単行本購入: 43人 クリック: 1,717回この商品を含むブログ (191件) を見る 読んだ。 うーん……。どうだろう。 非の打ち所ない名作、ではなく、 歴史に刻まれる奇書、ぐらいかな……。 わりと複雑な思いはある。 0. まず、伊藤計劃が完成させることができなかった未完の小説を、円城塔が引き継いで完成させた、ということ。 “ディファレンス・エンジン”を読むときにあれがギブスンとスターリングの合作だということは知ってても知らなくてもあまり影響ないように思うけれど、“屍者の帝国” を読むにあたっては、ふたりの作家によって生み出された経緯を知っておくことは不可欠だと思う。 屍者制御技術/ネクロウェアによって屍者を使役するという作中の設定は、この小説がどのように書かれたのかということ
屍者の帝国 作者: 伊藤計劃,円城塔出版社/メーカー: 河出書房新社発売日: 2012/08/24メディア: 単行本購入: 43人 クリック: 1,717回この商品を含むブログ (182件) を見る はじめに 屍の帝国のみならず、以下に示す伊藤計劃と円城塔作品についても言及しています。伊藤計劃作品である虐殺器官、特にハーモニーは重要なネタバレを含んでいます。円城塔作品は言及にとどめていますが、未読で気になる方はご注意下さい。 伊藤計劃 虐殺器官 ハーモニー The Indifference Engine From the Nothing, with Love 円城塔 Self-Reference ENGINE オブ・ザ・ベースボール つぎの著者につづく これはペンです 道化師の蝶 松ノ枝の記 ハーモニーの先へ フランケンシュタイン*1の話だ。ワトソン君*2の話でもある。 死体の脳内に電気刺
いまさら説明するのも野暮なほど有名になってしまった感があるが、今は亡き伊藤計劃が書いた30枚ほどの遺稿『屍者の帝国』をその盟友である円城塔が物語を書き継ぎ、完成させたものが本書である。本書は出版される敬意そのものが極上の物語であって、物語を読む前に物語が出来上がっていることも話題を盛り上げている一因になっているし、当然読みもそのようなメタ的な情報を含んだものになる。 さてはて実際の出来はといえば、これがまた凄い。プロローグには伊藤計劃が書き残した30ページほどがそのまま使われており、その後に円城塔先生が書いた『屍者の帝国』が続く。文体は「長い物語」を語る方向へ変化しているものの、円城塔らしさもまた残されている(この辺はまたちょっと微妙なんだけどね。後述)。まあ、どんなに消そうとしても現れてしまうものこそがその人固有の文体というものだろう。 元々伊藤計劃先生と円城塔先生の物語の作り方、文体ま
→目次 第一部 I Rebooting… フライデーの汎用ケンブリッジ・エンジンと拡張エディンバラ言語エンジンの起動。 ラジャバイ時計塔 1874年に開校したばかりのボンベイ大学(現ムンバイ大学)図書館入口に付随する時計塔。英国の建築家ジョージ・ギルバート・スコット設計によるゴシック・リヴァイヴァル様式の建物で、塔の完成は1878年。ワトソンが目にしているのは恐らく落成直後のものだろう。→Rajabai Clock Tower - Wikipedia, the free encyclopedia 準筆記体 英字で筆記体といえば1単語をほぼ一筆で書くための変体アルファベットだが、漢字に於ける草書もまた筆記体と呼ばれ、準筆記体という表現は行書を指すものであるようだ。アルファベットとして準筆記体に相当するものを見付けられなかったのだが、フランケンによる清書速記のために生み出された書体なのか、ある
ネタバレになるので、ひとまず既に発表済の伊藤計劃遺稿分のみ。 →目次 プロローグ I ウェストコート 三つ揃えのスーツに於いて上着の下に着る袖なしのベスト。→Google:画像:ウェストコート ウェイクフィールド 英人名だが、1878年当時に20歳前後となる著名人に該当なし。現実とのリンクなしか。1888年生まれの怪奇小説家ハーバート・ラッセル・ウェイクフィールド、あるいは1835年発表のナサニエル・ホーソーンの小説に登場する「20年間行方をくらませた男」?いずれも年齢は合わない。追記:「ディファレンス・エンジン」に定量犯罪学担当次官としてアンドルー・ウェイクフィールドなる人物が登場する。作品の性質上オマージュの可能性は高そうだが、19世紀中頃時点で既に初老のようで、こちらも年齢は合わない。 黄燐マッチ 「どこにでも擦って着火できる」マッチとして頭薬に発火性の強い黄燐を用いたマッチ。183
伊藤計劃×円城塔「屍者の帝国」を読み終えた。 屍者の帝国 作者: 伊藤計劃,円城塔出版社/メーカー: 河出書房新社発売日: 2012/08/24メディア: 単行本購入: 43人 クリック: 1,717回この商品を含むブログ (158件) を見る 夭折した伊藤計劃の遺作、わずか30ページほどの書き出しと未完の構想メモを元に円城塔が書き継いだ「合作」。時は19世紀末、産業革命華やかなりし倫敦から話は始まる。日本で言えば江戸幕府が終焉を迎え、文明開化の真っ只中。丁度この時期のこの場所から、ウィリアム・ギブスンとブルース・スターリングはスティームパンク小説を合作したが、奇しくも同じ時代の同じ場所で同じ合作の形を取った本作もまた、「現実には存在しない技術が花開いた別の世界線」を描いている。そこにはディファレンス・エンジンに描かれるような解析機関の織り成す機械情報化社会までもが存在するが、その礎を成す
「物語とは厄介なものです。ただ物語られるだけでは足りない。適した場所と適したときに、適した聞き手が必要なのです」(単行本p.133) 19世紀後半。フランケンシュタイン博士が開発した、死体の脳への疑似霊素書き込み技術により製造される「屍者」は、安価な労働力および兵力として全世界で広く活用されていた。医学の道を志す若きジョン・ワトソンは、英国外務省からの極秘任務を受けてアフガニスタンに派遣される。カラマーゾフ家の四男アレクセイがそこで「屍者の王国」を創ろうとしているというのだ・・・。 伊藤計劃が遺した冒頭部分をそのままプロローグとして取り込み、円城塔がついに完成させた傑作長篇。単行本(河出書房新社)出版は、2012年08月です。 「物語による意味づけを拒絶したなら、わたしたちは屍者と変わるところがなくなるだろう」(単行本p.85) 「生者が屍者と異なるのは、自分自身の行動を自分の意思によるも
2012年08月28日19:30 カテゴリ書評/画評/品評Art Fleshpunk - 書評 - 屍者の帝国 出版社より献本御礼。 屍者の帝国 伊藤計劃×円城塔 これ、もしかしてラノベ? 「夭逝した鬼才の遺志を、芥川賞作家が継いで完成させた」というメタデータはあえて無視して読んでいい。なにこれ普通に愉しめる。そうやって一通り作品そのものを愉しんでから、「元ネタ」や「アラ」を探す「つっこみ読み」をして二度美味しい。 コラボフィクションとしては、最高の一作ではないか。 本作「屍者の帝国」は、「ハーモニー」を遺して亡くなった伊藤計劃と「道化師の蝶」で芥川賞を射止めた円城塔の合作。 というと、なんか読む方も身構えてしまうが、ノンフィクション風のタイトルを付ければ「もし産業革命の原動力が蒸気機関ではなくゾンビだったら」となる。「もしIT革命が半導体ではなく蒸気機関でなされたら」というのが「ディファ
忘備録代わりにまとめました。拙のツイートはハッシュタグ #屍者の帝国 さえ機能しないありさまなので…。ストーリーのネタバレはほとんどありませんが、書籍応援のため感想を続けます。ツイートがまとまり次第、順次アップデートしていく予定です。
本作の作業を通じ痛感したのは、ほんの十年という時間が人間社会にもたらす変化のはやさについてでした。 十九世紀末を舞台とする『屍者の帝国』の物語は一八七八年から一八八一年の間で進行します。この時代は、現在にも劣らぬ激変の只中にありました。車や飛行機の登場まであと少し。瓦斯灯が電灯に置きかわるまであと一歩、無線や電話の普及ももうすぐです。世界的な電信網は間もなく世界一周を終えるところでした。 世界の大半は大英帝国の支配下にあり、アメリカはまだその存在感を露わにしていません。ロシアでは革命の機運が高まり続け、日本も急速な近代化をはじめた時期にあたります。フロイトやマルクス、ニーチェはまだ活動をはじめたところ、科学的には化学合成が産業となりはじめ、電磁気の基本法則が確立されたあたりです。 十九世紀末は、今わたしたちが見慣れている光景が生まれる直前の時期にあたります。二十世紀初頭にかけて、ほんの数十
河出書房新社 文藝🌸夏季号発売🍀 @Kawade_bungei 伊藤計劃×円城塔『屍者の帝国』は8月23日配本です。都内一部書店では当日夕方頃より店頭に並び始め、週末〜週明けには全国発売に。Amazon等では24日発売、小社サイトでは27日発売と告知されています[小社サイトでは配本日より営業日(土日祝日等を除いた日)中1日後が発売日扱い]。 河出書房新社 文藝🌸夏季号発売🍀 @Kawade_bungei 【1/16】刊行前の現段階において、円城塔さんへの『屍者の帝国』に関する取材等はお断りしてきました。「本作については作品がすべてです」というのが円城さんのお考えだからです。刊行後もインタビューは(数件の例外を除き)ほとんど行わない予定です。本書関係のサイン会等はありません。
伊藤計劃『虐殺器官』についてのネタバレがあります。 っていうかネタバレしかありません。 いきなりラストシーンから引用したりするので未読の人は気をつけてください。 ※ ※ ※ ・今日の虐殺(2) - 伊藤計劃:第弐位相 http://d.hatena.ne.jp/Projectitoh/20070710/p1 エピローグで主人公はあることについて大嘘をついているかもしれなくて、事実はどうなのか、は一応それまでに触れられているかもしれない、 わかりました。わかりましたよ。 「大嘘」というのは、 ぼくは罪を背負うことにした。ぼくは自分を罰することにした。世界にとって危険な、アメリカという火種を虐殺の坩堝に放りこむことにした。アメリカ以外のすべての国を救うために、歯を噛んで、同胞国民をホッブス的な混沌に突き落とすことにした。 とても辛い決断だ。だが、ぼくはその決断を背負おうと思う。
2009年にがんで亡くなったSF作家、伊藤計劃(けいかく)さん(享年34歳)の「ハーモニー」が、2011年4月22日、アメリカのSF賞「フィリップ・K・ディック賞」で次点に当たる特別賞を受賞した。米国の著名なSF賞を日本のSF小説が受賞するのは初めてだといい、大きな話題となっている。 伊藤さんは武蔵野美術大学卒業後、ウェブディレクターとして働きながら執筆活動を行い、小松左京賞最終候補となった「虐殺器官」で07年にデビュー。09年3月に肺がんで亡くなるまでの2年ほどで長編3作ほかを発表した。 米国でも高評価「最高のディストピア小説」 精緻な論理とハードなストーリーが特徴で、テロや内戦、情報管理社会など現代世界も抱える問題を、近未来を舞台に描いた。 受賞作「ハーモニー」も医療技術の進歩で病のなくなったユートピア的未来の悪夢を描いた作品だ。08年に刊行され、伊藤さんの死後、09年12月に日本SF
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