基本的にネット上で手に入る学術的な資料ばかりから判断してるので注意 現代の普遍論争について調べてみて困ったことは、学者によって概論的な見解があまりに異なることだ。心の哲学における心身問題の扱いが教科書的に比較的整理されているのに比べると、形而上学における普遍問題の扱いはうまく整理されていない。もちろん基本となる概念や文献はあるのだけれど、それをまとめる段になると意見が一致しない。例えば、D.M.アームストロングは普遍説とトロープ説を排他的に対立させて考えている。しかしア−ムストロング自身が認めているように、普遍とトロープを両立させている哲学者は存在する。それに対して、アームストロングはオッカムの剃刀を振り回して、余計な概念の共存を一切認めない。しかし、どうもこれは偏った見解に思えてならない。 現在の普遍論争でよく知られている問題として束説と基体説の対立がある。中立的な言葉である性質を用いて