はじめに 私たちは日々、動物たちを美的に鑑賞している。 鳩がホームにいる。首を前後に振りながら軽快に歩き、素早く地面に頭を下げては何かをついばんでいる。「そこに食べるものなどあるのだろうか?」と私たちをしていぶかしめる。 病院の待合室に水槽がある。小さな熱帯魚が泳いでいる。舞台衣装のように鮮やかな赤い線や青い線が引かれた身体が水の中を動く。 「動物の美学」という分野は、おそらくはまだ十分には発達していないが、近年環境美学者を中心に論じられ始めている。ここでは、私が勉強の途中で出会った動物の美学の諸文献についてかんたんにまとめておく。動物の美学に関心のある人の参考になればよいと思う。 まずはこれ 青田麻未. (2019). 動物の美的価値: 擬人化と人間中心主義の関係から. 『美学藝術学研究』37, 1-29. これ一つを読めば動物の美学の全体像がつかめるだろう。 https://repos