自分がなにをどう感じたのか、考えたくないと思った。医学部の不正入試事件の記事で、実際にデータに手を加えていた担当者の証言を読んだときのことだ。 "男女で合否判定差「慣行で機械的に」 順天堂大の担当者:朝日新聞デジタル" 男女で合否判定に差をつけた疑いが持たれている順天堂大(東京)の担当者が「慣行で、機械的にやっていた」と説明していることが、関係者の話でわかった。 (中略) 担当者は「最近決めたわけではなく、長年引き継がれていた」と話しているという。 分かる、と思った。理解できると思ってしまった。少しでも考えてみれば予測できたことだった。構造に組み込まれた差別には、明確な敵は存在しない。 担当者の立場を自分に引いてみるのは簡単で、巻き込まれる自分をありありと想像できた。きっと前任者から、当然のように引き継がれたんだろう。秘伝のタレと化した手続きを。なにを意図しているのかも、そもそも意味がある