悪夢にうなされ、しとどの汗と共に目覚める。まだ未明。このまま再び布団にもぐっても、眠れないことはわかっている。ここは微睡みの未練を断ち切り、クローゼットへ。メットにサイクルウェア、グローブ、プロテクタ、シューズ。装備に十五分、外はまだ闇。愛車はプジョー、―――ただし、ここで言う愛車とは、年代物のマウンテン・バイクのこと。こんなご老体自転車を引きずりまわしているのは自分だけかと思いきや、年代物の自転車愛好家は巷に結構いらっしゃるらしい^^ たしか、車輪が発明されたのはメソポタミアのはずだから、回転する道具のもとは、未だ混乱渦中の中東になるはずだ。もし現代社会から回転するものをなくしたら、どうなるだろう。少なくとも交通機関は全滅だ。自動車も自転車も列車も乳母車も手押し車も車いすも。残るは徒歩か、裸馬*2に跨るくらいか。いずれにせよ、そんな時代になれば原始的な諍いはあっても、いま展開しているよう