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ブックマーク / ameblo.jp/wakana-sakai (22)

  • 酒井若菜『溢れる』

    酒井若菜オフィシャルブログ「ネオン堂」Powered by Ameba 酒井若菜オフィシャルブログ「ネオン堂」Powered by Ameba 「どうして死ぬと、人は泣くんだろうね」 先日、飲んでいるときに先輩が言った。 私は言葉が出ずに、黙ってしまった。 それから数日、私の頭にはその言葉がやけに色濃く残っていて、たくさん考えた。 一昨日、桜が散ったのを目の当たりにした私は、ある尊敬している友人のことを考えて、「この時期は、やっぱきついなあ」と思ったりしていた。 そして、気分転換も兼ねて髪をカラーリングでもしようと、美容室に電話をした。 水曜日なのに、休みだった。 今日あらためて電話をしたら、電話に出た店長のTさんが「昨日、ワン(仮名)が死んじゃった」と言った。 私は花屋に寄って花束を作ってもらった。だけど、やっぱり枯れないものにしよう、と思って、成長を見ていけるような小さな観葉植物を買っ

    酒井若菜『溢れる』
  • 酒井若菜『本の魅力』

    酒井若菜オフィシャルブログ「ネオン堂」Powered by Ameba 酒井若菜オフィシャルブログ「ネオン堂」Powered by Ameba 正直、屋のタレントのコーナーに行くたび、げんなりしていました。 男性芸能人は、活字がメインのがほとんどなのに、女性芸能人の棚にあるのは、スタイルブックばかり。 一冊一冊を手に取れば、どれもがとても可愛いし、素敵なばかり。 だけど、ボロボロになるまで読める、数年後読み返して廃れないが、一体この中にいくつあるのだろう、と。 そして、「オシャレ」の最後のほんの少しの活字部分に、「挫折」を入れてバランスをとっている感じが短絡的すぎて、違和感をおぼえた。入れないほうが貫いていて、かっこいいのに。 もちろん、その分かりやすさこそが魅力だし、親近感ももてるのだろうし、私にはないその人の存在自体のカリスマ性が圧倒的なわけだから、それはすごく素晴らしいこ

    酒井若菜『本の魅力』
  • 酒井若菜オフィシャルブログ「ネオン堂」Powered by Ameba

    たいへんたいへんたいへん ご無沙汰しております 酒井若菜です このたび、こちらのブログを削除することにしました そして、新しくnoteをはじめました amebloで人気があった記事に関しては、徐々にnoteに移していきます たくさんのかたに愛されたこの場を閉じるのはとても寂しいです 作家業に格的に乗り出したきっかけも、amebloでした 11年前にメルマガをはじめたこともあり(現在はメルマガも終了し、noteに移行しています)、さいきんはこちらでの投稿がすっかり更新が滞っておりましたが、 書くこと自体はずっと続けています 『ネオン堂』 を愛してくださった皆さま ありがとうございました noteで再会しましょう

  • 酒井若菜『揣摩臆測ではありますが。』

    酒井若菜オフィシャルブログ「ネオン堂」Powered by Ameba 酒井若菜オフィシャルブログ「ネオン堂」Powered by Ameba 元々あったはあったのですが、先月から、毎日のように「死にたい」というメッセージが届くようになりました。 そんな芸能人ブログは、まず他には存在しないでしょう。 それくらい「死にたい」「死にたい」の連続。 所謂五月病というのもあったのでしょうけれど、その頃、著名人が続々お亡くなりになったという情報が、テレビやネットを通して一斉に駆け巡ったということも、多分に影響していたような気がします。 当たり前にいた人がある日突然いなくなる。 そのポッカリを、自分のもしもの場合と重ねたりしたのではないのかな、と思うのです。 今日の記事は、自殺についてです。 周りにご不幸があったかたは、絶対に読まないでください。 自殺願望者で、私の文体が好きなかただけ、読んでください

    酒井若菜『揣摩臆測ではありますが。』
  • 酒井若菜『声のお守りください』

    酒井若菜オフィシャルブログ「ネオン堂」Powered by Ameba 酒井若菜オフィシャルブログ「ネオン堂」Powered by Ameba 震災後、初パソコン。 私が何故いつも1人でいるのか。 これについては今まで何度か書いてきましたので今回は省きますが、実はこれにはもう1つ理由があります。 それは、誰かが泣きそうなとき、連絡が確実にとれる人でいたいから。 もし私が泣きそうだったら、いつも仲間といる人には電話しにくい。 「ちょっと落ち込ん、え?クラブで踊ってる?マジ、リスペクト!」 そんなハイテンションに合わせざるを得なくなったら、パワー消費で立ち直れない・・・。 友人や知人が辛くなったとき、寂しくて不安になってしまったとき、パニックを起こしそうになったとき、咄嗟に電話やメールができる相手がいたら、保険になる。私はその保険になりたい。 そういう電話は必ずと言っていいほど深夜にきます。

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  • 酒井若菜『宗教が往く』

    酒井若菜オフィシャルブログ「ネオン堂」Powered by Ameba 酒井若菜オフィシャルブログ「ネオン堂」Powered by Ameba その後、マッサージを受けにとある街に。 マッサージが終わり時計を見ると、知人との夕飯の約束までまだ少し時間があることに気がつきました。 なので、そのマッサージ店から3分の場所にいた松尾スズキさんと数年ぶりに一瞬合流。 松尾さんもちょうど仕事仕事の間だったようで、私的にはラッキーでした。 で、ミカンを貰いました。 そして、今月発売される小説「宗教が往く」の文庫を発売前に頂くという大ラッキー。 私は実は、この作品を執筆されている松尾さんの姿を目撃したことがありまして。 マンハッタンラブストーリーというドラマの撮影中、たぶん追い込みの時期だったのだと思いますが、隣りの控え室からずっとカタカタパソコンを打つ音が聞こえていて、出番になって部屋から出てきたと

    酒井若菜『宗教が往く』
  • 酒井若菜『歩道橋の上のあたし』

    酒井若菜オフィシャルブログ「ネオン堂」Powered by Ameba 酒井若菜オフィシャルブログ「ネオン堂」Powered by Ameba 表参道のイルミネーションがキラキラしていた。 いつ復活したんだ? 去年もキラキラしてたっけ? 一時期の灯篭みたいなイルミネーションじゃなくなってた。 揉めたんだろうな。 環境問題とか、私が思うに・・・ んー ま、いっか。 17歳。12月。夜。 その日、私は高校の制服を着て、表参道の歩道橋の上で頬杖をついていた。 栃木県にある高校に通っていた私は、学校を早退して原宿にオーディションを受けに来ていた。 その帰り道。 当たり前だが、同じ制服を着ている人間など周りに見当たるはずもなく。それどころか、一人で制服を着ている女子高生すら、見当たらない。 賑わいをみせる煌びやかな街を、数え切れないたくさんの大人達が歩いている。 「あー、きれいだなぁ」 と、思った。

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  • 酒井若菜『あどばいすの妙』

    酒井若菜オフィシャルブログ「ネオン堂」Powered by Ameba 酒井若菜オフィシャルブログ「ネオン堂」Powered by Ameba 今日家に帰ったら、お花が崩れていました。 二日前に我が家に来たばかりなのに…。 花びらの落ちた様がとても儚くて、それがまた美しくて、その「妙」にしばし見とれてしまいました。 そして変わらず、ブログのメッセージには悩み相談がたくさん。 皆さんからのメッセージ面白いですよ。 悩みがくることに関して 「私のも聞いてください」というかた。 「みんなの力になってあげて」というかた。 「悩み相談が多くて若菜ちゃんが疲れないか心配」というかた。 「悩み相談が多くて若菜ちゃんが疲れないか心配。でも私のも聞いてほしい」というかた。 疲れている前提でアドバイスをしてくださるかた。 ただひたすらに応援してくださるかた。 さまざまな人間性が出ていて面白いです。 私ね、疲れ

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  • 酒井若菜『パラドックス』

    酒井若菜オフィシャルブログ「ネオン堂」Powered by Ameba 酒井若菜オフィシャルブログ「ネオン堂」Powered by Ameba 写真2枚目は、牡蛎の白ワイン蒸し。 大丈夫です。 遊園地には一人で行ったわけではありませんよ。 仕事が早く終わった日があったので、マネージャーテキ子に15分だけ寄ってもらったのです。 テキ子が電話や原稿チェックをしている間に、ササッと一人でジェットコースターに乗ってきた、という感じです。 休日に「今日は一人で遊園地だい」と張り切って行ったわけではありませんのでご安心ください。 さて。 最近、言葉遣いが悪くなってきて困っています。 それは、今私がマザーで演じている芽衣という役の影響であることは明らかなのですが、これが非常に苦しい。ブログを読んでくださっているかたはご存知かと思いますが、私は「言葉」に対して敏感な性質です。極力、冷たい言葉は避けているつ

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  • 酒井若菜『明治神宮』

    酒井若菜オフィシャルブログ「ネオン堂」Powered by Ameba 酒井若菜オフィシャルブログ「ネオン堂」Powered by Ameba 東京新聞の連載、無事終わりました。 好評だったようで、とても嬉しいです。 ある回は明治神宮について書いたのですが、なんとその記事を明治神宮のかたが読んでくださったらしく、広報のかたから丁寧なお手紙と装丁からして上質な写真集を、宮司さんからはお守りをいただきました。 すごく嬉しい。 ありがとうございます。 明治神宮のかたからのお手紙もそうでしたが、先日、坂龍馬についての取材を担当してくださった編集者のかた(何と、司馬遼太郎さんの担当経験もある)から頂いたお手紙も、和紙の便箋でした。 味があっていいですね。 和紙にも手書きの文字にも、直線がありませんからね。 温かみを感じずにはいられません。 断言しますが、私は文字を見れば人柄が分かります。 文字占い

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  • 酒井若菜『タヌキだってがんばってるんだよォ』

    酒井若菜オフィシャルブログ「ネオン堂」Powered by Ameba 酒井若菜オフィシャルブログ「ネオン堂」Powered by Ameba ジブリ、ピクサー×ディズニー作品をこよなく愛する酒井です。 が。実は、私「平成狸合戦ぽんぽこ」、一度しか観たことがありません。 しかもうっすら。 最初から最後までまともに観たことがなかったんです。 何故かというと。 それは、うちの親戚が狐に化かされたことがあるからです。 今聞くとちっとも怖くないエピソードなのですが、当時怖がりだった子供ちゃんの私には、それはまあ恐ろしく、その話を聞いて以降、狐とか狸を敬遠するようになったのです。 どんなエピソードかというと。 ある夜。 知人の結婚式に出席をした親戚(仮・太郎)が、引き出物の紅白饅頭を小脇に抱え、ふらふらとほろ酔い気分で家に帰っていると、何やら背中越しに視線を感じました。 ん?と思って振り返るも、何も

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  • 酒井若菜『龍馬伝!』

    酒井若菜オフィシャルブログ「ネオン堂」Powered by Ameba 酒井若菜オフィシャルブログ「ネオン堂」Powered by Ameba 大河ドラマ『龍馬伝』に、出演させていただくことになりました。 私のみじっかい歴史をご存知のかたには、泣ける話でしょ。 大河ドラマに出ることが夢だった私は、一昨年「再来年は坂龍馬をやるらしい」という情報を耳にしました。 龍馬? 龍馬っ!? このチャンスを逃しちゃいかん! 絶対出てやる! と心に決め、マネージャーに、エキストラに戻ってもいいから一瞬でも現場に立ちたいんだ!と一年以上熱弁しつづけていました。そして、出られることになりました。 饅頭屋長次郎の恋女房、お徳役。 長次郎さん。 うー(泣)。 近藤長次郎の最期に、何度泣かされてきたか。 饅頭屋の長次郎は、才を買われて武士へと出世。武士になっても「饅頭屋」の愛称は残されるような、いい意味で武士らし

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  • 酒井若菜『恋と努力』

    酒井若菜オフィシャルブログ「ネオン堂」Powered by Ameba 酒井若菜オフィシャルブログ「ネオン堂」Powered by Ameba 先日箱根神社に行ったとき、縁結びのお守りを見つけた私。 手に取ってみると、もれなくペア。 ・・・・。 一つは自分用。一つは相手へ。 結ばれたい相手に渡し、互いに持つことで願いが叶うのだとか。 良縁を求めようも、相手がいないことにはしようがない。 一緒に参拝した京子ちゃんに 「京子さんよ、縁結びってやつぁ一人じゃだめなのだろうか。 今はともかく『いずれ』を求めてお守りを持っちゃいけないのかい? 何故ペアしかないのだ。 渡す相手がいる時点で、大概は想いが通い合っているのではなかろうか。大体そこまできたら半分は叶っているようなもんじゃないか。あとは自力で頑張れよ、って話だろう。 京子さんよ、分かってくれるかい? あの人と縁がありますように、じゃなくて、良

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  • 酒井若菜『一人旅』

    酒井若菜オフィシャルブログ「ネオン堂」Powered by Ameba 酒井若菜オフィシャルブログ「ネオン堂」Powered by Ameba ホテルから石垣空港に向かうタクシーの中での会話。 ドライバーのおじちゃん(以下、お)「石垣島に一人で来る女の子はね、大体失恋してるんだよ」 私「へー、そうなんですかぁ」 お「でもお姉ちゃんは、そういう感じしないね」 私「なんで?」 お「失恋した子はもうね、ドヨーンと俯いちゃってるからすぐ分かるの。その点お姉ちゃん、陽気だもん」 私「そっかぁ。せっかく景色がきれいなのに、俯いちゃって見れないのかぁ。可哀想に」 お「うん。可哀想になっちゃう。だからおじちゃんはね、絶対に年に一回は諸島に一人で泊まりにいくんだ」 私「え?どういうこと?」 お「最新の情報を持っていたいんだよ。そりゃお客さんに聞くこともできるよ。でも、自分の目で見て、体で感じて、心に残ったも

    酒井若菜『一人旅』
  • 酒井若菜『漫画』

    酒井若菜オフィシャルブログ「ネオン堂」Powered by Ameba 酒井若菜オフィシャルブログ「ネオン堂」Powered by Ameba ほう。 心の対義語「体」「無機質」「空」「入れ物」が多かったなあ。 私は、まだ分かりません。 候補すら挙げられず。 さて、私の近況ですが、まず仕事仕事が渋い。渋すぎる。 例えば、雑誌や新聞などの取材。 内容がことごとく「歴史」と「」について。 たまにファッション誌から依頼を頂く時も「何着よう。ルンルン」と思う間もなく「今回は、趣向を変えた特集を組みたいのですが、酒井さんには『今の若者が読むべき文学』を紹介していただきたい」と企画書が届く。 ちょいちょいちょーい。 私も若者だ・・・ ま、でもしかし、とてもありがたいです。 恐らく30年後でも出来そうな媒体で、若輩者の私が、若輩者ならではの観点でお話させていただける。これってありそうでない、恵まれ

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  • 酒井若菜『あっぱれドストエフスキー』

    酒井若菜オフィシャルブログ「ネオン堂」Powered by Ameba 酒井若菜オフィシャルブログ「ネオン堂」Powered by Ameba そんなわけで、私は今、太宰治の「パンドラの匣」を読んでいます。 まだ途中ですが、いやー面白い。ユーモアの代表作品かもしれない。 だけどやはり太宰氏は「痛み」を知っている人なのだな、とも再認識したりもします。 こんな文章達がいました。 —人間には絶望という事はあり得ない。人間は、しばしば希望にあざむかれるが、しかし、また「絶望」という観念にも同様にあざむかれる事がある。正直に言う事にしよう。人間は不幸のどん底につき落とされ、ころげ廻りながらも、いつかしら一縷の希望の糸を捜し当てているものだ。 —君のような秀才には分かるまいが、「自分の生きている事が、人に迷惑をかける。僕は余計者だ。」という意識ほどつらい思いは世の中に無い。 —自分の地位を最低のところ

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  • 酒井若菜『大吉拾った猿田彦神社』

    酒井若菜オフィシャルブログ「ネオン堂」Powered by Ameba 酒井若菜オフィシャルブログ「ネオン堂」Powered by Ameba 仕事で名古屋に行っていました。 「名古屋に来たからには、名古屋城を観ないわけにはいきません」 と、マネージャーのテキーラ娘に我儘を言って一人名古屋に残った私。 仕事終わりで、名古屋在住の姉に電話をしました。 泊めてもらう約束をしていたので、姉が近くまで迎えに来てくれていたのです。 私「今どこ?」 姉「分からない」 私「え?」 姉「今どこ?」 私「分からない」 姉「ま、適当に歩いてれば会うんじゃない?」 そうね、と言って適当に歩いていると、ばったり姉に会う。 雑な姉妹です。 そして、翌日。 名古屋城を観て早々に帰京する予定が、何故か三重県は伊勢神宮にいました。 素晴らしい所でした。 そして、猿田彦神社にも行きました。 今年引いたおみくじが3回とも末吉

    酒井若菜『大吉拾った猿田彦神社』
  • 酒井若菜『不特定多数に送らないブログ』

    酒井若菜オフィシャルブログ「ネオン堂」Powered by Ameba 酒井若菜オフィシャルブログ「ネオン堂」Powered by Ameba ずっと考えていました。 書いて良いのか悪いのか。 ずっとずっと考えていました。 私は頭が良くないし、誰もが認める成功者でも偉業を成し遂げたわけでもないし、それにまだ29歳だし。 教わることや救われることのほうが圧倒的に多い私が言ってしまっていいのか。 友達に「ありがとう」と言ったら「ありがとうはいらないよ」と答えが返ってきました。 別の友達に「あることで傷ついた」と言ったら「なんで電話しないのだ」と怒ってくれました。 痛みを共有してくれようとする友達が、私にはいます(いや、今傷ついているわけではないよ、昔認識したよって話)。 何度か書きました。 「このブログには悩み相談のメッセージが多い」 と。不特定多数のかたに読んでただけるブログという場で、個人

    酒井若菜『不特定多数に送らないブログ』
  • 酒井若菜『補助輪外してハッピーエンド』

    酒井若菜オフィシャルブログ「ネオン堂」Powered by Ameba 酒井若菜オフィシャルブログ「ネオン堂」Powered by Ameba 実家にて。 車の免許を取ったばかりの姉が「どこでも連れてってあげるよ」と私に言いました。 「水が見たい」と言うと、姉は私の心情を察したのか、理由も聞かず秘密の場所へ連れて行ってくれました。 でこぼこな道に車を停め、大きな岩をすべらないように手を取り合いながら歩き、生い茂った雑草を掻き分けると、眼前に絶景が広がりました。 遠くに見える雪化粧をした山脈。そして美しい川。それをまたぐローカル線が走る鉄橋。私は中州にしゃがみこみ、水に触れ、音を聴きました。 気がつくと、1時間が経っていました。 ふと後ろを振り返ると、姉の姿が見当たりません。 姉は、ずっとずっと遠くの河川敷にいました。 視力の悪い私にははっきり見えませんでしたが、姉は体育座りをして川を眺めて

    酒井若菜『補助輪外してハッピーエンド』
    sakurasakuras
    sakurasakuras 2010/01/11
    心がグラグラするのは、補助輪を外せた証かもしれません。 一概には言えませんが、ぐんぐん進んでいるように見える人に限って、補助輪がついていたりもします。 人や言葉を利用して(補助輪にして)ぐんぐん進んでも
  • 酒井若菜『影絵』

    酒井若菜オフィシャルブログ「ネオン堂」Powered by Ameba 酒井若菜オフィシャルブログ「ネオン堂」Powered by Ameba 昔話です。 私は事が嫌いで、数年間ほとんどポニーとしか事をしませんでした。 なぜ嫌いだったかというと、人と話すと傷つくし、また、傷つけるのではないかと思っていたから。 そして、何かをべるたびに「私ごときが、明日も生きようとしているのか」ともう一人の自分が笑うのです(青春な感じね)。 だから、事がいやでいやで仕方ありませんでした。 そんな中で、唯一一緒に事をできたのが、ポニーでした。 とは言っても、「当たり前に」ではありません。 そこには道のりがあって、何十回もドタキャンをしたし、お店の前まで行って立ち止まってそのまま帰ったこともあったし、お店に入っても箸を掴まずポニーを置いて帰ったり、そんなことを繰り返し繰り返し、何年もかけてやっとポニー

    酒井若菜『影絵』