オーストリアの山間の村で、日本のなまはげに似た鬼とサンタクロースの名で世界中に親しまれている聖人ニコラウスが登場する祭りが行われる。 高くそびえるグリミング山が暗闇にかすかに浮かび上がる。冷え切った空気を張り裂くように、ピシッ、ピシッと鋭い鞭の音が響く。シャープと呼ばれる全身をみので覆われた一団が放つ、6拍子で振る鞭の音だ。その鋭い音は悪霊を驚かせ、退散させると言われている。 その後を歩くのが聖人ニコラウス。彼は4世紀の聖人で、バラバラに刻まれた子どもを生き返らせる奇跡を行った。それに続くのがクランプス。鬼の面をつけ、見物人を手に持った枝で情け容赦なくひっぱたく。 一行が立ち寄るのは、街道沿いにある宿屋。広間には大勢の子どもが集まっている。そして一行が宿屋に着くとニコロ劇が始められる。 聖ニコラウスは広間にはいると待ち受けている子どもたちを見回す。そして、子どもたち