中年男の孤食を描いた漫画「孤独のグルメ」(参照)が電子ブックで売っていた。電子ブックでこの漫画を読むとどうなんだろうかという素朴な興味と、通して読んだことはなかったなという思いがあって、買って読んだ。泣けたというのとは違う、胸にずんとくる感慨があった。中年男の孤食というものの、いわくいいがたい微妙な心情をよく描いていることもだが、私自身生きてそして食ってきたあの時代が絵の一コマ一コマにそのままにあったのだった。 物語は、個人経営の洋雑貨輸入商・井之頭五郎が、背広姿で見知らぬ町を巡った営業帰りに、食いそびれた昼飯をその町の店屋で食うというだけの設定が多い。表題にグルメとあるが、普通の意味でグルメといったものではない。下町のさびれた定食屋のようなところで、中年男が、がつがつとありふれた食事をするだけの短い話。B級グルメといったものでもない。食うのは腹がいっぱいになればいいやといったくらい。 だ