厚生労働省は今年度から、厚生年金への加入義務があるのに加入せず、保険料を払わない悪質な企業の事業主を、厚生年金保険法違反容疑で警察に告発するとともに、公表することを決めた。加入に必要な情報を確認するための立ち入り調査を拒否した回数など、具体的基準を定めたうえで、告発に着手する。ここ数年、未加入事業所の総数は10万前後で推移しており、同省は3年以内に半減を目指す。【中島和哉】 厚生年金は保険料の半分を会社側が負担するため、経営状態の悪い中小企業などで加入を逃れるケースが後を絶たない。従業員は、厚生年金より給付の不利な国民年金に加入することになるため、厳罰化で従業員の待遇改善を図る。また、政府が税と社会保障の一体改革を掲げ消費増税を目指すなか、保険料を納めていない事業所に対する不公平感が高まっており、こうした批判をかわす狙いもある。