山口県光市母子殺害事件の犯行時少年だった死刑囚の実名や写真を載せた本の出版をめぐる訴訟で、最高裁第1小法廷(横田尤孝裁判長)は、死刑囚の上告を退ける決定をした。プライバシー権侵害などはなかったとして出版の違法性を否定した二審広島高裁判決が確定した。決定は25日付。 二審判決によると大月(旧姓・福田)孝行死刑囚(33)が死刑の二審判決について上告中だった平成21年10月、インシデンツ(東京)が出版した「福田君を殺して何になる」に実名、写真が掲載された。 死刑囚側が出版差し止めと損害賠償を求め提訴し、一審広島地裁は中学時代の顔写真について「本人の承諾はなく、公表は不必要だった」として計66万円の支払いを命じた。 しかし広島高裁は「死刑囚は取材に積極的に協力し、出版に同意していた。事件への社会的関心は高く、写真掲載は報道の自由として許される」と賠償命令を破棄した。