私が警察官だった2003年まで、中国人といえば不法滞在者や密入国者が多かった。犯罪捜査にあたった実感で言うと、東京在住の中国人の相当数がそのどちらかであったように思う。 1人を逮捕して、その裏付けとなる居住先、勤務先の参考人を当たるにも、彼らは中国人脈で生活しているため、参考人も中国人ばかり。ほとんどは不法滞在者のため、参考人調書も作成できない状態だった。 犯罪に至った経緯を解明しようとすれば、最低3、4回の取り調べが必要だが、あまりに中国人犯罪が多すぎて通訳が足りない。しかも、中国人被疑者はよく嘘をつくうえ、ついた嘘を忘れるので供述は二転三転し、留置場は中国人犯罪者で満室だった。 これを解決したのが「入管難民法65条渡し」である。同条は、余罪のない不法滞在者は、警察から入国管理局に直接引き渡すことができる-というものだが未活用だった。 03年10月から、警視庁と入国管理局、石原慎