サンリオ創業者の辻信太郎さん(94、辻のしんにょうの点は正しくはひとつ)は17歳のときに山梨県甲府市で空襲にあった。生家があった場所は焼け野原になった。このとき目にした惨状が「みんな仲よく」というサンリオの企業理念につながったという。「戦争は絶対にいけないということを、みんなどんどん忘れていっている」。戦争を経験した辻名誉会長がいま伝えたいこととは。(取材・文:篠藤ゆり/Yahoo!ニュース オリジナル 特集編集部) 山梨県甲府市は、かつては甲斐武田氏の城下町として栄えた町。南アルプスや八ケ岳、奥秩父山系などの山々に囲まれた盆地で、天然の要塞とも言われてきた。太平洋戦争末期になると上空をアメリカ軍B-29爆撃機が通過することもあったが、とくに爆撃されることはなかったため、甲府は空襲にあわないだろうと楽観していた人もいたようだ。 1945年7月6日の山梨日日新聞朝刊には、こんな記事が掲載され
