戦国合戦 通説を覆す 工藤健策著 本書は「信長は本当に天才だったのか」(草思社刊)などの著作がある工藤健策氏の書き下ろし新著である。もともとスポーツアナウンサーであり、プロ野球などに関する著作が多い氏は、また熱心な歴史マニアであり、年来多くの資料を読み込んだり、マイカーを走らせて歴史の現場を訪ねたりしていた。氏が疑問に思っていたのは歴史学者がなぜ現場を踏み、実際に起こったことをリアルに推理しないのかということだった。とくに戦国時代の合戦は、何千、何万という人数の敵味方に分かれての戦いであり、そこには移動、補給、武器、糧秣といった軍事なら当然考えられるべき要素があるのに、従来の記述では十分に考察されているとは思えない。本書は従来の歴史記述にもう少し理数的観点、リアルな考察、常識を当てはめてみるとどうなるかを試してみた、理数的歴史マニアならではの八大合戦の推理である。 ◆秀吉は毛利攻めからなぜ