磯崎さんにも指摘されたように、日本の中小企業には銀行からの借り入れでリスクをとる傾向が強い。私の例にあげた会社(私は利害関係者ではない)もそうだし、新銀行東京も再建の方針に「ベンチャー融資」を掲げている。この原因には、中小企業がVCや資本市場で資金を調達するのがむずかしいというだけではなく、さまざまな要因がある。 基本的な問題は(日本だけではないが)、税制のバイアスだ。Modigliani-Millerでも知られるように、法人税や倒産がなければ、理論的には負債と株式は同じである。しかし現在の税制では、金利は経費として控除されるが、配当には課税される。日本では「会社は経営者のもの」という通念が強いので、中小企業は節税のため、借り入れで資金を調達して利益を配当しないように操作する。その結果、企業の70%以上が赤字法人である。 本質的な違いは、銀行が資金を仲介してリスクをプールするのに対して