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ブックマーク / www.newsweekjapan.jp/reizei (35)

  • 共謀が罪なら、忖度も罪なのか?

    <共謀罪の法案が国際テロを未然に防止する趣旨で立案されたことは理解できるが、日のように「共同共謀正犯」の適用範囲が広い司法制度では、共謀が限りなく拡大解釈される懸念がある> いわゆる「共謀罪」の法案をめぐって賛否両論が激しく対立しています。この法案ですが、具体的な「共謀した罪」が設定されるというより、多くの犯罪について「どうしたら罪になるか?」という定義付けを変更しようというものだと理解できます。 現在の日の刑法の考え方では、犯罪の対象になるのは「実行」もしくは「未遂」ということになっています。未遂という言葉には「計画したができなかった」というニュアンスはあるものの、実際は「計画だけ」では犯罪にはなりません。必ず「着手したが完遂できなかった」事実が必要です。 これは単独犯の場合を考えると分かりやすいと言えます。「銀行強盗がしたい」と心の中で考えているだけなら未遂にはなりません。同じよう

    共謀が罪なら、忖度も罪なのか?
    satis
    satis 2017/04/27
    『森友事件のようなケースで――仮に問題の利益供与が実現しなくても、「共謀罪」+「黙示の共謀」+「未必の故意」という3つのロジックを組み合わせれば、首相の犯罪が成立してしまうことに』
  • 実はアメリカとそっくりな「森友学園」問題の背景

    <「森友学園」をめぐる騒動は日特有の問題のように見えるが、多様性を尊重する公教育に対して保守派が独自教育を追求するその背景は、現在のアメリカとよく似ている> 教育勅語への過剰な賛否とか、国有地払い下げ問題、そして極めつけは「ソンタク(忖度)」のあるなしの疑惑など、「森友学園」をめぐる騒動は、「ノット・クール・ジャパン」つまり「日文化のクールでない側面」を説明するには格好の教材という感じがします。 個人的には、国有地の払い下げ問題と言えば、大隈重信とか五代友厚が人生を振り回された事件(編集部注:明治時代の開拓使官有物払下げ事件。大隈重信らが政府から追放される明治十四年の政変のきっかけとなった)の記憶が140年近い年月を経てオーバーラップする感じがあり、野党側からその辺の認識を含めて追及の迫力が足りないのは、何とも「物足りない」感じがしますし、何よりもこの種の土地取引というのは、ちゃんと透

    実はアメリカとそっくりな「森友学園」問題の背景
    satis
    satis 2017/03/29
    『公教育の現場で多様性が確保され、それに反発する保護者のニーズに応えて「保守教育を行う自由」が私学として追求されていく、こうした動きは、実はここ20年のアメリカで起きていることとよく相似しています。』
  • トランプ当選の可能性はもうゼロではない

    選を直前に控えてヒラリーとトランプの支持率が拮抗してきている。景気、雇用の低迷感がジワジワと広がる中で、トランプという「ガラガラポン」への期待が徐々に高まる可能性が> 米大統領選は、投票日まで残り50日を切り、最後のストレッチ(追い込み)に入りました。ですが、相変わらず選挙戦の内容は深まることはなく、品のない中傷合戦が続いています。 そんななか、ドナルド・トランプ候補とヒラリー・クリントン候補の支持率は拮抗してきています。いつの間にか、全国規模の世論調査の数字も拮抗しているのです。 政治情報サイト「リアル・クリアー・ポリティクス」によれば、最新の「世論調査の全国平均」では、まず支持率の単純平均値で、 ■ヒラリー・クリントン・・・46.0% ■ドナルド・トランプ・・・・43.4% と僅差になっています。一方で、実際の選挙制度である「州ごとの選挙人数予測」では、 ■ヒラリー・クリントン・・

    トランプ当選の可能性はもうゼロではない
    satis
    satis 2016/09/24
    『ドロドロとうごめいていた「曖昧な不安感」が増幅するだけでも、トランプには相当な追い風になっている。――「ガラガラポンへの期待」からの投票行動が伸びてくる危険が高くなってきた』
  • 乱射事件、「イスラム教徒の容疑者」に苦悩するアメリカ

    今週2日、ロサンゼルス近郊のサンベルナルディーノにある福祉施設で発生した銃乱射事件は、14人の犠牲者を出すという規模の大きさが全米に衝撃を与えました。同時に、事件の背景に「原理主義テロ」の可能性が否定できないため、メディアの報道には明らかな「歯切れの悪さ」があります。オバマ大統領のコメントも同様です。 メディアや大統領は真実を隠そうとしているのでしょうか? 違うと思います。アメリカは今回の事件に対して、どのように理解し、どのように対応するかという点で、苦悩の最中にあると言えます。捜査と情報開示がまったくの現在進行形の事件ですが、とりあえず現時点での論点について整理しておこうと思います。 まず、射殺された男女2人の容疑者ですが、28歳の男性サイード・ファルークと、27歳の女性タシュフィーン・マリクであり、2人は夫婦だったと発表されています。 同市の市警の発表と一部報道によれば、死亡したファル

    乱射事件、「イスラム教徒の容疑者」に苦悩するアメリカ
    satis
    satis 2015/12/05
    福祉施設で起こった乱射事件は「裕福で恵まれたムスリム」による犯行であり、文化的多様性の尊重や平等といったリベラルな価値観と真っ向から対立する事件であり、そのことがアメリカを苦悩させている。
  • 日本で盛り上がる「反知性主義」論争への違和感

    の言論では「反知性主義」がイデオロギー批判の感情論として使われているのが目立つ(写真は昨年末の衆院選で選挙演説を聞く人たち) Yuya Shino-REUTERS 日で「反知性主義」という言葉が流行していることも、また、その言葉の使い方について論争があることも承知していました。ですが、その議論の全体に「どこかピンと来ない」感じがあって論評を控えていました。年末に差し掛かるこの時期になって、一部のメディアで「今年の流行語」として取り上げられるなど、さらに多くの議論を呼んでいるようですので、私なりに整理してみたいと思います。 そもそも「反知性主義」という言葉については、例えば森あんり氏が、著書『反知性主義―アメリカが生んだ「熱病」の正体―』で取り上げたように、アメリカ家であって、特にアメリカのプロテスタンティズムが持っている「アンチ・エリート」の伝統を指した言葉という理解があります

    日本で盛り上がる「反知性主義」論争への違和感
    satis
    satis 2015/11/12
    「反知性主義」概論 そもそも一般的には使われていない攻撃的な言葉であり、知性が求められるエリートの権威化を批判する言葉である。『「イデオロギー上の論敵の中にある感情論に対して敵意を持つ」こと』
  • とうとうグローバル市場に解き放たれた、「郵貯」と「簡保」の巨大マネー

    郵政グループ3社が株式上場をしました。「28年前のNTT株以来の大型上場」であるとか、「最後の大型民営化案件」というような表現が飛び交う中で、3社合計の「売り出し額」の合計は1兆4000億円を超える見通しです。つまり今回の上場で1兆4000億のカネが飛び交うことになります。 ただ、この上場ですが、何が当の目的なのか今ひとつ見えないところがあります。また、国際的な常識からすると異例の親子同時上場、つまり親会社と子会社が同時に上場するという例外的事態になっているのも気になります。「親子上場」というのは、子会社の利益より親会社の利益の方が重視されたような場合、下手をすると子会社の株主から訴訟を起こされるリスクを負うからです。 では、どうして3社同時上場ということになったのでしょう? 実は、この「日郵政グループ」というのは3社ではなく、4社あります。まず全体の持株会社である「(1)日郵政

    とうとうグローバル市場に解き放たれた、「郵貯」と「簡保」の巨大マネー
  • 愛国歴史教育に対する「米高校生の異議申し立て」が勝利した日

    最近の各国の保守主義の運動には「自国の歴史に誇りを持てるような教育」へと、歴史教育を改変するという志向があります。アメリカも例外ではありません。例えばブッシュ時代の「草の根保守」の復権を契機として、ハッキリとそうした運動が立ち上がっています。 そのリーダー格といえば、リン・チェイニー氏です。チェイニー前副大統領の夫人ですが、歴史家というより文学者という立場で「愛国歴史教育」を推進していたのです。 チェイニー氏はまず「建国の歴史」に関して「トーマス・ジェファーソンの理想主義とか、権力への牽制」といったエピソードではなく、「独立戦争の苦しい戦いを勝利に導いたワシントンの勇気」を前面に出して教えよとか、ベトナムや公民権の話ばかり教えるのはバランスを欠くなどという主張を「運動」にしたのです。 更にチェイニー氏の前にフランシス・フィッツジェラルドというジャーナリストは79年に出した『アメリカ史の改善

    愛国歴史教育に対する「米高校生の異議申し立て」が勝利した日
    satis
    satis 2014/10/14
    『自由と人権を実現するためには、様々な紛争や対立を乗り越えてきたのがアメリカ史』『不正な秩序に挑戦することが正しいと教えるのは、何も無政府主義を推奨することにはならない』
  • ろくでなし子氏の逮捕、何が問題か?

    漫画家で美術家の「ろくでなし子」氏が逮捕されました。「わいせつ電磁的記録頒布」という容疑で、警視庁保安課が逮捕したと発表しています。問題視されたのは、女性器を「下卑たものとして扱うな」とか「自分にとっては手足と一緒」だという同氏の主張を込めた一連の創作活動の一部についてでした。 報道によると、ろくでなし子氏は女性器をかたどった小型ボート(ネット上で見るとバナナボートのパロディのようです)を制作するためネット上で寄付を呼びかけ、寄付をした人に3Dのデータを配ったことが問題とされているようです。 この事件ですが、メディアでは警察の発表をそのまま丸写しして、ろくでなし子氏のことを「自称芸術家」であるとか「わいせつデータの頒布」などと一方的に決めつけた報道がされており、こうしたメディアの対応への批判が起きています。 DJが音楽を流す「クラブ」の規制問題などもそうですが、文化的・社会的な価値観が揺れ

    ろくでなし子氏の逮捕、何が問題か?
    satis
    satis 2014/07/16
    『文化的・社会的な価値観が揺れている中で、社会全体に対する規制を「警視庁保安課」という官僚機構に「判断レベルまで委ねている」というのは、法制として、あるいは行政のあり方として前近代的』
  • 『ドラえもん』のアメリカ進出に30年かかった理由とは?

    の人気漫画・アニメの『ドラえもん』は、1980年代からアジアやヨーロッパで人気となり、90年代の初頭からは、これにイスラム圏や中南米も含めたほぼ全世界で出版・放映されています。ですが、アメリカは例外でした。報道によれば1985年に一旦テッド・ターナー(CNNの創業者)が放映権を取得したそうですが、結局のところ放映はされませんでした。 それからほぼ30年を経た今年、遂に『ドラえもん』は北米に上陸することになりました。ディズニーが版権を取得し、「Disney XD」というケーブル・チャンネルで8月から全国放映をするという発表がされています。 この間、アメリカで放映がされなかった理由は比較的簡単です。アメリカでは子供向けのTV番組や出版物に関しては、極めて保守的な考え方があるからです。特に思春期前の子供たちを対象としたものはそうで、その社会の「善悪の価値観」から外れたものは「この年齢では与え

    『ドラえもん』のアメリカ進出に30年かかった理由とは?
    satis
    satis 2014/05/22
    アメリカでのドラえもん放映の背景にある、子どもの教育に託された理想と、アメリカ社会の変遷について。『社会が「小学生レベルの子供に示したい」価値観から外れてしまっていた』
  • アメリカの保守派はどうして「オバマの医療保険改革」に反対するのか?

    それにしても、誰でも病気にかかるのは怖いはずです。カゼならともかく、重い病気になればどうしても医者にかからないわけには行きません。その場合の費用を考えると「医療保険はいらない」という発想は考えられないはずです。「無保険」の場合、例えば突然に重病だということが判明し、高額な手術をしなくては助からない場合は、生命に関わることにもなります。 多くの先進国が「国民皆保険制度」を設けているのはこのためであり、先進国あるいは成熟国の場合は常識であると言えます。ですが、この「常識」をアメリカへ適用しようとしたオバマの「医療保険改革」に対して、今でも議会の下院共和党は「延期か廃止」を求めて一種の「ストライキ戦術」に出ているのです。要するに大統領と上院に対して「予算案」を人質に取って抵抗しているわけです。先週から続いている「政府閉鎖」が発生したのはこのためです。 下院共和党の背後にはいわゆる保守票があります

    satis
    satis 2013/10/10
    オバマケアを巡って紛糾するアメリカ共和党と民主党の対立について、反対する保守派からの視点。「個人の善意」や「教会などのコミュニティの自発的活動」も、外にいる人には届かない。人種差別が透けて見える。
  • ボーイング787の初期不良、日本の部品が原因というのは「濡れ衣」ではないのか?

    ボストンのローガン空港でのJAL機の2日連続でのトラブル、そして16日に高松に緊急着陸したANA機のトラブルと、ここへ来てボーイング787「ドリームライナー」はトラブルが続いています。一連の問題に関しては、その多くが電池からの発火であることもあって、日製の電池に問題があるような報道がされています。 ですが、私はそうではないと考えます。 私は航空機の専門家ではありませんが、電気自動車やハイブリッド車に関わる電池の技術については、ここ数年ずいぶんと勉強して来ています。以下は、そうした私の理解をベースにした私見です。また、仮に新しい事実が明らかになり、訂正が必要になった場合は速やかに対応する予定です。 まず発火したJAL機の電池、そして同じく発火して高松に緊急着陸したANA機の操縦席床下に供えられていた電池は、報道によれば、いずれもGSユアサ製のようです。この「リチウムイオン電池」に関しては、

    satis
    satis 2013/01/20
    トラブル続きのボーイング787。バッテリーのトラブルと報道されているが果たして?配線ミスなど「ひどいヒューマンエラー」を想定し、逆に日本製航空機メーカーを立ち上げるチャンスにしろと結ぶ勇ましい記事。
  • 日本の対立軸にはどうして「経済合理性+国際協調」という選択肢がないのか?

    今回の衆院選は、多数の政党が登場しています。勿論、乱立だとか混乱だという形容は当たっているのですが、少なくとも選択肢は増えたというメリットはありそうです。ところが、どうしたものか21世紀の現在において、最も重要で現実的だと思われる選択肢が見事に欠落しているのも事実です。 それは「経済合理性と国際協調を同時に重視する」という立場です。 この選択肢がないのです。例えば今回の党首討論でもニコニコ動画では10、記者クラブ主催のものでは11も政党があるのに、見事なまでにない。これは当に困ります。例を挙げればキリがありませんが、 ----安倍自民党は軍事外交では親米で、ビジネスにはフレンドリーなのかもしれませんが、靖国参拝とか国防軍といった右派イデオロギーがどうしてもセット定で付いてくるわけです。これでは、自由世界での友人を作るといっても大きな限界があります。 ----野田民主党は、その点ではやや

    satis
    satis 2012/12/03
    米大統領選で保守派が陥った「自分探しのイデオロギー」は、日本でも猛威を振るっているようで。ナショナリズムを声高に叫ぶ人ほどアイデンティティーに不安を抱えてるのはなんでかね?
  • 安倍自民党の「インフレターゲット論」3つの問題点

    3%というターゲットを設定した上で、インフレが進行するように金融緩和を思い切り行う、そうしてデフレを脱却し超円高を是正して成長トレンドを回復するという政策については、ここ1年ぐらい安倍晋三氏はかなり熱心に語ってきています。ですから気といえば気なのでしょうが、総選挙を前にしてここまでハッキリと政策として掲げてくるとは思いませんでした。 結論から言えば、3つの問題点があるように思います。 まず、外部環境がこの年末から年明けにかけて変化しつつあるという点です。例えばアメリカの場合は、これまでのFRB(連邦準備制度理事会)やオバマ政権は「QE(量的緩和)1からQE3」によってジャブジャブとドルをばらまいてきたわけです。その結果としてのドル安も容認し、ドル安による多国籍企業のドルベースでの利益の極大化というメリットも享受してきました。 この問題に関しては、大統領選の争点になっていました。オバマに

  • 3分で終わる核武装論議 | プリンストン発 新潮流アメリカ | コラム&ブログ | ニューズウィーク日本版 オフィシャルサイト

    その昔、亡くなった自民党政治家、中川昭一氏が2006~09年にかけて「核武装論議をタブー視するな」という発言をした頃には、ずいぶんと賛否両論が激しかったのを記憶しています。その中川氏は「最近は、非核三原則に『言わせず』を加えた非核四原則どころか、『考えてもいけない』という非核五原則だ」と強く反発していましたが、今ではこうしたタブー視に関してはかなり緩んでいるように思われます。 今回の総選挙で、何らかの話題になりそうな「第三極」においても、石原前都知事は日の核武装論について従来から放言を繰り返していますし、最近はこの問題に慎重な橋下大阪市長も「議論は歓迎」という立場のようです。 漠然としたムードとしては、仮に米国が何らかの理由でアジアにおける軍事プレゼンスを軽減していった場合には、日は「自主防衛」をすることになり、その際に中国の核攻撃能力を抑止するためには、日は核武装の可能性を否定す

    satis
    satis 2012/11/16
    日本のポピュリストがさかんにぶち上げる核武装論が、いかに現実と乖離したモノであるかという話。『「議論」を禁じる必要は感じませんが、その「議論」自体が3分で終わるものだというのもまた事実』
  • iPS細胞技術を育んだ日本人の「生命観・自然観」とは?

    いわゆるiPS細胞(人工多能性幹細胞)発明による京大の山中教授のノーベル賞受賞は、世界的に見ても当然過ぎるほど当然であると受け止められています。と言いますか、ヤマナカとかiPSという名前の方が、「ノーベル医学生理学賞」という面倒な名前よりも知名度があり、このあたりで賞を出さないと賞の方が格好がつかないというぐらいであったように思います。 ところで、このiPSという技術は、アメリカ社会から見ていますと、汎用性の高いヒトの細胞をヒトの「受精卵」ではなく、ヒトの「皮膚細胞」から作ってしまうという点が画期的です。これによって、アメリカの宗教保守派に強くある「受精卵の利用は胎児殺しと同じ」という価値観に引っ掛かることなく、高度な細胞レベルの医療が可能になるからです。 勿論、この技術は山中教授という天才による発見であり、それ以上でも以下でもないと思います。ですが、その研究の環境を提供したということでは

    satis
    satis 2012/10/09
    教義を通して「他者の命への慈しみ」を育て、結果としてES細胞への忌避を生んだキリスト教が特殊なのであって、中立的な生命観と「自己の生命への本能的な執着」は矛盾しない。本来の人間。オスプレイは蛇足。
  • 中国の「反日暴動」がアメリカでほとんど報道されない理由とは?

    先週末から今週はじめにかけて、中国の各地では反日を表面的なスローガンにした一種の「反秩序暴動」がエスカレートしているわけですが、アメリカではこのニュース、驚くほど小さな扱いとなっています。例えば、暴動が格化した直後の16日の日曜日には、ニューヨークタイムス、CNNといったメディアでの扱いはほとんど「ゼロ」でした。 週明けの月曜になって、少し報道が出始めていますが、例えば中国にあるパナソニックの工場が操業停止しているなどといった「経済記事」的な扱いが主で、それに「在北京日大使館」に卵が投げつけられたなどの報道が加わっているだけです。実際に起きている、大規模な破壊行動については、一切伝えられていないと言ってもいいと思います。 私は各メディアの内情を知る立場にはないので、あくまで憶測に過ぎませんが、そこにはある種の「配慮」が感じられます。では、仮に「中国への配慮」があるとして、そこにはどんな

    satis
    satis 2012/09/18
    大統領選でも争点となる中国との関係。だがメディアは不思議な沈黙を保っている。『「次期指導部人事」に関する暗闘があり、その背景には重慶事件というスキャンダルが~メディアとしては一種の金縛り状態』
  • アラブ騒乱の元凶となった「ビデオ映像」の謎

    イスラム教の創始者にして、最高の預言者であるマホメット(ムハンマド)を侮辱した「ビデオ」が「アメリカで制作された」という理由で、まずリビアで反米の騒乱が起こり、エジプトとイエメンに、更にはイスラム圏を中心に9カ国に飛び火しているようです。リビアでは、武装勢力によるロケット弾攻撃により駐リビアの米国大使が暗殺されるなど、暴力がエスカレートしています。 しかし、この事件、何とも不可解です。問題のビデオの内容から、発生した暴力事件に至るまで全てが謎と言っても良いでしょう。 まず誰が制作したかという問題です。当初の報道によれば、ユダヤ系の人物がカギを握っているというのですが分かりません。何故かというと、アメリカのユダヤ系、特にハリウッドの映画産業に関わっているユダヤ系というのは穏健リベラルがほとんどです。政治的には民主党であり、オバマの「アラブの春支持方針」にも反対していません。ですから、イスラム

    satis
    satis 2012/09/14
    イスラム教徒の暴動を誘ったビデオ。映像はプロ級でありながらチグハグな編集であったりと素人臭さも感じさせる。制作の動機どころか製作者すら謎に包まれているが、米大使の殺害という大事にまで発展している。
  • 上院議員候補の「レイプ暴言」、大統領選への影響は?

    今年11月の総選挙へ向けて、共和党からミズーリ州の連邦上院議員選挙に出馬しているトッド・エイキン候補の「レイプ暴言」は、全米のトップ記事を独占しています。このままですと、同候補は天王山選挙区の1つであるミズーリで敗北し、共和党の上院での多数派奪還に黄信号が灯ることになります。そのために、同党の多くの議員たち、そしてお膝元のミズーリの共和党の元議員や現職の議員たちは「エイキン候補の辞退」を要求していますが、稿の時点ではあくまで「居座り」の構えです。 さてこの「事件」ですが、19日(日)のTVインタビューで、同候補が "From what I understand from doctors, that's really rare. If it's a legitimate rape, the female body has ways to try to shut that whole thi

    satis
    satis 2012/08/22
    政治家は選挙民の代表なわけで、思想的にも。アメリカの保守層ってあらためてすごいね…。妊娠中絶反対=「レイプ被害の妊娠でも産め」 創造論やら銃規制への反対やら、生きてる世界が違うわ。
  • 五輪開会式に見る「国の自己紹介」の難しさ

    先週の金曜日に開幕したロンドン五輪では、映画監督ダニー・ボイル(『トレインスポッティング』、『スラムドック$ミリオネア』)が演出した「英国の自己紹介」が話題になりました。構成としては英国の長い歴史を概観したものですが、内容にはボイル監督による一種の「穏健左派の視点」がハッキリ入っており、なかなか興味深い「ショー」でした。 まず、ボイル監督は英国の原点を「農村」に置きました。豊かな緑と穏やかな気候に守られた農村が国の原点という見方です。続いて産業革命が大きく国家のありようを変えますが、その主役はあくまで労働者という描き方がされます。更に二度の世界大戦での勝利ということも描かれますが、これも無名の兵士への賞賛という視点、そして戦後に達成した「福祉国家」英国の誇りとして国民皆保険制度(NHS)が大きく取り上げられます。 その後も、ボイル監督の「視点」は随所に感じられました。エリザベス女王が「00

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    satis 2012/07/31
    オリンピック開会式に見るイギリスの自画像。異民族や外国からの侵略と同時に侵略する側でもあったイギリスだが、もともと住んでいた人々の視線から見たイギリスの姿。そしてそれは王族や政府の自画像ともまた違う。
  • コロラド乱射事件と、アメリカの「いじめ」問題

    先週末のエントリで、日の「いじめ」問題を「空気と目線」という観点から論じたところ、多くの方々から「アメリカいじめ事情はどうなのか?」という問題提起をいただいています。 この点に関しては、確かにアメリカでは体育会系が線の細い子供を「いじめる」というクラシックな「いじめ」のパターンがあり、それに加えて、ここ5年ぐら「ネットいじめ」の問題、あるいは中学校を中心とした「仲間外れ」などの問題行動が増えています。「いじめ(ブリング)」という言葉が、小学校から中学校の教育問題として大きなテーマになりつつあるのは事実だと思います。 ですが、体育会系の横暴というカルチャーは、要するに行動としては幼稚なものだということで理解がされています。新作映画『アメイジング・スパイダーマン』で「いじめっ子」がそれほど悪人に描かれていない一方で、別にそれが非難されるわけでもないという辺りに、一種の社会的な合意、つまり「

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    satis 2012/07/23
    未だ原因のハッキリしない映画館での乱射事件。仮説としてアメリカの競争的な教育機関の問題を挙げる。