和歌山県すさみ町江住の「道の駅すさみ」近くの国道42号沿いで、全国的にも珍しい町営ガソリンスタンド(GS)「江住給油所」がオープン、16日に完成式を行った。 南紀田辺インターチェンジ(IC)までの阪和自動車道と、すさみ町江住のすさみ南ICまでの紀勢自動車道を通り、さらに国道42号で新宮市方面に行く場合、阪和道の紀ノ川SA(和歌山市)を出ると串本町串本まで143キロにわたってGSがなく、途中のICで降りて給油する車や、中には高速道路上でガス欠になる車もあった。 地域住民にとっても7年前にGSが廃業し、最も近いGSがあるのは13キロ離れた同町周参見となっており、不便な状態が続いていた。このため町は、国土交通省から「重点道の駅」に認定され、災害時の防災拠点ともなっている「道の駅すさみ」そばの国道42号沿いの土地(約400平方メートル)を購入し、昨年9月に着工した。 総事業費約5千万円で、町が地下
おだやかにお茶を飲む作本さん 「ようやく落ち着いた生活を取り戻しています」。2016年4月の熊本地震で避難生活を送る作本誠一さん(50)は、熊本県益城町にあるバリアフリー対応の仮設住宅で年越しを迎えた。 10代の時に建築現場での事故で頸椎を損傷し、首から下がまひしている作本さんは地震前、実家で会社員の弟と2人暮らしだった。 ところが、築100年ほどの自宅は全壊。病院や高校、障害者施設など移転を7回も余儀なくされた後、ようやく11月から今のバリアフリー仮設へ入居できたという。 このバリアフリー仮設は全6戸の長屋型で、全国で初めて造られた。間取りは2DK(37平方㍍)で、扉の幅は広く、トイレや浴室への段差もない。 地震前まで作本さんは、自宅で過ごすか、家族と買い物に行くことが多かった。 しかし、避難生活の時に自立生活を支援する団体に出会ったことで、同町内の在宅の障害者を支援したい意欲が湧いてき
熊本地震の発生後、熊本市が避難所に開設した「マンホールトイレ」が、国土交通省の「循環のみち下水道賞」を受賞した。下水管に直結したマンホールの上に、簡易型トイレを取り付けることで、避難所の「トイレ問題」を解消した。今後の災害に備えて、市は公共施設などでの増設を検討する。(南九州支局 谷田智恒) ◇ 大地震などで甚大な被害に見舞われた被災地では、避難者数に対してトイレがが不足することに加え、断水によってトイレ環境が劣悪になるケースが多く見られる。 飲料水は、給水車なども使って比較的早期に搬送されるが、トイレに流す水までは、発生初期は手が回らないことが多い。 こうしたトイレ問題に備え、全国では、簡易トイレの備蓄に乗り出す自治体も増えている。それでも、避難生活が長期化する場合、より容量の大きなトイレ確保が必要となる。 マンホールトイレは、公共の下水道管につながったマンホールを整備する。その上に組み
大規模な災害が発生したとき、障害者はどうなるのか? 4月の熊本地震が起きた直後から現地で障害者支援を続けている熊本学園大教授で弁護士の東(ひがし)俊裕さん(63)が、三重県庁で被災地の実態を語った。福祉団体や行政関係者ら約200人が、障害者が避難所から排除され、復興から取り残された状況に耳を傾けた。 東さんは自身も車いすで生活し、内閣府の障害者制度改革担当室長も務めた。4月16日の熊本地震の本震で、熊本学園大は急きょ700人ほどの避難所となり障害者も約60人受け入れた。はじめ障害者は身動きが取れない状況だったが、車いすの人が床に降りて休め、介護者が入るスペースや動線も確保された。 だが多くの避難所では、障害者への配慮がなく利用できなかった。パニックになった精神障害者が「避難所に置けない」と言われたり、行列に並べない障害者が支援物資を受け取れなかったりした。閉め出された障害者は、車中泊や崩れ
避難勧告を受けて避難所に集まった住民たち。心配そうにテレビの災害情報を見つめていた=那須塩原市関谷で2015年9月10日午前0時43分 高齢者避難、依然課題に 県内が浸水、土砂崩落など大きな被害に見舞われた昨年9月の関東・東北豪雨から、10日で1年となる。先月31日には岩手県の高齢者福祉施設で水害により入所者の高齢者が犠牲になるなど、依然として水害対策が十分ではない現実が浮き彫りになった。こうした中、県内の自治体や住民は昨年の豪雨被害をどう教訓化したのか。防災への取り組み、災害からの復興に向けた動きを追った。【野口麗子】 台風10号の豪雨被害に見舞われた岩手県岩泉町の高齢者グループホームでは、多くの認知症の高齢者が犠牲になるなど、「災害弱者」の避難の難しさを突き付けられた。
神戸市消防局は1日、聴覚・言語障害のある人がスマートフォンや携帯電話のインターネット機能を利用して、119番できる「NET119番通報システム」の運用を始めた。 同市消防局では平成24年以降、スマホや携帯電話のネット機能を使った通報システム「Web119番」を導入。今回は一部機能を向上させ、新システムとして運用を開始した。 「NET119番」を利用するには、専用アプリのダウンロードが必要。アプリを起動し、救急、火事、その他のいずれかを選んだ後、自宅か現在地を選択して通報する仕組みになっている。市消防局が通報を受け付けると、チャット画面に切り替わり、詳しい状況を伝えられる。 このほか、旅行先など神戸市外から通報した場合、通報場所の自治体が「NET119番」を導入していれば、最寄りの消防本部に通報が入る。導入していない場合は登録している神戸市消防局に連絡が入り、現地の消防本部に出動を依頼すると
熊本地震で、災害時に高齢者や障害者を受け入れるために指定されている熊本県内の福祉避難所のうち、発生1カ月半後の6月1日時点で受け入れ可能と確認できた施設は115カ所で、全体の4分の1だった。4分の3は、受け入れ態勢が整っていなかったか、受け入れ可能か確認できなかった。 県への取材でわかった。国や県は、災害発生後の速やかな福祉避難所の立ち上げなど課題を整理し、今後の災害対策に生かしたい考えだ。 県によると、福祉避難所は461カ所指定されており、約7400人を受け入れられる。6月1日時点で受け入れ可能だと確認できたのは、このうち115カ所(2401人)だった。 実際に福祉避難所として開設し、障害者らを受け入れたかどうかも県は調査。前震翌日の4月15日時点では27カ所が開設され、12人を受け入れていた。最も多かったのは6月1日時点の93カ所で、777人を受け入れていた。 避難の際に手助けが要る「
大分県別府市で震度6弱を観測した4月16日前後、市内に住む障害者の避難状況について、当事者101人に聞き取った調査結果を、市などが公表した。「避難できなかった」と答えた障害者が約3割にのぼった。 別府市と支援者らの団体「福祉フォーラムin別杵(べっき)・速見実行委員会」、県市町村社協職員連絡協議会が5月10日から4日間かけて、同市亀川地区の20~80歳代の身体、知的・精神の各障害者に聞き取った。半数が65歳以上で、2割以上が一人暮らしだった。 集計によると、避難したのは24人。避難しなかったのは75人だった。75人のうち、24人は避難の「必要性を感じない」と答えたものの、31人は「避難できなかった」と回答。理由について聞き取りに、「寝たきりや夫婦とも障害があり、移動は無理」「視覚の障害で動けなかった」と話したという。 残る20人は「その他」「わからない」だった。 一方、避難した24人に行き
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