医療が進歩し、体が小さく、重い病気の新生児も、新生児集中治療室(NICU)に入院することなどで命を救えるようになってきた。その結果、連載で紹介した男児(6)のように、人工呼吸器をつけたまま医療的ケア児として在宅で過ごす子どもが増える傾向にある。 医療的ケア児や家族への支援の充実が課題になる中、田村正徳(たむらまさのり)・埼玉医科大総合医療センター総合周産期母子医療センター長は「医療的ケア児の明確な定義がなかった。どう定義して実数を把握するかが課題だった」と話す。 田村さんが代表者の厚生労働省研究班は、インスリンなどの自己注射を除き、人工呼吸器、酸素療法、胃ろうなど、周囲の支援が必要な在宅医療を受ける子どもを医療的ケア児とした。2007年度は約8400人で、15年度は約1万7200人。このうち人工呼吸器をつけているのは約3千人(18%)だった。 たんの吸引や、脈拍異常を知ら…