熊本地震の発生後、熊本市が避難所に開設した「マンホールトイレ」が、国土交通省の「循環のみち下水道賞」を受賞した。下水管に直結したマンホールの上に、簡易型トイレを取り付けることで、避難所の「トイレ問題」を解消した。今後の災害に備えて、市は公共施設などでの増設を検討する。(南九州支局 谷田智恒) ◇ 大地震などで甚大な被害に見舞われた被災地では、避難者数に対してトイレがが不足することに加え、断水によってトイレ環境が劣悪になるケースが多く見られる。 飲料水は、給水車なども使って比較的早期に搬送されるが、トイレに流す水までは、発生初期は手が回らないことが多い。 こうしたトイレ問題に備え、全国では、簡易トイレの備蓄に乗り出す自治体も増えている。それでも、避難生活が長期化する場合、より容量の大きなトイレ確保が必要となる。 マンホールトイレは、公共の下水道管につながったマンホールを整備する。その上に組み
大規模な災害が発生したとき、障害者はどうなるのか? 4月の熊本地震が起きた直後から現地で障害者支援を続けている熊本学園大教授で弁護士の東(ひがし)俊裕さん(63)が、三重県庁で被災地の実態を語った。福祉団体や行政関係者ら約200人が、障害者が避難所から排除され、復興から取り残された状況に耳を傾けた。 東さんは自身も車いすで生活し、内閣府の障害者制度改革担当室長も務めた。4月16日の熊本地震の本震で、熊本学園大は急きょ700人ほどの避難所となり障害者も約60人受け入れた。はじめ障害者は身動きが取れない状況だったが、車いすの人が床に降りて休め、介護者が入るスペースや動線も確保された。 だが多くの避難所では、障害者への配慮がなく利用できなかった。パニックになった精神障害者が「避難所に置けない」と言われたり、行列に並べない障害者が支援物資を受け取れなかったりした。閉め出された障害者は、車中泊や崩れ
避難勧告を受けて避難所に集まった住民たち。心配そうにテレビの災害情報を見つめていた=那須塩原市関谷で2015年9月10日午前0時43分 高齢者避難、依然課題に 県内が浸水、土砂崩落など大きな被害に見舞われた昨年9月の関東・東北豪雨から、10日で1年となる。先月31日には岩手県の高齢者福祉施設で水害により入所者の高齢者が犠牲になるなど、依然として水害対策が十分ではない現実が浮き彫りになった。こうした中、県内の自治体や住民は昨年の豪雨被害をどう教訓化したのか。防災への取り組み、災害からの復興に向けた動きを追った。【野口麗子】 台風10号の豪雨被害に見舞われた岩手県岩泉町の高齢者グループホームでは、多くの認知症の高齢者が犠牲になるなど、「災害弱者」の避難の難しさを突き付けられた。
全盲で司法試験に合格した日本で3人目の弁護士、大胡田誠さん。半生を綴った著書『全盲の僕が弁護士になった理由』(日経BP社)は松坂桃李主演でドラマ化されました。
神戸市消防局は1日、聴覚・言語障害のある人がスマートフォンや携帯電話のインターネット機能を利用して、119番できる「NET119番通報システム」の運用を始めた。 同市消防局では平成24年以降、スマホや携帯電話のネット機能を使った通報システム「Web119番」を導入。今回は一部機能を向上させ、新システムとして運用を開始した。 「NET119番」を利用するには、専用アプリのダウンロードが必要。アプリを起動し、救急、火事、その他のいずれかを選んだ後、自宅か現在地を選択して通報する仕組みになっている。市消防局が通報を受け付けると、チャット画面に切り替わり、詳しい状況を伝えられる。 このほか、旅行先など神戸市外から通報した場合、通報場所の自治体が「NET119番」を導入していれば、最寄りの消防本部に通報が入る。導入していない場合は登録している神戸市消防局に連絡が入り、現地の消防本部に出動を依頼すると
熊本地震で、災害時に高齢者や障害者を受け入れるために指定されている熊本県内の福祉避難所のうち、発生1カ月半後の6月1日時点で受け入れ可能と確認できた施設は115カ所で、全体の4分の1だった。4分の3は、受け入れ態勢が整っていなかったか、受け入れ可能か確認できなかった。 県への取材でわかった。国や県は、災害発生後の速やかな福祉避難所の立ち上げなど課題を整理し、今後の災害対策に生かしたい考えだ。 県によると、福祉避難所は461カ所指定されており、約7400人を受け入れられる。6月1日時点で受け入れ可能だと確認できたのは、このうち115カ所(2401人)だった。 実際に福祉避難所として開設し、障害者らを受け入れたかどうかも県は調査。前震翌日の4月15日時点では27カ所が開設され、12人を受け入れていた。最も多かったのは6月1日時点の93カ所で、777人を受け入れていた。 避難の際に手助けが要る「
大分県別府市で震度6弱を観測した4月16日前後、市内に住む障害者の避難状況について、当事者101人に聞き取った調査結果を、市などが公表した。「避難できなかった」と答えた障害者が約3割にのぼった。 別府市と支援者らの団体「福祉フォーラムin別杵(べっき)・速見実行委員会」、県市町村社協職員連絡協議会が5月10日から4日間かけて、同市亀川地区の20~80歳代の身体、知的・精神の各障害者に聞き取った。半数が65歳以上で、2割以上が一人暮らしだった。 集計によると、避難したのは24人。避難しなかったのは75人だった。75人のうち、24人は避難の「必要性を感じない」と答えたものの、31人は「避難できなかった」と回答。理由について聞き取りに、「寝たきりや夫婦とも障害があり、移動は無理」「視覚の障害で動けなかった」と話したという。 残る20人は「その他」「わからない」だった。 一方、避難した24人に行き
熊本地震では、介護を必要とする高齢者や障害者らの安否確認と避難に、課題を残した。多くの自治体は事前に要支援者名簿を作っていたが、管理システムがダウンしたり、情報が古かったりした。普段から名簿を外部に提供する場合は、記載された本人の同意が必要で、災害対策のハードルになっている。 ■更新 政府は平成25年、災害対策基本法を改正し、支援が必要な人の名簿作成を市町村に義務付けた。東日本大震災で65歳以上の死者が全体の6割を占め、障害者の死亡率は住民全体の約2倍に達したからだ。 総務省消防庁によると、昨年4月時点で全国の市町村の52%が名簿を作成済みで、今年3月までの作成予定を含めると98%に上った。だが、熊本地震の例からは作った後の運用に課題が浮かぶ。 2度の震度7に襲われた熊本県益城町は、約2400人分の名簿データを準備していた。ところが、地震後、役場に入れず、パソコンも動かなくなり、5月上旬ま
熊本地震では避難所となった体育館で多くのお年寄りも過ごした=熊本県益城町で2016年4月16日、岩崎邦宏撮影 災害時に支援が必要な高齢者や障害者ら「要援護者」が、県内に少なくとも3万人以上いることが全17市町への毎日新聞の調査で分かった。しかし、要援護者が避難する「福祉避難所」の収容能力は、比較可能な13市町で計約5%にとどまり、災害時にほとんど機能しない恐れのあることも判明。熊本地震では避難所などで震災関連死が表面化しており、県内でも災害弱者への抜本的な備えが急務だ。【岩崎邦宏】 災害時要援護者は、自力避難が困難で支援を要する被災者。2013年成立の改正災害対策基本法で、市町村に名簿の作成が義務付けられた。 この記事は有料記事です。 残り1368文字(全文1622文字)
車中泊で亡くなった母恵子さんの遺影の前に座る長男の光彦さん=熊本県氷川町で2016年4月29日、今手麻衣撮影(一部画像を処理しています) 熊本地震後に急性心不全で死亡し、熊本県が震災関連死とみられると発表した同県氷川町の稲葉恵子さん(73)は、歩行が困難で転びやすい進行性核上性麻痺(まひ)という難病を患いながら車中泊を続けていた。家族は難病や障害のある被災者向けの避難所の存在を知らず、要支援者への周知のあり方が災害時の課題として改めて浮上した。 夫(76)と2人暮らしをしていた稲葉さんは、4月16日夜から隣接する宇城市の宇城総合病院の駐車場などで、同病院近くに住む長男光彦さん(49)が用意したワゴン車に寝泊まりしていた。2人を心配した光彦さん夫婦も別の車で車中泊を続け見守っていたが、20日未明、夫がぐったりしている稲葉さんに気付き、すぐに同病院に運んだものの死亡。県が29日、震災関連死とみ
医療やボランティア活動などで熊本県や大分県の被災地に入る人たちと、方言を使う地元の高齢者がうまくコミュニケーションできるよう、言語学者らが語彙(ごい)集を公開している。医療分野を優先し、まず体の部位を表す言葉や基本的な感情や動作の表現をまとめた。カウンセリング、ボランティアで必要とされる語彙も随時追加していく。 熊本は、北部(熊本市など)、東部(阿蘇市など)、南部(八代市など)の地域ごとに方言がある。今回の語彙集は、高齢者が使う表現を取り上げ、地域の違いを対照させたものもある。たとえば「ビンタ」は、主に北部では「ほお」の意味だが、南部では「頭」の意味で使うこともある。 診療中に指をさして使えるよう、人体の絵に各部位を示す言葉を書き込んだ図を作った。声をかけられた人がほっとして心を開いてくれるよう、あいさつや受け答えの表現も紹介している。 大分県は、支援拠点のある竹田市など大分南部の語彙集か
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