東日本大震災で福島県から避難した子どもたちがいじめの標的になるのではないか。危惧した教員や研究者らが震災直後、小中高生向けに授業案を作った。だがあまり活用されないまま、横浜市や新潟県で避難した子どもへのいじめが次々に明らかになった。「被災地や避難者の事実を知ってほしい」と訴えている。 麻布大生命・環境科学部の小玉敏也教授(56)が震災直後に作った小学生向け授業案「太郎君の悩み」は、子どもたちのこんなやりとりの例から始まる。 「あの子さ、福島から来たでしょ。わかる?」 「何のこと?」 「ほら、あれ、放射能」 「それってうつるかもよ、気をつけて!」 太郎は震災で父親を亡くし、母親と2人で避難して、1学期から新しい学校に通い始めた。だが、放射能が感染することはないのに、陰口が聞こえてきて不登校になってしまった。 「太郎君は突然学校に来なくなりました。みんな心当たりはありませんか? 一人一人ができ
不登校、いじめ、家庭の貧困、虐待、さらには自然災害時の対応……学校で子どもに寄り添う存在は、まず教職員です。しかし教育の専門家である教職員にも、限界があります。今や心理の専門家であるスクールカウンセラー(SC)はもとより、福祉の専門家であるスクールソーシャルワーカー(SSW)も、学校や教育委員会には欠かせない存在となっています。文部科学省の協力者会議は先頃、教育相談に関する最終報告をまとめるとともに、SCとSSWの「ガイドライン(試案)」を作成しました。今後、学校にSCやSSWをどう位置付けることが求められるのでしょうか。 SCの家庭訪問にも道 SCやSSWは、いずれも名称に「スクール」が付いているとおり、学校に関わる専門職です。その専門職性を発揮するには、まず子どもの側に立ち、学校とは一歩距離を置くことで、教職員には話せない相談も可能になるといった「第三者」としての役割も重要だとされてき
フリースクールなど学校以外の場で学ぶ不登校の子供の支援などを目的とした教育機会確保法が、昨年12月7日の参院本会議で可決、成立した。今後、不登校の子供の教育機会の確保のため、国や自治体が必要な財政支援に努めることなどが盛り込まれているが、それに先駆け、横浜市内のある中学校では、新たな不登校児対策に乗り出し、成果を挙げつつある。 不登校児を学校で受け入れる「特別支援教室」を昨年4月に新設したのは、横浜市都筑区の市立中川西中学校。市内最大規模の1044人が在籍するマンモス校の校舎の中で、特別支援教室があるのは、裏門の出入り口からすぐそばにある旧英語少人数教室の1室だ。 ◆登校したいけど… これにより、例えばいじめを受けていた生徒が同級生に会わずに教室まで行くことができる配慮がなされている。教室内には、PTAらの協力で壁を明るい白で塗り、イケア製のおしゃれな家具などが自由にレイアウトされているほ
教育機会確保法案をめぐっては、不登校関係者の間で賛否が分かれる。 「多様な学びの在り方を認めてほしいと、運動を6年続けてきた。やっと形になる」。フリースクールなどを運営するNPO法人「東京シューレ」の奥地圭子理事長は、同法案が成立する見通しとなったことを歓迎した。 「法案では、学校を休むことや学校以外の学びの在り方が大事な仕組みであることを認めている。不十分ながらも一歩前進だ」と立法の必要性を訴える。 一方、「不登校・ひきこもりを考える当事者と親の会ネットワーク」世話人の下村小夜子さんは、法案に反対の立場をとる。「不登校の子供を法律で区別し、学校以外を勧めるようになりかねず、かえって子供を追い詰める」と危惧する。 「学校教育の充実を図り、柔軟に対応できる制度とすることが本筋だ」と話すのは、東京都国立市教育長などを歴任した教育評論家、石井昌浩さん。「フリースクールなどは自主的なもの。最後の手
文部科学省の調査で、不登校の小中学生のうち年間90日以上欠席する長期不登校が6割近くを占めることがわかった。子どもたちに必要な支援とは何か――。さまざまな模索が続く中、受け皿は多様化している。 「勉強どう?」。男子生徒が女子生徒に話しかける。教室には机が並び、黒板には「今月の目標」も。だが、それは「毎日ログイン」だ。 千葉市中央区にある通信制の私立明聖高校が昨年4月に始めた「サイバー学習国」。「アバター」という生徒の分身が通うインターネット上の仮想学校だ。 アバターは生徒本人の代わりに教室を移動したり、アバター同士でチャット(おしゃべり)機能を使って交流したりする。授業は学校が配信する動画で受ける。年間4日間のスクーリング(面接指導)と進級試験1日の計5日間は、実際に登校することが必要だが、それ以外は自分に合わせて勉強できる。 英単語や漢字などの小テストに合格するとポイントがたまり、アバタ
はっきりした理由もなく、子どもが学校に行きたくないと言い出す―。この段階でしっかりと原因を突き止めなかったがために、完全な不登校になってしまうケースは少なくないといいます。無料メルマガ『いじめから子供を守ろう!ネットワーク』に寄稿したスクールソーシャルワーカーの村崎京子さんは、そのうちの数%は担任が原因であるとした上で、教職に就く人間がもつべき心構え、身につけるべきスキルについて述べています。 不登校の隠された要因、先生側の事情 「学校に行きたくない」と小学5年生の拓哉くん(仮名)がお母さんに話をしたのは、10月の半ばのことでした。何を聞いても、「とにかく学校に行きたくない」と言うだけで、理由がわかりません。11月に開かれる学芸会の準主役を演じることも決まっており、ご両親が「楽しみにしているよ」と、拓哉くんに話したのはつい最近のことです。とうとう1週間も学校を休んでしまいました。 お母さん
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