子宮頸(けい)がんの原因ウイルスの感染を防ぐ「ヒトパピローマウイルス(HPV)ワクチン」について、日本産科婦人科学会は23日、接種の積極的な勧奨を早期に再開するよう求める声明を発表した。勧奨の中止から5年が過ぎ、国内外でワクチンの有効性と安全性を示す科学的な根拠が多く示されたとして、科学的な視点で議論するよう求めた。 記者会見で藤井知行理事長は「ほかのワクチンに比べて危険性が高いということはない。しかも、女性の命や妊娠に関わるがんを防げる。勧奨の再開については科学的に考えてほしい」と話した。 HPVワクチンは2010年11月、公費助成が始まり、13年4月に定期接種になった。だが、接種後に体の痛みなどを訴える人が相次ぎ、厚生労働省は6月、対象者に通知を出して接種を促す「積極的な勧奨」を中止。16年には、被害を訴える人たちが国と製薬会社に損害賠償を求める集団訴訟を起こした。