並び順

ブックマーク数

期間指定

  • から
  • まで

1 - 40 件 / 48件

新着順 人気順

デジタル経済の検索結果1 - 40 件 / 48件

  • 「分散型」のWeb3が分散ではなく“中央集権”を加速させてしまう理由 | スコット・ギャロウェイ「デジタル経済の先にあるもの」

    スコット・ギャロウェイ「デジタル経済の先にあるもの」 「分散型」のWeb3が分散ではなく“中央集権”を加速させてしまう理由 まさかTwitterを去りしジャックに、これほど感謝する日が来ようとは。進歩の鍵は「上流階級の裏切り者」が握っているものだ。軍産複合体に警鐘を鳴らす将軍しかり、嘘つきの経営陣を告発するプロダクトマネージャーしかり。そして、シリコンバレーの白人の掟──互いに批判せず、世界を救うという崇高な使命にケチをつけない──を破るテックリーダーもまたしかり。 ジャック・ドーシーは剣を抜き、支配力を結集して分散化の見込みから利益を得ようとたくらむ同業者に狙いを定めた。単刀直入にいうと、「Web3」に非難を浴びせたのだ。 あなたは「web3」の所有者にはなれない。 所有するのはベンチャーキャピタルと、彼らのリミテッドパートナーだ。彼らのインセンティブを逃れることは決してできない。Web

      「分散型」のWeb3が分散ではなく“中央集権”を加速させてしまう理由 | スコット・ギャロウェイ「デジタル経済の先にあるもの」
    • イーロン・マスクは連邦政府を叩きながら助成金にたかる寄生虫である | デジタル経済の先にあるもの

      この記事は、ベストセラーとなった『the four GAFA 四騎士が創り変えた世界』の著者で、ニューヨーク大学スターン経営大学院の経営学者であるスコット・ギャロウェイによる連載「デジタル経済の先にあるもの」です。月に2回お届けしています。 先週末、テクノロジー業界の大物実業家イーロン・マスクは私のことを「残酷で、意地悪で、不誠実」だと非難した。2年半前、私は彼のことを「政府の援助に依存して成り立っている寄生者(welfare queen)」と呼んだ。この相互の評価について、どちらが正しいのか、判断は読者に委ねよう。 以下の投稿は2022年8月19日に公開されたものである。 歴史上最も成功した投資機関はどこだろうか? シリコンバレーを代表するベンチャーキャピタル、クライナー・パーキンスやセコイア・キャピタルは、多くのインターネット企業の成功を支えてきた。近年注目を集めるアンドリーセン・ホロ

        イーロン・マスクは連邦政府を叩きながら助成金にたかる寄生虫である | デジタル経済の先にあるもの
      • 2023年に最も注目すべきテクノロジーは、世界を変えうる技術革命「生成型AI」だ | スコット・ギャロウェイ「デジタル経済の先にあるもの」

        この記事は、ベストセラーとなった『the four GAFA 四騎士が創り変えた世界』の著者で、ニューヨーク大学スターン経営大学院の経営学者であるスコット・ギャロウェイによる連載「デジタル経済の先にあるもの」です。月に2回お届けしています。 最近、ITは失敗の文脈ばかりで語られる。技術がいかに私たちを失敗させたか。もっと冷静に評価するなら、人間がいかに技術を失敗させているか。SNSは子供時代を台無しにする可能性を秘め、暗号通貨は何十億ドルものお金を消失させている。 しかし、SNSを荒廃させ、暗号通貨に資産をつぎ込んでいるのは、図体だけ大きく成長した子供たちである。その問題点は? 技術は脇役に徹するべきなのに、前面に出てきている。質問を求める解答、本末転倒だ。 毎年、IT業界に新たな技術がお目見えする。ウェアラブル、モバイル、3Dプリント、ブロックチェーン、Web 3.0、そしてメタバース。

          2023年に最も注目すべきテクノロジーは、世界を変えうる技術革命「生成型AI」だ | スコット・ギャロウェイ「デジタル経済の先にあるもの」
        • AI時代が到来しても、消滅する以上に「多くの仕事」が創出される | スコット・ギャロウェイ「デジタル経済の先にあるもの」

          この記事は、ベストセラーとなった『the four GAFA 四騎士が創り変えた世界』の著者で、ニューヨーク大学スターン経営大学院の経営学者であるスコット・ギャロウェイによる連載「デジタル経済の先にあるもの」です。月に2回お届けしています。 資本主義の目的は、野心を成功に変えることだ。インセンティブを変化させるこの錬金術は、私たちが欲するもの、つまり、食べ物、住まい、今より大きなiPhone、好ましい仲間などから経済的な機会を執拗に得ようとする意欲をはぐくむ。富と愛に対する渇望が、私たちを労働と創造に駆り立てるのだ。資本主義の特質は、その衝動に新たな道をもたらすところにある。 資本主義にとっての「哲学者の石」は、技術革新である。資本主義が栄え世界中に広まった時期が、製造や輸送や情報における新たなテクノロジーの導入時期と重なったのは偶然ではない。技術が進歩するたびに、野心を発揮するスペースが

            AI時代が到来しても、消滅する以上に「多くの仕事」が創出される | スコット・ギャロウェイ「デジタル経済の先にあるもの」
          • 2024年の大胆予想「イーロン・マスクはツイッターの支配権を失うだろう」 | スコット・ギャロウェイ「デジタル経済の先にあるもの」

            この記事は、ベストセラーとなった『the four GAFA 四騎士が創り変えた世界』の著者で、ニューヨーク大学スターン経営大学院の経営学者であるスコット・ギャロウェイによる連載「デジタル経済の先にあるもの」です。月に2回お届けしています。 毎年、私たちは昨年を振り返り、今年の予測を立てる。大半の年は予想が外れるよりも当たるほうが多い。だが外れることも必ずある。もし10個の予測がすべて的中したら、それは予測というより、当然のことを口にしたまでだ。予測の良し悪しは、その予測が対象について何を明らかにするか、馴染みのトピックをどう捉え、または捉え直すか、そして生産的な対話を促すかどうかで決まる。 以下は、2023年の予測と結果、続いて2024年の予測である。 米国のインフレ率が2.5%を下回る 1年前、ブルームバーグの経済モデルは景気後退の確率を100%と計算した※1。我々は、インフレが上昇し

              2024年の大胆予想「イーロン・マスクはツイッターの支配権を失うだろう」 | スコット・ギャロウェイ「デジタル経済の先にあるもの」
            • イーロン・マスクの「デジタル・クーデター」から民主主義を守るための具体策 | デジタル経済の先にあるもの

              この記事は、ベストセラーとなった『the four GAFA 四騎士が創り変えた世界』の著者で、ニューヨーク大学スターン経営大学院の経営学者であるスコット・ギャロウェイによる連載「デジタル経済の先にあるもの」です。月に2回お届けしています。 わたしはキャリアを通じて、「正しいこと」と「効果的であること」の違いを見極めるのに常に苦労してきた。最近の世論調査が示すところによれば、多くの中道派は「正しさ」(憲法が定める抑制と均衡のシステム)よりも「効果的さ」(素早く行動し、必要なら既存の仕組みを壊すこと)を好むようになっている。独裁制が魅力的に映るのは、短期的には効果を上げているように見えるからだ。 興味深いことに、米国人の3分の1は、政治的立場の左右を問わず、その独裁者が自分の価値観と一致している限り、独裁的な指導者を支持するという(そして正直に言えば、その独裁者は常に「彼」という男性なのだが

                イーロン・マスクの「デジタル・クーデター」から民主主義を守るための具体策 | デジタル経済の先にあるもの
              • 「スーパーアプリ」を制するものが史上最大の価値を持つ企業になる | スコット・ギャロウェイ「デジタル経済の先にあるもの」

                ついに※1。 2年前、私はツイッターの会長宛に手紙※2を書き、ジャック・ドーシーCEOを交代させるべきだと忠言した。というか、より正確には、取締役会にフルタイムのCEOを任命すべきだと勧めた。自分の時間の90%を別の会社※3の経営に費やし、1年の半分を別の大陸で過ごそうと計画している経営者※4は、微々たる配当金を生み出す秘訣に思えた。ネタばれになるが、実際その通りだった。 今年2月、株主のために行動する取締役が取締役会に加わったことで、私はドーシーが年末までに交代するだろうと予測した※5。ジャックがCEOに返り咲いた日から退任するまでのあいだ(6年間)に、ツイッターの株価は33%上昇した。一方、S&P500、フェイスブック、グーグルの上昇率は、それぞれ121%、283%、447%だった。 次なる私の予測は何かって? ツイッターは2022年末までに買収されるだろう。可能性が高い買い手はセール

                  「スーパーアプリ」を制するものが史上最大の価値を持つ企業になる | スコット・ギャロウェイ「デジタル経済の先にあるもの」
                • テック不況は2頭の巨象がもたらしている真実から目を背けてはいけない | スコット・ギャロウェイ「デジタル経済の先にあるもの」

                  「部屋のなかの象」(Elephant in the room)という英語表現がある。「誰もが気づいているのに話題にしたがらない重要な問題」という意味で、使われるが、昨今のテック不況の背景には、誰も語りたがらない2頭の巨大な象が存在するとギャロウェイ教授は指摘する。 2017年、私は『the four GAFA 四騎士が創り変えた世界』xという、アマゾン、アップル、フェイスブック、グーグルについての本を書いた。25年間、身を粉にして働いてきた私は、一夜にして成功者となった。講演に登壇し、ケーブルTVのニュース番組やトークショーに出演し、書籍の執筆やポッドキャスト配信の契約を結んだ。 議員たちと多くの時間を過ごし、有力者たちが私とランチをしたがった。人々は魅了され、衝撃すら受けたのだ。ビッグテックは強力で、強力すぎるかもしれないという単純な洞察に。 ビックテックに対する懸念の多くは、プラットフ

                    テック不況は2頭の巨象がもたらしている真実から目を背けてはいけない | スコット・ギャロウェイ「デジタル経済の先にあるもの」
                  • ビッグテックを取り締まる「審判」が必要である理由 | スコット・ギャロウェイ「デジタル経済の先にあるもの」

                    希少な資源を巡る競争は、人類の種としての進化や、西側民主主義の成功の核心にある。私たちは、食料や住まい、配偶者の取り合いでライバルに打ち勝った何百万世代にもわたる生存者の産物だ。 2つの単細胞生物がエネルギー源を巡って競い合うように、1組の姉妹がテニス四大大会「グランドスラム」のトロフィーを目指して練習に励むように、競争はたゆまぬ努力と革新を促してきた。 自然科学者チャールズ・ダーウィンは、自分の研究を20年ほど秘密にしていたが、ある同僚が同じような理論を提唱していることを知ると「種の起源」の執筆に取りかかった。発明家のニコラ・テスラとトーマス・エジソンは、電気を動力とする経済の基盤を確立する過程で激しく反目し合った。 小説家のヘミングウェイとフィッツジェラルドは、互いを押しのけ合って現代アメリカ文学を生み出した。ラッパーのJay-ZとNasは楽曲で互いを罵り合い、歌詞の、そして文字通りの

                      ビッグテックを取り締まる「審判」が必要である理由 | スコット・ギャロウェイ「デジタル経済の先にあるもの」
                    • 「AIによる人類滅亡」を警告する“うぬぼれたテックエリート”を信じてはいけない | スコット・ギャロウェイ「デジタル経済の先にあるもの」

                      この記事は、ベストセラーとなった『the four GAFA 四騎士が創り変えた世界』の著者で、ニューヨーク大学スターン経営大学院の経営学者であるスコット・ギャロウェイによる連載「デジタル経済の先にあるもの」です。月に2回お届けしています。 いま、コッツウォルズで開催中のファウンダーズ・フォーラムに来ている(コッツウォルズはロンドン郊外のどこかだそうだ)。テスラや再利用されたメイソンジャーが至る所にある……私たちが世界をより良い場所にしようとしている証だ。 2023年開催のテックエリートが集まる会はどれもそうだが、フォーラムの内容は「AIと7人のこびとたち」と言い表すのがぴったりだ。ビジョンを持った若者たちは、インスピレーションを掻き立てられる瞬間と、テクノ・ナルシシズムの発作のあいだを行き来している。まあ無理もない。もし30代の男性に「君はイエス・キリストだ」と伝えれば、きっとその気にな

                        「AIによる人類滅亡」を警告する“うぬぼれたテックエリート”を信じてはいけない | スコット・ギャロウェイ「デジタル経済の先にあるもの」
                      • 群雄割拠の動画配信ビジネスに残された「2つのフロンティア」 | スコット・ギャロウェイ「デジタル経済の先にあるもの」

                        2015年、私はDLDカンファレンスにおいて、ブランドとテクノロジーに関するプレゼンテーション※1を行った。その講演の動画は、音楽業界のアナリスト(@boblefsetz)が自身のニュースレター※2で紹介したあと、YouTubeでちょっとしたバイラル現象を起こした。 その後まもなく、私は書籍の出版契約を結び、毎週このニュースレターを書き、CNBC、FOXビジネス、ブルームバーグからコンスタントに出演依頼があり、数年前に設立したL2という会社は年60%の成長を始めた。ライブストリーミングやテレビでの成功に対応するため、私は自宅のガレージの上にスタジオを作った。25年間必死に働いてきた私は、一夜にして成功を収めたわけだ。 さて、ここから得られた教訓はなにか? 私たちの社会は、どういうわけか、包括的なブランド(たとえば放送局)が保証する動画への出演や、プラットフォーム上での数百万回の視聴回数や「

                          群雄割拠の動画配信ビジネスに残された「2つのフロンティア」 | スコット・ギャロウェイ「デジタル経済の先にあるもの」
                        • 「パタゴニア・ベスト」不況が吹き荒れる2023年を大胆予測する | スコット・ギャロウェイ「デジタル経済の先にあるもの」

                          この記事は、ベストセラーとなった『the four GAFA 四騎士が創り変えた世界』の著者で、ニューヨーク大学スターン経営大学院の経営学者であるスコット・ギャロウェイによる連載「デジタル経済の先にあるもの」です。月に2回お届けしています。 これまでの不況はそれぞれ異なる層にダメージを与えたが、今度はIT関係者が標的になりそうだ。スコット・ギャロウェイ教授は、彼らが愛用する上着の名前を取って、「パタゴニア・ベスト」不況と命名している。 毎年、私たちは未来予測を発表している。目的は会話のきっかけ作りだ。同時に自身の発言に責任を持とうという意図もある。以下、2023年の未来予測をお届けする。 パタゴニア・ベスト不況 2022年にビジネス界隈を賑わせた話題は「インフレ」だった。2023年にはそれが「不況」に変わり、富裕層が資産を減らすよりも悪い状況があることを思い知らされるだろう。加えて「ペット

                            「パタゴニア・ベスト」不況が吹き荒れる2023年を大胆予測する | スコット・ギャロウェイ「デジタル経済の先にあるもの」
                          • デジタル経済レポート: データに飲み込まれる世界、聖域なきデジタル市場の生存戦略 (METI/経済産業省)

                            経済産業省は、若手新政策プロジェクトの取組の一環として、「デジタル経済レポート:データに飲み込まれる、聖域なきデジタル市場の生存戦略」を公表しています。 ソフトウェア、そしてデータが、世界を飲み込んでいる。世界は、存在する文字通りすべての取得可能なデータを起点に、企業や企業の提供するサービスの付加価値がソフトウェアによって規定される「聖域なきデジタル市場」時代に突入している。 サービスの付加価値を規定するソフトウェアが売れないとハードウェアが売れない。そして、データがなければ価値あるソフトウェアが生み出せず、競争力が維持できない、という「データに全てを飲み込まれる世界」が、聖域なきデジタル市場という現実の競争環境として着実に迫っている。 目的 本書は、マクロ経済指標における「デジタル赤字」に着目し、その統計結果の背景にある我が国産業と市場の構造問題を明らかにすることで、その構造問題を打破す

                            • 若者が在宅勤務ではなく、オフィスを提供する雇用主を見つけるべき理由 | スコット・ギャロウェイ「デジタル経済の先にあるもの」

                              在宅勤務は一長一短だ。先週、私はCNNの番組「スマーコニッシュ・ショー」に出演し※1、4分間にわたってリモートワークのメリットについて語ったのち、30秒かけてデメリットを説明した。オフィスは若手社員がメンターや同僚、仲間たちとの関係を構築する場所だ。要するに、若者よ、シャツを着て、オフィスに行きたまえ。 その発言がテスラを乗り回す連中の気に障った。ツイッターを見ると※2、「ゴミ野郎」、「もう1954年じゃない」、「本当にくだらない意見だ」。要するに……実にツイッターらしい反応である。 リモートワークがらみの発言が炎上するのは、重要だからだ……しかも相当。パンデミックが始まって以来、職場の分散は、経済の片隅で実施されていた実験から、勤務形態の主流へと変化を遂げた。 2021年9月の時点において、米国の全従業員のほぼ半数が、少なくとも一定期間、リモートワークをしていた※3。2022年5月時点で

                                若者が在宅勤務ではなく、オフィスを提供する雇用主を見つけるべき理由 | スコット・ギャロウェイ「デジタル経済の先にあるもの」
                              • いまやソーシャルメディアは「確証バイアス」の“原子炉”になっている | スコット・ギャロウェイ「デジタル経済の先にあるもの」

                                この記事は、ベストセラーとなった『the four GAFA 四騎士が創り変えた世界』の著者で、ニューヨーク大学スターン経営大学院の経営学者であるスコット・ギャロウェイによる連載「デジタル経済の先にあるもの」です。月に2回お届けしています。 私の父は「コミュニケーションは聞き手次第だ」と言い張るが、それを言うのはたいてい、自分の発言だと認めたくないような馬鹿げたことを口にした後だ。思うに、1970年以前に生まれた男性の大半は、生物学的に謝る能力が欠如している。「ごめんなさい」と言うことは、宇宙に対して敗北を認めることなのだ。 父はまた、「目や耳で捉えたものが現実だ」ともよく口にする。両者は同じコインの裏表だ。 つまり、私たちは自分が聞きたいこと、あるいは権力者が聞かせたいことを聞いている。トランプ前大統領とイーロン・マスクの「空飛ぶ猿」たちは、二人にとっての現実を作り出し、その子供じみた行

                                  いまやソーシャルメディアは「確証バイアス」の“原子炉”になっている | スコット・ギャロウェイ「デジタル経済の先にあるもの」
                                • 若者の経済的不満による「テストステロン投票」がトランプに勝利をもたらした | デジタル経済の先にあるもの

                                  この記事は、ベストセラーとなった『the four GAFA 四騎士が創り変えた世界』の著者で、ニューヨーク大学スターン経営大学院の経営学者であるスコット・ギャロウェイによる連載「デジタル経済の先にあるもの」です。月に2回お届けしています。 彼女が負けた理由を議論するよりも、彼が勝った理由を考察する方が興味深い。わたしたち左派は「彼は僅差で国民投票に勝っただけだ」とか「ウィスコンシンはたった3万票差だった」といった言葉で自らを慰めようとするが、現実にはドナルド・トランプはカマラ・ハリスを完膚なきまでに打ち負かした。 トランプは初めて国民投票で勝利し、7つの激戦州すべてを制した。これは政治的な地震であり、従来型メディアと戸別訪問を20世紀の遺物に変えた。トランプはラテン系から13ポイントを獲得し※1、その衝撃はカリフォルニアの選挙戦にまで及んだ。その余震は今後4年間(そしてそれ以降も)続くこ

                                    若者の経済的不満による「テストステロン投票」がトランプに勝利をもたらした | デジタル経済の先にあるもの
                                  • 米国が「少子化対策」に膨大な投資をしなければいけない理由 | スコット・ギャロウェイ「デジタル経済の先にあるもの」

                                    この記事は、ベストセラーとなった『the four GAFA 四騎士が創り変えた世界』の著者で、ニューヨーク大学スターン経営大学院の経営学者であるスコット・ギャロウェイによる連載「デジタル経済の先にあるもの」です。月に2回お届けしています。 人類の起源は30万年前にさかのぼる。以来、長きにわたり人類の大半は30代前半までしか生きられず、深い裂傷や骨折は死の宣告に等しかった。だが1800年頃に、状況は一変した。富、平均寿命、そして人口が爆発的に増加したのだ。過去200年間で、一人当たりGDPは15倍になり※1、私たちは今や曾祖父母の2倍長生きし、人口は10億人から80億人へ、8倍にも増加している。 1798年、トーマス・マルサスは世界的な人口増加による人類の終末を予言した※2。だがその予言は外れた。私が子供の頃、マルサスの時代から人口が4倍になった後、ポールとアン・エーリックが『人口が爆発す

                                      米国が「少子化対策」に膨大な投資をしなければいけない理由 | スコット・ギャロウェイ「デジタル経済の先にあるもの」
                                    • 「怒り」と「二極化」を生むアテンション・エコノミーの排出物は気候変動より深刻である | スコット・ギャロウェイ「デジタル経済の先にあるもの」

                                      この記事は、ベストセラーとなった『the four GAFA 四騎士が創り変えた世界』の著者で、ニューヨーク大学スターン経営大学院の経営学者であるスコット・ギャロウェイによる連載「デジタル経済の先にあるもの」です。月に2回お届けしています。 宇宙は物質や気体が衝突し、互いに付加価値を高め合ってできたものだ。人類が世界の頂点に上り詰めたのも、ある物質を別の物質に変換し、価値を付加する能力のおかげである。人は木を火に変え、クルミ油をインクに変えて、さらにそれを情報に変えることを学んだ。砂を加工して、窓やコンピュータ・チップや浄水器に変えることもできる。 変換は副産物を生むことが多々あり、時には思いがけない優れものを生み出す。たとえば、脂肪を石鹸に変換する過程で作り出されるグリセリンは、保湿剤から火薬まであらゆるものに活用できる。 だが、副産物は往々にして問題を引き起こす。コーヒー豆を焙煎すると

                                        「怒り」と「二極化」を生むアテンション・エコノミーの排出物は気候変動より深刻である | スコット・ギャロウェイ「デジタル経済の先にあるもの」
                                      • イーロン・マスクも服用する「うつ病治療」の薬物「ケタミン」を試してみた | スコット・ギャロウェイ「デジタル経済の先にあるもの」

                                        この記事は、ベストセラーとなった『the four GAFA 四騎士が創り変えた世界』の著者で、ニューヨーク大学スターン経営大学院の経営学者であるスコット・ギャロウェイによる連載「デジタル経済の先にあるもの」です。月に4回お届けしています。 数週間前、ケタミン療法を体験した。ポッドキャスト「Pivot」と「Prof G Pod」でそれについて話したところ、友人や知らない人、そしてメディアからの問い合わせが殺到している。 私はこの体験に関する自分の認識が、どのように進化/成熟/拡張(適切な言葉が見つからなかった)していくのかまずは静観し、ダニエル・カーネマンの助言に従い「遅い思考」を活用したいと思っていた。 また、私が体験した治療法の背景と技術について、そして大勢の人々が様々な状況で使うようになった薬物について、調べてみたくなった。ともあれ、私のケタミン療法体験についてお話ししよう。 麻酔薬

                                          イーロン・マスクも服用する「うつ病治療」の薬物「ケタミン」を試してみた | スコット・ギャロウェイ「デジタル経済の先にあるもの」
                                        • SVB破綻で生まれた「ベンチャー破壊論者」が事態を悪化させている | スコット・ギャロウェイ「デジタル経済の先にあるもの」

                                          この記事は、ベストセラーとなった『the four GAFA 四騎士が創り変えた世界』の著者で、ニューヨーク大学スターン経営大学院の経営学者であるスコット・ギャロウェイによる連載「デジタル経済の先にあるもの」です。月に2回お届けしています。 1907年、金利が上昇し株式市場が下落するなか、ニューヨークの2人の銀行家が銅採掘会社の株を買い占めようと目論んだ。だがその計画は失敗に終わり、2人を支援した銀行の預金者たちは預金を引き上げてしまった。そのうちニッカーボッカー信託会社という銀行は、取り付け騒ぎで資金が底をつき、4日後に営業停止を余儀なくされた。そして混乱が始まった。 全米屈指の銀行家にしてビジネスリーダーでもあったJ.P.モルガンは、その状況に義務感と好機を見出した。彼はニューヨークの銀行の頭取たちをマディソン街の自宅に招集した。そして逸話によると、ドアに鍵をかけ、その鍵をポケットにし

                                            SVB破綻で生まれた「ベンチャー破壊論者」が事態を悪化させている | スコット・ギャロウェイ「デジタル経済の先にあるもの」
                                          • コロナ危機によって新たな未来の“鍵が開けられた”意外な分野は | スコット・ギャロウェイ「デジタル経済の先にあるもの」

                                            危機の後につづく時代は歴史上最も繁栄し、しばしば科学や、かつての敵や、人々の礼儀に対して大胆な投資を引き起こしてきた。そんなわけで、パンデミックや暴動に見舞われた2021年を終えた今、この先10年間はシャンパンとコカインで過ごせるのではないかと期待している。 いまこそ改善すべきこと 永続的な繁栄の土台となるのは「アンロック」、つまり、新たなアプローチで飛躍の可能性の鍵を開け放つことである。Think Different、というわけだ。外的なショックは、私たちに手持ちのリソースを新鮮なやり方で活用することを強いてくる。このとき重要なのは、新しい手法かどうかよりも、手元の材料をアレンジできるかどうかだ。 アンロックは、多くの場合、新しいテクノロジーに触発されて起こる。しかし2021年は、10億年前の技術によって、前例のないアンロックが触発された年かもしれない。タンパク質で覆われた核酸分子は、光

                                              コロナ危機によって新たな未来の“鍵が開けられた”意外な分野は | スコット・ギャロウェイ「デジタル経済の先にあるもの」
                                            • 「デジタル経済レポート:データに飲み込まれる世界、聖域なきデジタル市場の生存戦略」を公表しました (METI/経済産業省)

                                              経済産業省は、若手新政策プロジェクトの取組の一環として、「デジタル経済レポート:データに飲み込まれる世界、聖域なきデジタル市場の生存戦略」を公表しました。 1.目的 本書は、マクロ経済指標における「デジタル赤字」に着目し、その統計結果の背景にある我が国産業と市場の構造問題を明らかにすることで、その構造問題を打破するための産業戦略を示し、今後官民の役割分担の下、実行すべき施策を策定するための共通認識を醸成することを目的とした報告書です。 本書の公開を通じて、無形資産時代への移行に伴い、ソフトウェア・データを中心として、その価値によって例外なく全ての産業の競争力が左右される「聖域なきデジタル市場」における我が国産業と市場が置かれている状況に警鐘を鳴らし、経営者や投資家、政府や自治体等の政策担当者を対象に、日本の産業競争力の向上のため、これまでの政策アプローチや産業構造に囚われない新たな官民の協

                                              • スレッズの躍進はイーロン・マスクがツイッターを機能不全にしたおかげである | スコット・ギャロウェイ「デジタル経済の先にあるもの」

                                                この記事は、ベストセラーとなった『the four GAFA 四騎士が創り変えた世界』の著者で、ニューヨーク大学スターン経営大学院の経営学者であるスコット・ギャロウェイによる連載「デジタル経済の先にあるもの」です。月に2回お届けしています。 7月初め、ツイッター(現・X)は「マイスペース」と化した。イノベーションに欠けるSNSは、メタの手にかかり徐々に安楽死へと向かっている。メタの「スレッズ」は、1週間足らずで1億1000万人のユーザーを獲得したが、これはドイツとオーストラリアの人口を合わせた数に匹敵する。プラットフォーム業界史上、最も激しい混迷だ。 さて、ここから何が学べるだろう? 肥大 2023年を象徴するビジネス戦略は、AIの利活用でもハイブリッドワークの導入でもなく、肥大化対策だ。具体的に言えば、「肥大をいかに削減するか」である。イーロン・マスクがツイッターの従業員を80%削減した

                                                  スレッズの躍進はイーロン・マスクがツイッターを機能不全にしたおかげである | スコット・ギャロウェイ「デジタル経済の先にあるもの」
                                                • トランプが「司法取引」で大統領選から撤退する数学的根拠 | スコット・ギャロウェイ「デジタル経済の先にあるもの」

                                                  この記事は、ベストセラーとなった『the four GAFA 四騎士が創り変えた世界』の著者で、ニューヨーク大学スターン経営大学院の経営学者であるスコット・ギャロウェイによる連載「デジタル経済の先にあるもの」です。月に2回お届けしています。 私にも、誰にも、先のことはわからない。でも私には、ドナルド・トランプが司法取引に応じて大統領選から撤退する可能性が高まっているように思える。なぜか? 答えは計算すればわかる。 トランプは少なくとも3つの裁判管轄で起訴に直面しており、再選されない限り、裁判にかけられ、有罪判決を受け、収監される可能性が高い。そうはなるまいと私が考えるのは、司法取引をすれば全員の利益になるからだ。 トランプと検察側は、刑事訴訟の解決と引き換えに、トランプが公職に就くことを生涯禁止することで和解するにちがいないと私はにらんでいる。政治地図の実情が浮き彫りになるにつれて、トラン

                                                    トランプが「司法取引」で大統領選から撤退する数学的根拠 | スコット・ギャロウェイ「デジタル経済の先にあるもの」
                                                  • オンラインポルノは若者の成長と交流の機会を奪う「現代のアヘン」である | デジタル経済の先にあるもの

                                                    この記事は、ベストセラーとなった『the four GAFA 四騎士が創り変えた世界』の著者で、ニューヨーク大学スターン経営大学院の経営学者であるスコット・ギャロウェイによる連載「デジタル経済の先にあるもの」です。月に2回お届けしています。 ポルノはセックスのマクドナルドだ。速くて便利、おまけに栄養とは無縁である──出典不明 今月初め、バルセロナで開催されたモバイル・ワールド・コングレスに参加していた。テック企業を創業した既婚の二児の父が声をかけてきて、メンターになってほしいと頼んできた。 「先生、ぜひ指導していただきたいんです。わたしは悩める若者たちの相談に乗っているんですが、あなたのような成功者に教えを請いたくて」 「ある依存症に苦しんでいるんです」と彼は続けた。 「どんな依存症なんですか?」 「ポルノなんです」 その言葉が口から出た瞬間、彼の感じる恥ずかしさが手に取るように伝わってき

                                                      オンラインポルノは若者の成長と交流の機会を奪う「現代のアヘン」である | デジタル経済の先にあるもの
                                                    • アップルを世界初の収益1兆ドル企業に押し上げる「6つの武器」 | スコット・ギャロウェイ「デジタル経済の先にあるもの」

                                                      数を四捨五入することに本来的な意味はなく、指が10本であることの帰結でしかない。しかし、概数はベンチマークを、つまり観測を絞り込む方法を提供してくれる。この数年、IT業界では、時価総額が1兆ドルを突破した企業が数社、2兆ドルを突破した企業が数社、そして3兆ドルに手が届いた企業が1社あった。 さらに大胆に、「収益」1兆ドルという目標を掲げてみよう。達成にはまだ数年かかりそうだ。現在、収益トップのウォルマートでさえ、昨年度の収益は5590億ドルだった。「時価総額」は数分のあいだに20%以上変動する一方で、「収益」は実際の取引を基準にしているため、そちらのほうがステークホルダーの価値の震源地に近い。英語では収益を「ターンオーバー」と呼ぶが、これは誰かが実際に仕事をしていることを意味する。 世紀の銀行強盗 収益1兆ドルは、単独の業種では達成できないだろう。そもそも収益1兆ドル規模の業種自体がほとん

                                                        アップルを世界初の収益1兆ドル企業に押し上げる「6つの武器」 | スコット・ギャロウェイ「デジタル経済の先にあるもの」
                                                      • 他人に損害を与える「愚かな人の能力」を過小評価してはいけない | スコット・ギャロウェイ「デジタル経済の先にあるもの」

                                                        あなたの祖先たちは蛇を飼い、悪臭のする水を飲んでいた。でも、あなたは(おそらく)そうしない。それは頭の中に常に存在する究極のストリーミング・ネットワーク、いわゆる「本能+」を通じて、祖先の失敗から人生の教訓を学んできたためだ。 要するに、私たちの本能は未来予測に役立つ。ライオンに近づけば食べられてしまう、などなど。しかし、社会が突き付けてくる決断事項のなかには、そのニュアンスや複雑さが我々の本能を凌駕しているものがある。こうした挑戦に対する私たちの対応が、人類を進歩(または後退)させる。 ちょうど80%の人が自分を平均より上の運転手だと信じているように、大多数の人は自分が間違った判断をたくさんすることを認めない。それが、その人たちをとりわけ危険な存在にしている。死と同様に、愚かさは他者にとって、より苦痛をもたらすものだ。カルロ・チポラ教授の「人類の愚かさに関する基本法則」は、次のように分析

                                                          他人に損害を与える「愚かな人の能力」を過小評価してはいけない | スコット・ギャロウェイ「デジタル経済の先にあるもの」
                                                        • 「有害な不確実性」を撒き散らすトランプの関税政策は世界と米国を共倒れさせる暴挙だ | デジタル経済の先にあるもの

                                                          この記事は、ベストセラーとなった『the four GAFA 四騎士が創り変えた世界』の著者で、ニューヨーク大学スターン経営大学院の経営学者であるスコット・ギャロウェイによる連載「デジタル経済の先にあるもの」です。月に2回お届けしています。 正気の沙汰ではない 国家はこれまで長い歴史の中で、戦略的に重要な産業を守るため、あるいは不公正な貿易慣行に対抗するために関税を活用してきた。特定の状況においては、対象を絞った関税措置には正当性がある。ドナルド・トランプは前政権時代、中国製品に対して数千億ドル規模の関税を課した──そしてこの関税政策は、ジョー・バイデンもほぼ完全に引き継いだ。 しかし、現在われわれが目の当たりにしている大規模な一律関税は、かつての医療で使われたヒル虫療法のようなものだ。時代遅れで効果のない戦略に過ぎない。 「解放の日」関税を通じて、トランプは世界経済秩序を爆破し、中国から

                                                            「有害な不確実性」を撒き散らすトランプの関税政策は世界と米国を共倒れさせる暴挙だ | デジタル経済の先にあるもの
                                                          • 人々の注意を奪い合うアテンション・エコノミーが我々を愚かにしている | スコット・ギャロウェイ「デジタル経済の先にあるもの」

                                                            経済成長を焚き付ける要素は、レアアースでも処理能力でもNFTでもなく、「注目」である。平均的なアメリカ人は1日11時間をメディア消費に費やしているが※1、それは起きている時間の65%に相当する。そのうち大体40%はモバイルデバイスに費やされている。 その「注目」を獲得し収益化するために、何十億ドル、そして何百万人年が投じられている。より多くの注目が集まれば、より多くのデータが集まり、より多くの収益が得られ、より多くの関連サービスが生まれ、そしてまた、より多くの注目が集まり……それが延々と繰り返されるのだ。 この「アテンション・エコノミー」で最も成功しているプレイヤーは、WMD(weapons of mass distraction:大量破壊兵器ならぬ、大量注意散漫兵器)である。メタは、物理的な生活から同社のアプリへ注意をそらすことを前提とした5000億ドル(約64兆5700億円)規模のビジ

                                                              人々の注意を奪い合うアテンション・エコノミーが我々を愚かにしている | スコット・ギャロウェイ「デジタル経済の先にあるもの」
                                                            • ブランドから個人へ力が移った要因は「パラソーシャル関係を求める孤独」だ | デジタル経済の先にあるもの

                                                              この記事は、ベストセラーとなった『the four GAFA 四騎士が創り変えた世界』の著者で、ニューヨーク大学スターン経営大学院の経営学者であるスコット・ギャロウェイによる連載「デジタル経済の先にあるもの」です。月に2回お届けしています。 スコット・ギャロウェイは今週サファリに出かけている。おそらく彼のサファリとなれば、上質な磁器が並ぶラグジュアリーなテントで、高級ラム酒のザカパを傾けながら、最新のNAD療法を受けているに違いない。 留守を預かっているのは私だ。ポッドキャスト「Prof G Markets」※1で共同ホストを務める25歳のエド・エルソン。私の役目は、スコットにより若々しい息吹を吹き込み、現代により即した存在感を与えることだ。言い換えれば、ビジネスとテクノロジーの最前線の動向を彼の耳に届けること。それと、彼の着こなしについても一言。というのも、彼は中年紳士なのに、いまだにス

                                                                ブランドから個人へ力が移った要因は「パラソーシャル関係を求める孤独」だ | デジタル経済の先にあるもの
                                                              • 「言論の自由」を楯にデジタルプラットフォームは社会の分断と混乱を助長している | デジタル経済の先にあるもの

                                                                この記事は、ベストセラーとなった『the four GAFA 四騎士が創り変えた世界』の著者で、ニューヨーク大学スターン経営大学院の経営学者であるスコット・ギャロウェイによる連載「デジタル経済の先にあるもの」です。月に2回お届けしています。 先週、わたしは50歳の誕生日を祝った(多少サバを読んでいるが、見過ごしてくれ)。これは一つのマイルストーンであり、振り返りの機会でもある。わたしはそれを……やりすぎるくらいやる。過去50年間、おそらく過去500年間よりも多くの技術革新と破壊が起きたのではないか。 両親が離婚した年、わたしは夏をシカゴの父と過ごした。週末には、父の都心のオフィスに行き、WATSライン(注:Wide Area Telephone Serviceの略で、1960年代から1980年代にかけて企業が利用していた定額制の長距離電話サービス)を使って母に電話をかけたものだ。長距離電話

                                                                  「言論の自由」を楯にデジタルプラットフォームは社会の分断と混乱を助長している | デジタル経済の先にあるもの
                                                                • 孤独な男性はAIによって「テロリスト」になるリスクに晒されている | スコット・ギャロウェイ「デジタル経済の先にあるもの」

                                                                  この記事は、ベストセラーとなった『the four GAFA 四騎士が創り変えた世界』の著者で、ニューヨーク大学スターン経営大学院の経営学者であるスコット・ギャロウェイによる連載「デジタル経済の先にあるもの」です。月に4回お届けしています。 どんな生き物にとっても、「関係性」は生存と繁栄に不可欠だ。樹木と菌類の複雑な共生関係が森林を維持し※1、ミツバチやアリは1匹では自分を養えず、ビーバーは最大10匹のグループでダムを造り、ハクトウワシは生涯同じ伴侶と連れ添う。ワニやシャチは、初期の人類を彷彿とさせるような、連携の取れた狩猟戦略を展開する※2。 人間は「関係性」の力を飛躍的に高めた。私たちは身体的には弱く、遅く、脆いうえに、感覚も並程度なら、幼児期も異様に長い。だが「協力」という超能力のおかげで環境を支配し、頂点捕食者の頂点に君臨している。 飼育されている鳥は野生の鳥の数を上回っている(ヒ

                                                                    孤独な男性はAIによって「テロリスト」になるリスクに晒されている | スコット・ギャロウェイ「デジタル経済の先にあるもの」
                                                                  • アマゾンの参入で高額・非効率の医療産業に大改革が起きる | スコット・ギャロウェイ「デジタル経済の先にあるもの」

                                                                    アメリカの医療産業は、出血しながらあてどなく海を漂っている、傷を負った7トンのアザラシだ。それを餌にしようと、魚たちが周囲を泳ぎまわっている。海中に流出した血液は不当利得だ。医療はインフレに比例して価格が上昇しているのに、質の方はまるで改善されていない。 アマゾンは鳴りを潜めて様子をうかがっていたメガロドン──11フィートの顎と7インチの歯を持つ史上最大サイズのサメ──である。医療サービス「ワンメディカル」を買収したことで、もはやアマゾンは様子見をやめ、襲撃に転じている。 アメリカ人ひとり当たりの医療費は、1980年の2968ドル(約40万円)から2020年には1万2531ドル(約168万円)(いずれも2020年ドル換算)と3倍以上に増加した※1。その結果、医療産業は、同国の労働人口の13%※2、総支出額はGDPの5分の1※3を占めるほどの巨大産業に成長している。 ドクター・ノオ 医療は過

                                                                      アマゾンの参入で高額・非効率の医療産業に大改革が起きる | スコット・ギャロウェイ「デジタル経済の先にあるもの」
                                                                    • アテンション・エコノミーの王者TikTokをアメリカから追放すべき理由 | スコット・ギャロウェイ「デジタル経済の先にあるもの」

                                                                      過去1世紀の大半において、最も重要なコモディティは石油であった。石油の覇権をめぐり戦争も起きている──パール・ハーバーは、日本がインドネシアの石油利権を確保するための先制攻撃だった。そして石油は、砂漠の部族を史上最も裕福な集団へと押し上げた。だが、石油の優位性は繁栄のピークを過ぎ、私たちは石油エコノミーから、アテンション・エコノミーへと移行している。 アテンション・エコノミーは、かつては情報エコノミーと呼ばれていた。ところで、エコノミーは「豊富さ」ではなく「希少性」によって定義され、希少性=価値とみなされるが、この情報過多の時代に、希少なものとは何だろうか? 答えはアテンション※1、すなわち注目だ。世界最大の企業の規模、富裕層の富、そして政府の権力までもが、すべてアテンションの抽出、収益化、そして管理に根ざしている。 アテンションの商業的搾取は今に始まったことではない。遊牧民の首長たちが、

                                                                        アテンション・エコノミーの王者TikTokをアメリカから追放すべき理由 | スコット・ギャロウェイ「デジタル経済の先にあるもの」
                                                                      • 2025年の大胆予想「イーロン・マスクは存在感維持のためメディア企業を買収する」 | デジタル経済の先にあるもの

                                                                        この記事は、ベストセラーとなった『the four GAFA 四騎士が創り変えた世界』の著者で、ニューヨーク大学スターン経営大学院の経営学者であるスコット・ギャロウェイによる連載「デジタル経済の先にあるもの」です。月に2回お届けしています。 予測を立てるのは実に難しい仕事だ。当たれば、その結果に至るまでの出来事によって、予測自体が平凡なものに思えてしまう。外れれば、その失態をソーシャルメディアで一日中指摘され続けることになる。 だが、予測の真の目的は的中することではない。むしろ、意見を交わすきっかけを作ることにある。私は毎年予測を発表しているが、その際にまず大切なのは、自らの言葉に責任を持つことだ。そこで、2024年の予測を検証した上で、2025年の展望を語ることにしよう。 パワーカップル:OpenAI & NVIDIA ChatGPTが2022年11月にデビューして以来、投資家たちはテッ

                                                                          2025年の大胆予想「イーロン・マスクは存在感維持のためメディア企業を買収する」 | デジタル経済の先にあるもの
                                                                        • すべてのプラットフォームが「オンラインID」を導入すべき理由 | スコット・ギャロウェイ「デジタル経済の先にあるもの」

                                                                          1791年、ある無名の男爵夫人とその娘たちが馬車でパリを離れ、西へ向かった。途中の街サント=ムヌーで男性の使用人が馬を替えに行ったところ、町の郵便局長ジャン=バティスト・ドゥルーエが目を留め、どこか見覚えのある人物だと思った。ドゥルーエは紙幣を取り出し、裏面に印刷された人物の顔で、その使用人が国王ルイ16世であることを突き止めた。ルイ16世は革命軍の監視下で宮殿に幽閉されているはずだった。 数時間後、この「使用人」はヴァレンヌで拘束された。実に高くついた身分証明書だった。それから2年後、死刑執行人が、この誰もが知る国王の頭を高く掲げることになる。 匿名性 変装し、別の人間になりすます能力は、私たちのDNAに組み込まれている。シェイクスピア劇の半数の筋書きにおけるキーであり、私のお気に入りの祝祭日※1のテーマでもある。 我が国の自由は、匿名性の力で獲得された。マディソン、ハミルトン、そしてジ

                                                                            すべてのプラットフォームが「オンラインID」を導入すべき理由 | スコット・ギャロウェイ「デジタル経済の先にあるもの」
                                                                          • トランプが意図的に混乱させた市場で、取り巻きが「インサイダー取引」で荒稼ぎしている | デジタル経済の先にあるもの

                                                                            この記事は、ベストセラーとなった『the four GAFA 四騎士が創り変えた世界』の著者で、ニューヨーク大学スターン経営大学院の経営学者であるスコット・ギャロウェイによる連載「デジタル経済の先にあるもの」です。月に2回お届けしています。 トランプとマスクが争うのなら、わたしはどちらもくたばれと思っている。だが、この茶番劇も(またしても)この国が被っている本当の被害から国民の目をそらす煙幕に過ぎない。楽観的な人は米国がトランプの混乱を乗り越えて元通りになると考えているかもしれないが、現実はそう甘くない。 トランプ政権を特徴づけるのは冷酷さと混乱だ。ただし、これは計算された混乱である。関税をちらつかせれば株価は暴落し、撤回をほのめかせば急反発する。ハーバード大学の外国人学生受け入れを止めようとして裁判所に差し止められる。FRB議長パウエルをクビにすると言ったかと思えば、数日後には「そんなつ

                                                                              トランプが意図的に混乱させた市場で、取り巻きが「インサイダー取引」で荒稼ぎしている | デジタル経済の先にあるもの
                                                                            • 「若者たちに希望を!」子供の機会を奪う社会構造をいますぐ修正すべきだ | スコット・ギャロウェイ「デジタル経済の先にあるもの」

                                                                              この記事は、ベストセラーとなった『the four GAFA 四騎士が創り変えた世界』の著者で、ニューヨーク大学スターン経営大学院の経営学者であるスコット・ギャロウェイによる連載「デジタル経済の先にあるもの」です。月に4回お届けしています。 今週、私は由緒あるTEDの40周年記念イベント「TED 2024」で講演した。バンクーバーのステージで、ル・ポール、ケシャ、そして2人の宇宙物理学者とともに登壇したのだ。 持ち時間は15分だったが、17分使って47枚のスライドを矢継ぎ早に映し出しながら、私の考える「米国が直面する最大の課題」について語った。それは不平等でも気候変動でも中東での戦争でもなく、これらの脅威を結びつける問題、すなわち、「米国の若者に対する戦争」である。いわば「相互確証破壊」の戦いだ。 ある社会の成功度を測るための適切な指標は、「子供たちがどう扱われているか」である。個々の親た

                                                                                「若者たちに希望を!」子供の機会を奪う社会構造をいますぐ修正すべきだ | スコット・ギャロウェイ「デジタル経済の先にあるもの」
                                                                              • iPhone16、デジタル経済潤すか 生成AI機能に注目 - 日本経済新聞

                                                                                米アップルが日本時間10日午前2時から特別イベントを開く。生成AI(人工知能)機能を搭載した新型スマートフォン「iPhone16」を発表するとみられる。生成AIへの対応ではライバルに出遅れたものの、人々の暮らしを一変させてきた巧みな商品開発力への期待はなお大きい。新端末がもたらすデジタル経済へのインパクトを探った。Topic 1 生成AIスマホとは生成AI「Apple Intelligenc

                                                                                  iPhone16、デジタル経済潤すか 生成AI機能に注目 - 日本経済新聞
                                                                                • 直感に頼らない「遅い思考」がより良い意志決定をもたらす | スコット・ギャロウェイ「デジタル経済の先にあるもの」

                                                                                  この記事は、ベストセラーとなった『the four GAFA 四騎士が創り変えた世界』の著者で、ニューヨーク大学スターン経営大学院の経営学者であるスコット・ギャロウェイによる連載「デジタル経済の先にあるもの」です。月に4回お届けしています。 先月亡くなったダニエル・カーネマンは、並外れた知的遺産を残した。カーネマンと彼の長年の共同研究者であるエイモス・トヴェルスキーほど、私たちの行動を深い洞察で解き明かした人はいない。カーネマンの逝去を受けて、彼の業績がいかに私たちの思考に影響を与えてきたかを振り返っている。 もっと若いときに気づいていればよかったと思うのは、「偉大さとは他者の導きのなかにある」ということだ。私は自分の人生の様々な局面で、ガイド役やシェルパ役を見つけようとしてきた。社会問題に関してはイエス・キリストとモハメッド・アリが私のヨーダ──貧しい人々を愛し、勇ましく、詩的であれ──

                                                                                    直感に頼らない「遅い思考」がより良い意志決定をもたらす | スコット・ギャロウェイ「デジタル経済の先にあるもの」