右脳派は芸術脳?左脳派・右脳派の性格診断を信じてはいけない理由【脳科学者が解説】「左脳派は言語や計算などの論理的思考に長け、右脳派は芸術や空間的認知が得意」―。そんな性格診断を見たことはありませんか? 脳の左右で働きが違うのは事実ですが、「左脳派」「右脳派」といった考え方や特徴の違いというものは、科学的には実にナンセンスなものです。その理由をわかりやすく解説します。 「脳梁を切断するとどうなる?「分離脳」から考える右脳・左脳」」と「1つの体に2つの心?右脳と左脳で異なる感じ方や好き嫌い」で解説したように、アメリカの神経心理学者ロジャー・ウォルコット・スペリーが行った「大脳半球の機能分化に関する研究」に対して、1981年のノーベル生理学・医学賞が与えられました。スペリーとその教え子であるガザニガは、左右の大脳半球を連絡する「脳梁」を切断する手術を受けて左右の大脳が切り離された「分離脳」の患者
神奈川歯科大学の某講座のサイトがなかなか香ばしい神奈川歯科大学の統合医療学講座という講座をはじめてしりましたが、なかなかインパクトのある内容なのでご紹介します。ちなみに2022年4月に開講したようですので、まだできたばかりですね。 この講座が開催する医療者向けの講義内容がかなり凄いんですよ・・・。 https://togoiryo-kdu.jp 追記した文章があります。必ず最後までお読みください。 凄い講義のオンパレード下に公開されているシラバスを示しますが、ちょっと意味が分からない講義のオンパレードなんです。上記しましたが神奈川歯科大学の大学生相手に行う講義ではないことに注意が必要です。大学院 統合医療学講座ではありますが、社会人を対象とした社会人講座とよばれるものであり、純粋な大学院とも異なります。 募集要項https://togoiryo-kdu.jp/essential/recru
研究を社会に伝える「心理学」の文字を書店,ニュースサイトや動画サイト,SNSなどでもよく見かけます。世の中にはいろいろな心理学があり,多くの人が関心を持っています。心理学を科学として行っていくためには,その研究知見を積極的に公開し,心理学者だけのものにするのではなく,広く社会に発信し,情報を共有することが必要です。しかし一方で,社会において心理学の研究知見が歪んだ形で理解されたり利用されたり,心理学者自身が誤解を招くような発信を行っていたりすることもあります。 本特集では,社会への心理学の伝え方について,マスメディアやSNSにおける問題,一般人を交えたワークショップやアート活動,そしていわゆる研究論文の発表についても最新の状況を紹介します。また,近年話題となっている科学者と社会との関係や現在の状況について,日本版AAAS(American Association for the Advan
男性の脳と女性の脳には構造的な違いがあり、考え方や得意なことも異なる――。こうした「男性脳」「女性脳」に基づく主張に対して、「科学的根拠に乏しく、性別役割分担を助長する恐れがある」と警鐘を鳴らすのが、東京大学大学院准教授の四本裕子さんだ。四本さんは脳の構造や機能を測定する機械であるMRIを用いてミリ単位で脳をスキャンし、知覚や時間感覚にまつわる脳の働きを研究している。男女の脳についての見解を聞いた。 (前)ニューロセクシズムとは何か?「脳の男女差」に潜むわな←今回はココ (後)「女性ならではの感性生かして」はNGワード?問題点は 四本裕子さん(よつもと・ゆうこ) 東京大学大学院総合文化研究科 准教授 東京大学卒業後、米国ブランダイス大学大学院でPh.D.を取得。ボストン大学およびハーバード大学医学部付属マサチューセッツ総合病院リサーチフェロー、慶応大学特任准教授を経て、2012年より現職。
九段新報 犯罪学オタク、新橋九段によるブログです。 日常の出来事から世間を騒がすニュースまで犯罪学のフィルターを通してみていきます。 広く表現の自由を守るオタク連合@hyougenmamoru「羽田で香取慎吾を見た」44歳女性、ウソをつくのをやめられません――中野信子の人生相談 https://t.co/TlBNHzJMGb 分離脳の話を(病的な)作話に適用するのは明らかにおかしいだろう。専門家だと持ち上げられていい… https://t.co/xiNPCvYayJ 2020/10/07 01:03:03 これの件です。 中野信子氏というのは脳科学者で、このブログでも『【書評】悪の脳科学』で著書を取り上げたのですが、あまり信頼できる科学者ではありません。専門分野での評価はよくわかりませんが、メディアで専門外のことまで「脳科学」と称して適当なことをしゃべる人という印象です。 で、今回のやつは
九段新報 犯罪学オタク、新橋九段によるブログです。 日常の出来事から世間を騒がすニュースまで犯罪学のフィルターを通してみていきます。 さて、前回『進化心理学は疑似科学である 【書評・上】進化心理学から考えるホモサピエンス』からの続きです。今回は特に犯罪と関連する記述について、その妥当性を考えます。 結婚するとおとなしくなる男 まずやり玉に挙げるのは、本書で述べられている、男性の攻撃性や衝動性が結婚後落ち着くというものです。若い時のほうが総じて攻撃的であること自体は、間違っていません。 本書では、進化心理学の観点から、これを「子供ができたために、リスクのある闘争を行って女性を獲得する必要がなくなったから」と説明しています。これはそれ単体ではもっともらしく聞こえます。しかし、一方では従来の進化心理学の理論とは相いれません。 本書では別の部分で、地位の高い男性が不倫をするのは、若い女性を手に入れ
九段新報 犯罪学オタク、新橋九段によるブログです。 日常の出来事から世間を騒がすニュースまで犯罪学のフィルターを通してみていきます。 今回は近年出版された、進化心理学の入門書です。著者は2名とも社会学者であり、社会学に進化心理学の観点を導入したパイオニアとして知られているようです。 私がこの本を手に取ったのは、『東大教授がまたセクシャルマイノリティについて適当なことを書いた』で論じたように常々進化心理学の妥当性に疑問を抱いていたからです。今までにも進化心理学の著書はいくつか(『人が人を殺すとき 進化でその謎をとく』など)読みましたが、限られた分野のものであって全般的な知見を網羅したものではありませんでした。 進化心理学は多くの前提を置いていますが、実際にはその前提が正しいということそれ自体は照明できていません。そういうわけで、入門書としての立場を押し出している本書を読めば、その疑問が氷解す
「男脳・女脳という概念は、長年にわたり脳科学を間違った方向に進めていた」 2019年2月末に発行した著書「ザ・ジェンダード・ブレイン(The Gendered Brain)」の中でそう語るのは、イギリスのアストン大学で認知神経科学を教えるジーナ・リッポン教授だ。 18世紀ごろから長年語られてきた「男性は話が聞けなくて、女性は地図が読めない」「男が優れているのは、男性の脳の方が大きいから」などといった男脳・女脳を巡る論争や迷信に、科学研究の側面からメスを入れている。 リッポン教授は2019年4月に実施した講演会で、脳のマクロイメージやホルモンレベル、遺伝的要因などの調査の結論として「すべての脳は異なる」と強調。「XXとXYの違いではなく、この世界にさらされていること自体が違いを生んでいる」と話す。 また、過去の科学者は現状に注視し、確証を得るための間違い探しを続けていたと指摘する。その結果、
夫婦間のコミュニケーションのすれ違いを「脳の性差」で説明する『妻のトリセツ』(講談社+α新書)がベストセラーになっている。「脳科学本」はこれまでもたびたび話題を呼んでいるが、科学的根拠はどうなのか、何が人々を引きつけるのか。 『トリセツ』の編著者は人工知能研究者の黒川伊保子氏で、累計部数は約35万部に達した。本では「女性脳は、半径3メートル以内を舐(な)めつくすように“感じ”て」「女性脳は、右脳と左脳をつなぐ神経線維の束である脳梁(のうりょう)が男性と比べて約20%太い」など、男性と女性の脳の機能差を示すような具体的なデータを出す。そして「いきなりキレる」「突然10年前のことを蒸し返す」など夫が理解できない妻の行動の原因を脳の性差と結びつけ「夫はこういう対処をすべし」と指南して支持を集める。 一見科学的に見える主張だが、科学者はどう読んだのか。 脳科学や心理学が専門の四本(よつもと)裕子・
人はなぜ、「科学らしいもの」に心ひかれてしまうのか……? 東京大学大学院で地球惑星科学を専攻、大学勤務を経て小説デビューし、「ニセ科学」の持つあやしい魅力と向き合うサスペンス『コンタミ 科学汚染』を上梓した作家・伊与原新氏。同氏が生み出した、ニセ科学に魅せられた科学者・Dr.ピガサスが語るのは、「脳」にまつわる、さまざまな言説。はたして「脳を鍛える」ことはできるのか? 若者は「ゲーム脳」や「スマホ脳」になってしまうのか? 脳を巡る神話から、科学とフェイクのゆらぎが見えてくる──。 (これまでの記事はこちらから) 「右脳の天才」を作り出す!? 現在(2018年8月)放送中のテレビドラマに、驚異的な記憶力を持つ「サヴァン症候群」の医師が主人公のものがある。サヴァンの人々は、知的障害や発達障害を抱えながら、記憶、芸術、計算など特定の分野において超人的な能力を示す。 映画『レインマン』でダスティン
KAKENHI research plan (2017-2019) #17K02069 科学研究費補助金 (基盤研究(C)) 2017--2019年度 分野: 総合人文社会 分科: ジェンダー (gender) 細目: ジェンダー (gender) 細目表キーワード: 科学技術・医療・生命 (science, technology, medicine, life) 細目表以外のキーワード: 生殖医学 (reproductive medicine) 研究代表者: 田中 重人 状況: 内定 研究目的 研究目的(概要) 2010年代に入り、加齢による女性の妊孕性の低下やその原因としての「卵子の老化」という現象に関して、産科・婦人科・生殖医学等の専門家が創った非科学的な知識が、彼らの広報・政治活動によって日本社会に広く流通してきた。このような非科学的知識の生産・流通の実態を調査し、世論や政策との関
1974年の初出 時には排卵から受精までの時間の経過による変性を指していた「卵子の老化」概念は、そのあと、意味する範囲を拡大していくことになる。 “卵子のエイジング” という現象は一般にはあまりなじみのないもののようであるが,近年,心身障害児研究が活発となり,発生異常,染色体異常の成因としてしばしば取りあげられるようになった.現在,これらの研究で問題とされる卵子のエイジングとは,次の3種に分類できるが (Mikamo, 1968),すなわち卵子の形成過程でおこる卵子の質的低下,退行変性であり,いずれも受精能・発生脳の低下をもたらすとともに発生異常・染色体異常の成因となることが認められるものである. (1) 母体の加齢に伴う卵子の退行変性 (2) 遅延排卵による卵子の濾胞内過熟 (3) 遅延授精による卵子の卵管内過熟 一定のプログラムにしたがって進行する卵子の形成は,そのいずれの段階において
目的 「男女共同参画基本計画」において、「性差」という語がどのような文脈で出現するかを検討する 方法 オンラインで入手できる HTML/PDF ファイルから文字列「性差」を検索した。検索結果から「性差別」「性差に関する偏見」の一部であるケースを除き、文脈がわかるかたちで文章を抜き出した。なお、「男女共同参画基本計画 (第2次)」については、PDFファイルからテキストデータが抽出できなかったため、目視で入力しなおした。それ以外は、ファイルから文字列をコピーした。 結果 「性差」出現回数は以下の通り: 第1次 0 第2次 9 (「性差別」のぞく) 第3次 15 第4次 10 (「性差に関する偏見」のぞく) 出現する文脈は以下の通り (丸数字はカッコつきの (1) 等に置き換えた): 男女共同参画計画 (2000-12-12 閣議決定) Source: HTML files linked fro
「少子化対策」プロパガンダ関連情報 - 2010年代日本における非科学的知識の政治利用 田中 重人 <http://tsigeto.info/officej.html> (東北大学) (2019-03-06) URI: http://tsigeto.info/misconduct/ Brochure: http://d.hatena.ne.jp/remcat/20180920 先頭が矢印 (→) ではじまるものは他の人・組織による情報、そうでないものは田中が書いたもの 新着情報 2019-03-24: 「少子化」観の形成とその変化:1974年から現在まで. 連続勉強会 <「国難」のなかのわたしたちのからだ> 第2回 (麻布台セミナーハウス, 東京) 2019-01-15: 厚生労働科学研究費補助金2012年度「母子保健事業の効果的実施のための妊婦健診、乳幼児健診データの利活用に関する研究」
鈴木 秋悦 (2000)『現代妊娠事情』報知新聞社 ISBN:4831901350 という本を借りてきたところ、内容がすごかったのでまとめておく。 鈴木秋悦(すずき しゅうえつ)は元慶應義塾大学産婦人科助教授。経歴は http://www.ohshiro.com:80/about/adviser.php など参照。 現代妊娠事情―子供が欲しい人、欲しくない人、正しい妊娠の知識、持ってますか? 作者: 鈴木秋悦出版社/メーカー: 報知新聞社発売日: 2000/09メディア: 単行本この商品を含むブログ (1件) を見る 最初に報知新聞記者(軍司敦史)によるインタビューがある。そこで鈴木は執筆の目的についてつぎのように語っている。 私は、これまで医学の領域といわれた専門的なものも、医師と読者が同じレベルで考え、一緒に悩むものと思って書きました。 〔……〕 もう少し専門的なことまで足を踏み入れて
ここの第12章。 脳神経科学リテラシー 作者: 中澤栄輔,鈴木貴之,立花幸司,植原亮,永岑光恵,信原幸弘,原塑,山本愛実出版社/メーカー: 勁草書房発売日: 2010/10/08メディア: 単行本(ソフトカバー)購入: 2人 クリック: 33回この商品を含むブログ (6件) を見る 脳神経科学に基づく教育がいかなる可能性とリスクを持つのかを論じた論稿。神経科学の教育的貢献がまだコンセンサスが得られていない現状を考えれば驚くことではないが、大部分が後者の「リスク」に関する議論に割かれている。 神経神話 日本にも以前から「俗流脳科学をベースにした教育論」が蔓延っていて、そのうちのいくつかは実際の神経科学を誇張あるいは誤解しているものも多いことは周知の通り。こうした神経科学に対する誤解・デマは欧米にもあって、「神経神話」 (neuromyth) と呼ばれているそうだ。OECDが警鐘を発しているほ
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