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ブックマーク / geopoli.exblog.jp (265)

  • 本と電子書籍の違い | 地政学を英国で学んだ

    今日の横浜北部はまたしてもよく晴れました。暑さは続いております。 さて、久しぶりに軽い読み物を。 といっても、相変わらず「テクノロジー」に関するものなんですが。 === は読んでとっておくもの Byヴァーリン・クリンケンボーグ ●私は一冊の(エド・マクベインのもの)を自分のiPadで読み終え、これををクラウドに預けたところだ。 ●これによって、このは私の「デバイス」から消え去ったわけであり、同時に私の意識からも消え去ってしまったわけだ。これは非常に奇妙な感覚だ。 ●現物の「」を読むときには、私はそのの文章やそのもの――その形やジャケット、その重さと印刷の体裁など――を覚えている。 ●ところが電子書籍を読んでしまうと、覚えているのは文章だけだ。 ●の「らしさ」というのは消滅してしまうし、むしろそれはそもそもはじめから存在しないものと言えるだろう。 ●アマゾンが私に教えてくれる

    本と電子書籍の違い | 地政学を英国で学んだ
  • 「バイトがネットにイタズラ画像」事件と戦略論:まとめ | 地政学を英国で学んだ

    長くなったのでまとめます。 今回の一連のエントリーの結論として、私は三つのことが確実になった考えております。 ただしこれらは私の独断と偏見ですし、私の専門外のことでもありますので、目くじら立てて「違う!」と言われても困ります。あくまでも参考程度に考えていただければ。 === 1、今後もバイトによる不祥事がどんどん起こる 数日前に知り合いが紹介してくれた以下の写真をまず見ていただきたい。 これはアメリカがアポロ計画で月に人を送り込んだ時に使われたコンピューターよりも、われわれの携帯ののほうがはるかに強力で高性能だ、ということを示した写真です。 つまりわれわれはかなりパワフルなコンピューター(とネットワーク)をすでに手にしているわけですが、この圧倒的な潜在的破壊力は「戦略の平坦化」につながる、まさに「猿にマシンガン」、もしくは「アムロにガンダム」状態。 また、この新しいテクノロジーは「アホ」を

    「バイトがネットにイタズラ画像」事件と戦略論:まとめ | 地政学を英国で学んだ
    shadow-toon
    shadow-toon 2013/08/15
    「コンピュータ帝国の興亡」の電話交換手のエピソードもそんな感じ
  • 「バイトがネットにイタズラ画像」事件と戦略論2 | 地政学を英国で学んだ

    今日の横須賀は晴れて暖房入っておりましたが、昨日ほどの暑さではなかったようです。 さて、昨日のエントリーの続きで、最近の「バイトがネットで写真を載せて炎上事件と戦略論とのからみを。 昨日は携帯電話という最新テクノロジーが簡単に手に入るようになったことによって、一兵卒であるバイトたちが、雇われている会社そのものの戦略〜世界観レベルまで揺るがすような事態が頻発しており、これはビジネス界でマクレガーのいう「戦略の平坦化」が起こっているということを話しました。 ところがこれにはさらに話の続きがありまして、このような技術革新による一連の動きへの「対処の仕方」というものが、すでに十年前から活発になされておりました。 そしてもちろんこのような議論を行っていたのは、米軍を中心とする戦略論の論者たちです。 米軍とその関係者の間では、すでに90年代の「RMA」という概念についての議論の中の、いわば「未来の戦

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  • 「バイトがネットにイタズラ画像」事件と戦略論 | 地政学を英国で学んだ

    今日の横浜北部は朝からけっこう晴れていたのですが、先ほどから雷が鳴って夕立中。 さて、最近頻発している、いわゆる「バイトの店員がネットにイタズラ画像を載っけて処分される」問題ですが、実はこれがアメリカの軍事戦略に関する議論で説明できることがわかったので少し述べてみます。 おそらく全国的な現象かと思いますが、最近バイトの子が、働いているコンビニのアイスクリーム用の冷凍庫に寝転んだところを写真にとってネットに掲載したり、ラーメン屋の冷蔵庫内でソーセージくわえている写真を公開して問題になったりと、実にくだらない事件が連鎖的に起こっております。 これについては色々な解説も出てきておりますので、私はあえて口をはさむつもりはなかったのですが、たまたま読み返していた90年代の戦略論の議論の中で、すでにこれと色濃く関連している話で説明できると思ったので、あえてここでご紹介したいと思ったわけです まず重要な

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  • なぜアメリカは日本と組まなければならないのか | 地政学を英国で学んだ

    今日の横浜北部は相変わらずの暖房入りでしたが、午後から近くで雷雨があったようで、少しだけ涼しくなりました。 さて、リクエストがありましたので、それにお答えする形で一つ。 私が翻訳したスパイクマンの「平和の地政学」の解説の部分に、1941年の真珠湾攻撃のたった三週間後(12月31日)にスパイクマンが「アメリカは戦後になったら日と組まなければらない」と地理学会の年次総会で発言して大問題になったことを書きましたが、これについて「その根拠は何なのですか?」という質問をいただきました。 実はスパイクマンはこの理由を、『平和の地政学』の数年前(1942年)に発表した主著、『世界政治におけるアメリカの戦略』(America's Strategy in the World Politics)というの中で具体的に書いております。 もちろんこのはあまりにも分厚い(原著で450頁以上ある)ために、今後もお

    なぜアメリカは日本と組まなければならないのか | 地政学を英国で学んだ
  • 日本の測量会社は中国のもの | 地政学を英国で学んだ

    今日の横浜北部は七月始めの頃の猛烈な暑さが蘇ったようでした。完全に暖房入ってましたね。 さて、昨日もTwitterのほうで少しつぶやいたのですが、講演会に終わったあとに聞いた話を少し。 昨晩のことですが、都内の某所で講演会をさせていただきました。おかげさまで多くの方々にお越しいただいたわけですが、その話は講演が終わったあとに、控え室までお越しいただいた人に聞いた話。 その方はある外資系の会社で働いているらしいのですが、元々は地理学を専攻していた関係で、いまでも地理系の学会に出入りしており、会社でも地理に絡むことを扱っているとか。 ところが彼が以前からの動きを見ていて、しかもこれは知っている人は業界の常識として知っているらしいのですが、なんと日の測量会社の大手トップ3のうち、上の二つは中国の参加に入ってしまっているとのこと。 ことの起こりは、バブルの後に資金に困ったその二つの会社が、台

    日本の測量会社は中国のもの | 地政学を英国で学んだ
  • 日本人は孫子をわざと誤解してきたのか? | 地政学を英国で学んだ

    今日の横浜北部は梅雨が復活したようで、蒸し暑くて曇り時々雨でした。 さて、日クラウゼヴィッツ学会でランドパワーの理論について発表してまいりましたが、その時に色々と聞いた話などを少し。 すでに前のエントリーでも書きましたが、ランドパワーの理論というのはマハンがシーパワーの理論を言い始めるまでは戦略理論そのもの、つまり「元祖戦略論」だったわけですが、その説明の際に当然ながら古典としてクラウゼヴィッツと孫子を引き合いに出しました。 そしてこれを説明する際に、孫子の兵法における中心的なメッセージである「兵は詭道なり」の部分に触れたわけですが、その時に会場から 「日の過去の孫子の翻訳(現代語訳)では、なぜかこの部分をオブラートに包んで強調していない」 という指摘がありました。 言われれてみればまさにその通りで、私も前回のボイドの発表の時に、このアメリカの元戦闘機乗りが孫子のを読んで、 「その真

    日本人は孫子をわざと誤解してきたのか? | 地政学を英国で学んだ
  • フランスは「軍国主義」の国である | 地政学を英国で学んだ

    今日の横浜北部は少し気温が低めでしたね。いやー、連日の暑さがおさまって少しホッとしました。 さて、フランスに憧れをもつ平和主義の人々の幻想を打ち破るかもしれない記事として面白いものがあったので要約します。 フランスほど「軍国主義国家」というのは、世界でも例を見ないほどですね。軍人にたいする国民の尊敬は今でも圧倒的なものがありますし。 === フランス人はなぜパレード好きなのか by ロバート・ザレツキー ●パリのシャンゼリゼ通りで毎年7月14日に行われる大騒ぎは、フランスの国家としてのまとまりと自信を示すために行われるものであり、国民にとっては待ちに待った祝日である。この日に限ってはフランスは経済・政治面での困難を忘れて、リラックスしながら道行くパレードを観賞できるのだ。 ●もちろんこのパレードで注目を集めるのはミッキーのようなキャラクターの巨大な風船ではなく、対空ミサイル搭載車や戦車であ

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  • 米中が全面戦争を準備中? | 地政学を英国で学んだ

    今日の横浜北部は昨日のように曇りですが非常に蒸し暑い一日。参院選もたけなわで、人混みの多いところにいくと選挙カーがけっこうおりました。 さて、エアシーバトルといえばアメリカの対中(対イラン)作戦計画だと言われておりますが、それに関する論説記事がありましたのでその要約を。 ==== アメリカ中国はカメラに向かって微笑みながら戦争の準備中 byダグ・サウンダーズ ●米中の関係がこれほど友好的であるのは珍しい。 ●先週の水曜日のことだが、この二つの超大国は気候変動に対処するために温暖化ガスの排出を制限する取り決めに合意している。 ●先月の首脳会談では北朝鮮にたいするアプローチについてとうとう合意がなされた。中国は人民元の上昇を容認し、グローバル経済における黒字の不均衡の危険を減少させることにしたのだ。 ●そして最近のアメリカのネット監視に関する暴露事件により、米中は対等な立場になったのだ。これ

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  • 戦略的な考え方に必要なこと? | 地政学を英国で学んだ

    今日の横浜北部は朝から蒸し暑くてよく晴れました。真夏でした。 さて、あるセミナーに招待してもらって参加した時に聞いた話を。 日は少し仕事を中断して、出版社に招待してもらったあるセミナーに参加してきたのですが、そこで隣に座った人に面白い話を聞きました。 彼はテニス関連の会社をやっている人らしいのですが、スポーツのメンタル的なところ全般に興味があるようで、戦略に興味ある私とやけに話があいました。 そこで彼に詳しく話を聞いてみますと、スポーツ系の心理学で昔から言われているのが、 「執着しないこと」 だそうで、たとえばテニスの場合、ボールが来たらそれを「打とう!」と思うとうまくいかないので、そういう風には考えないで、 「ボールと一緒に弾もう!」 と思えばいいとか。こう言われてもテニスをやらない私にとってはサッパリ。 鍵はどうやら「無理なく身体が動く状態をつくる」ということらしく、タイガー・ウッズ

    戦略的な考え方に必要なこと? | 地政学を英国で学んだ
  • 「ソーシャルメディア」は昔からあった? | 地政学を英国で学んだ

    今日の横浜北部は曇りがちでしたが、それでも雨はほんの少し降った程度でした。過ごしやすいですね。 さて、ブログのもう一つの大きなテーマである「テクノロジーと社会の変化」というテーマで久々に面白い記事が出てきましたので要約を。 === 17世紀の「ソーシャル・ネットワーキング」 By トム・スタンデージ ●ソーシャルネットワークは「生産性の敵だ!」として批判されている。 ●あるサイトの調査によれば(といってもその正確さについては議論はされているが)、FacebookやTwitterをはじめとするサイトの使用によるアメリカ経済全体のコストの無駄は年間6500億ドルにものぼるという。われわれの集中力は阻害され、テストの点数は下がるのだが、これらはすべてこのような「大量破壊兵器」のせいだというのだ。 ●ところがこのような懸念は前にも出てきたことがある。1600年代のイギリスでは、これと似たような新

    「ソーシャルメディア」は昔からあった? | 地政学を英国で学んだ
  • 韓国はなぜ戦略を失敗するのか | 地政学を英国で学んだ

    今日の横浜北部は昼前から晴れてきまして、午後はスッキリ快晴に。日差しは真夏ですね。 さて、この記事を書いている現時点で、韓国の朴槿恵(パク・クネ)大統領が中国を訪問中です。この話題について少し。 韓国の歴代大統領は、就任してからまず同盟国であるアメリカや日に先に訪問するのが建国以来の「恒例」になっていたわけですが、朴大統領はアメリカの後に、今回初めて中国を訪問しております。 (FNNより) ※参考記事※ http://sankei.jp.msn.com/world/news/130627/kor13062707300000-n1.htm このような動きというのは、普段、国際政治を分析する者にとっては、少々不可解な動きに見えます。 というのも、普通の地政学の考え方からすれば、韓国は今まで通りに、アメリカと日との安全保障的な結びつきを強め、北朝鮮を牽制しながら、中国を警戒するような動きを見

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  • ニカラグア運河の地政学:大計画かサギか | 地政学を英国で学んだ

    今日の横浜北部は雨がよく降りました。梅雨に戻りましたね。 さて、ニカラグア運河については日でもささやかに報道されておりますが、それについて面白い記事がありましたので要約を。 === ニカラグア運河は大プロジェクト、それとも大ペテン? by アンドレス・オッペンハイマー ●ニカラグア政府が中国の企業と結んだ400億ドル(ほぼ4兆円)の運河建設の契約は、パナマ運河と競うラテンアメリカでここ百年で最も重要な建設計画になるか、それともこの地域の歴史で最大の詐欺になるかのどちらかだ。 ●そしてこれが後者になると考えられる理由は多い。 ●ところが最大の問題はなぜ評判のよいアメリカコンサルタント会社(マッキンゼー、マクラーティーアソシエイツ、そして反汚職で有名なロナルド・マクリーン・アバロアを含む)がこれほどまでに怪しげなプロジェクトに参加しているのかという点だ。 ●ニカラグアのポピュリスト的な大統

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  • テクノロジーの誘惑と教育の崩壊?その2 | 地政学を英国で学んだ

    さて、昨日のつづきです。 僕の子供はテクノロジーに没頭している。そしてその間違いは僕のせい。 by スティーブ・アーモンド === ●我が家で「リープスター・インブログリオ」事件として知られることになったエピソードをご紹介しよう。 ●リープスターをご存知ない方に念のために解説するが、これは「学習ゲームシステム」のことであり、4歳から9歳までを対象としたものだ。娘のジョシーはこれを一年前から欲しいとせがんでおり「友達二人は持っているのにあたしは持っていないの!」と最近になって母に向かって涙ながらに訴えている。 ●はこの話を僕に教える時に実際に涙を流しながら語ってくれたのだが、僕自身もこれを聞いてひどく不憫な気持ちになった。なぜなら僕の娘の心の中で、ひとつの電子機器がそれほどまでにパワフルな存在になったからだ。ところがさらに悲しかったのは、僕が彼女が感じていた気持ちがよくわかったからだ。 ●

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  • テクノロジーの誘惑と教育の崩壊?その1 | 地政学を英国で学んだ

    今日の横浜北部は雲が多めでしたがなんとか晴れ間が見えました。梅雨の晴れ間という感じです。 さて、私が長年興味を持って追いかけているテクノロジーについて、今度は教育についての興味深い記事が。かなり長いです。 ==== 僕の子供はテクノロジーに没頭している。そしてその間違いは僕のせい。 by スティーブ・アーモンド ●数ヶ月前に自分の娘ジョシーの幼稚園の授業参観に出かけた。そのハイライトは、われわれの子供たちがiPadを使って書き方を習っている様子を映したスライドだった。親たちはここで驚いた。 ●僕はたまたま先生の隣に座っていたので、自分が聞いた噂を先生に聞いてみた。翌年にこの町のすべての小学生たちが、それぞれ自分用のiPadを提供されるのではないかという話だ。 ●先生の答えは、この試験的な計画はわれわれの家から三ブロックは慣れた新しい学校で採用されるはずだというものだ。ぼくの娘のジェシーは翌

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  • 成功する人は努力しない | 地政学を英国で学んだ

    今日の横浜北部は完全に梅雨真っ只中。これくらい梅雨っぽいと諦めがつきますね。 さて、ここ数日の話に関連して少し。 「成功する人/勝つ人」について多少書いてきましたが、このような人たちにたいして、なぜかネガティブな感情を抱く人が非常に多いわけです。 たしかに私はあえてW氏のような議論を呼ぶような人物を「成功者」として例に挙げましたが、実は成功者や勝者は、あれほど目立つような人たちばかりではなく、むしろ身近にけっこう目立たずにいる場合が。 私が観察している範囲では、当に成功できる人というのは、変に気合いを入れて努力しているわけではなく、どちらかといえば淡々とあっさりものごとを実現していく人ばかり。ようするに「努力」してないわけです。 なぜなら彼らにとっては「成功すること」は非常にナチュラルなことであり、そこに向かうことに変な気負いや抵抗はないからです。努力しているように見えても、人はそれを

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  • 本当に「成功」したい奴はいない | 地政学を英国で学んだ

    今日の横浜北部は梅雨空の一日でした。傘を持たずに出たらちょっと失敗。濡れました。 さて、昨日と少し関連する話題について。 長年「戦略とは何か」ということを人よりは少しだけ考えてきた自分なんですが、戦略論の文献などを読んでいても、とてもむなしくなる瞬間があります。 それは、「これを読んでいる人たちって、そもそも気で成功したいと思っているのだろうか?」という根的な点。 戦略の分野で有名な、たとえばクラウゼヴィッツの『戦争論』や孫子(孫武)の『兵法』などは、その読者の対象は、どちらかといえば「殺されないように必死で生き残りをはかりたい!」という人たちばかり。 ところが、それを読んでいる、私を含む現代のわれわれのの中で、当にこれらが書かれた当時の「必死さ」で戦略を学ぼうとしている人っているのかといえば、ここはかなり疑問なわけです。 これは「読み手の問題」ということも言えそうなのですが、この

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  • なぜ本物の戦略論では「勝ち方」を教えないのか:その3 | 地政学を英国で学んだ

    今日の横須賀は朝から雲ひとつない快晴でした。 さて、昨日のエントリーのつづきをもう一度。 では「物の戦略の」とはどのようなものかと言えば、これはとにかく「勝ち方」よりも「考え方」を書いているものが多い。 その典型が、何度も言うようにクラウゼヴィッツの『戦争論』なわけですが、このはたしかに様々な欠点(不明瞭、矛盾、長すぎる等)がありながらも、戦略の「考え方」を教えてくれているという意味では群を抜けてすごいなわけです。 しかしそのすごさというのは、なかなかわかってもらえません。その決定的な理由を理解するための一つのわかりやすい例は、私はライオン(というかあらゆる捕動物の)の「狩りの教育」なのかなと思っております。 まずライオンというのは、子供ができると最初は自分たちがとってきたエサを与えるだけです。 ところが子供がある程度育ってくると、今度は子供を狩りに参加させたり、最後は自分たちだ

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  • 戦略とは何か:その2 | 地政学を英国で学んだ

    今日の横浜北部も非常によい天気で、日差しは強いが風が心地よいという最高のコンディション。 さて、一昨日のエントリーの続きを少し 戦略の神髄について色々と調べていると、いつも必ず出てくるのが「相手の心理に入る」みたいな表現です。これはボイドのOODAループなどがその典型です。 ボイドというのは戦闘機のドッグファイトという戦術レベルから、後に戦略レベルまで理論を発展させた人なんですが、やはり戦略でも当に重要なのは「人間の知覚」にあるということをわかっていたみたいで、 「機械が戦争を戦うわけじゃないし、地形が戦争を戦うわけでもない。人間が戦争を戦うのであり、人間の思考の中に入っていかなければならない。戦いの勝敗はそこで決まるのだ」 という有名な言葉を残しております。 彼はこのループを相手よりも加速させることによって敵のループの中に入り込み、これによって相手に「こいつは何をやっているのかようわか

    戦略とは何か:その2 | 地政学を英国で学んだ
  • 戦略とは何か | 地政学を英国で学んだ

    今日の仙台はやや曇りがちで風も強かったですが、とても過ごしやすく感じました。 さて、最近考えていることを少し。 先週の京都で久しぶりに学者っぽい仕事として研究発表をしたわけですが、その内容は戦略研究(strategic studies)の歴史を振り返りつつ、最終的にその学問(というか実践)で究極的に問われている「戦略とは何か」という問題について考えてみる、というものでした。 もちろんこの学派で行われている最近の議論、たとえばCOINやWar Terminationなどの議論も紹介したわけですが、これらをやってもいつも出てくるのは究極の質問である「戦略とは何か」。 これについてはまだ誰も満足な答えは出しておりませんで、結局のところはサイエンスよりはアートで、しかもこれは科学的に分析すべきだが、それでも実践する人はアートとして実行するしかない、というあやふやなもの。 しかも文献を読み込めば読み

    戦略とは何か | 地政学を英国で学んだ