タイ全土は今、軍政下に置かれている。 政府を支持する「タクシン派」と「反政府派」の対立が激化する中で、5月20日、軍司令部はタイ全土を戒厳令下に置いた。タクシン派と反政府派双方の代表に出頭を命じ、また海外に亡命しているタクシン・シナワット元首相にも連絡を取って政治的な妥協を求めたが、交渉がまとまらずに22日にクーデターを宣言した。 いつか来た道、どころの騒ぎではない。タイが立憲君主制に移行してからこれで軍事クーデターは19回目。5年に一度以上の頻度でクーデターが発生しているという計算になる。 無限ループ生む「金槌」 今後、タイの政治はどう動くだろう。 タイ軍部は、一般にタクシン派より反政府派と利害が近い。喧嘩両成敗のように振る舞うが、結局のところ、軍部はタクシン派を政権内から一掃し、その後に「タクシン派抜きの政権」を樹立させて民政を復活させることになるだろう。 だが、タクシン派は選挙に強い