ブックマーク / honz.jp (20)

  •  紙がない!どうしよう!?……安心してください、『葉っぱのぐそをはじめよう』 - HONZ

    学生時代、生物調査のために同級生たちと森でテント生活をしたことがある。当然、トイレはない。必然的に穴を掘ってそのへんにすることになるのだが、その方法には鉄の掟があった。 「紙は使うな、葉っぱで拭け」 ティッシュは簡単には分解しない。自然環境を学ぶ者として、紙を使わないことは最低限の自然への礼儀であった。 「たかが、野ぐそ」と侮るなかれ。適した葉っぱを見つけるには、鋭い観察眼と植物の知識が要求される。もし、トゲのある葉っぱだったら。見た目はOKでも、毒があったら。トゲや毒はなくても、せっかくならば保水力のあるやわらかな質感のものを使いたい。 こうして私たちは「究極の葉っぱ」を求めて観察し、図鑑を調べ、最適と思われる葉っぱをもつ植物が生える環境をさぐり、植物の知識だけでなく仲間同士の絆をも深めていった。情報交換しなければ、こんな極めて特化された用途を教えてくれる資料など、なかったからだ。 とこ

     紙がない!どうしよう!?……安心してください、『葉っぱのぐそをはじめよう』 - HONZ
    shinzor
    shinzor 2017/02/17
    富士山トイレットペーパーの川を思い出した。富士山には葉っぱがない
  • 『ヒトの遺伝子改変はどこまで許されるのか ゲノム編集の光と影』イノベーションに突きつけられた、大きな課題 - HONZ

    『ヒトの遺伝子改変はどこまで許されるのか ゲノム編集の光と影』イノベーションに突きつけられた、大きな課題 生殖医療技術と遺伝子改変技術の目覚しい進展により、人類はすでに、自分たちの遺伝子を改変する時代に入っている。 書の「遺伝子改変は”どこまで”許されるのか」というタイトルは、いま議論すべき喫緊の課題である。書では、生命倫理学の専門家である著者が、生殖医療技術と遺伝子改変技術の過去と現在を紹介しつつ、この課題の落としどころを冷静に探ってゆく。 ゲノム編集技術「CRISPR/Cas9(クリスパー・キャスナイン)システム」の登場により、従来の遺伝子組み換え技術とは比較にならないほど、高効率で容易に、しかも安価に生物の遺伝子改変を行うことが可能になった。CRISPR/Cas9システムを用いた遺伝子改変により、筋肉が増量したマダイやウシなどの農産物や、医学研究のためにヒトの疾患を再現したサルが

    『ヒトの遺伝子改変はどこまで許されるのか ゲノム編集の光と影』イノベーションに突きつけられた、大きな課題 - HONZ
    shinzor
    shinzor 2017/02/07
    普通に行われている治療や手術も副作用のデメリットがあるけど,遺伝子治療の違いはどこ?
  • 『なぜ、無実の医師が逮捕されたのか』 99.9%という有罪率の壁を乗り越えた刑事裁判 - HONZ

    10年ほど前に、業務上の過失により患者(妊産婦)を死亡させたとして逮捕された、産科医をめぐる刑事裁判「福島大野病院裁判」について、ご記憶の方も多いだろう。テレビカメラの前で医師が逮捕されるというショッキングな出来事から始まり、娘を亡くした父親視点のドキュメンタリー番組が作られるなど、報道は過熱した。裁判の結果、99%を超える刑事事件の有罪率の壁を乗り越え、医師は無罪となった。このは、その弁護にあたった弁護士がまとめた記録である。 書は、徹頭徹尾、以下の立場が貫かれている。 弁護団は、決めていた。何があろうと、患者さん家族の如何なる言葉にも反論しない。そのご心中を察すれば、まして、生まれた時に、その母はいない子のことを思うからである。 裁判は闘いである。しかし、ご遺族と闘うのではない。検察との闘いでしかない。~書より 判決後、医師は「患者さんの期待や要望に応えることが出来なかったことは

    『なぜ、無実の医師が逮捕されたのか』 99.9%という有罪率の壁を乗り越えた刑事裁判 - HONZ
    shinzor
    shinzor 2016/10/09
    産婦人科医不足という医療崩壊の引き金になった事件。
  • 『<わたし>は脳に操られているのか 意識がアルゴリズムで解けないわけ』 - HONZ

    あなたもアンドロイドだ 人工知能のめざましい進展は、人間の能力に迫り、さらに超えつつあるようにさえ見える。やがて、心や意識をもったAIも生まれると予測する研究者も少なくない。私たち人間と区別のつかないようなアンドロイドが、未来に登場するのだろうか? だが、想像の翼を広げる前に、あたりを見回してほしい。いまあなたの周りにいるひとたち、そしてあなた自身ですら実はアンドロイドだったとしたら? これはSFの話ではない。脳科学の成果は、実際、私たち自身が<脳>に操られるアンドロイド(生きたマシン)にほかならないというのだ。 たとえば、書でも紹介されているベンジャミン・リベットの実験。この実験は、私たちが意識的に自覚する前に、すでに脳が行動しようと実行しはじめていることを明らかにした。つまり脳(無意識)が私たちの行動を、まず先に自動生成しているというわけだ。 また、脳画像をモニターすることによって、

    『<わたし>は脳に操られているのか 意識がアルゴリズムで解けないわけ』 - HONZ
    shinzor
    shinzor 2016/09/04
    このテーマは要約すると誤解を招く
  • 『脳はいかに治癒をもたらすか 神経可塑性研究の最前線』驚きの治療法と回復事例 - HONZ

    HONZが送り出す、期待の新メンバー登場! 澤畑 塁は某大学出版会に勤める、爽やかな営業マンである。HONZメンバーの誰よりもHONZらしい選書と、驚きのスピードでレビューを量産していくことだろう。今後の彼の活躍にどうぞご期待ください!(HONZ編集部) 人間の脳は宇宙のなかで最も複雑かつ精巧であるとよく言われる。そして、それほど複雑かつ精巧であるゆえ、一見小さな損傷が大きな障害をもたらすことがある。だがそれと同時に、わたしたちの脳は驚くべき「神経可塑性(neuroplasticity)」を有してもいる。 ここでいう「可塑性」とは、(プラスチックが熱を加えられたときに形を変えていくように)「自己の活動や心的経験に応じて、脳が自らの構造や機能を変える性質のこと」である。では、人間の脳にはどれほどの可塑性が備わっているのか。また、その可塑性を利用して、脳の機能回復を促すことは可能だろうか。

    『脳はいかに治癒をもたらすか 神経可塑性研究の最前線』驚きの治療法と回復事例 - HONZ
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    shinzor 2016/07/05
    ラマチャンドランの幻肢切断と同じ原理か。子宮頸がんワクチン副反応の疼痛治療が頭を過ぎった
  • 『遺伝子組み換えのねじ曲げられた真実』日本の消費者はドルーカー氏の警鐘を どう受け止め、どう生かせばよいか - HONZ

    『遺伝子組み換えのねじ曲げられた真実』日の消費者はドルーカー氏の警鐘を どう受け止め、どう生かせばよいか巻末解説 ファインマンの暗示と「不確かな科学」の政治化 米国の著名な物理学者のR・P・ファインマン博士に、『科学は不確かだ!』という講演(大貫昌子訳、岩波現代文庫)がある。「科学者は自分の理論の誤りを、決して隠そうとはしません。それどころか彼の進歩と興奮は、実はまったくその逆のところ、つまり誤りを発見する過程にあるのです」。一方「人類が犯す唯一の過ちは、……答えがわかったと決め込んでしまうことです。……僕らはそんなに賢くありません」と博士は語っている。 博士は生物科学についても言及する。過去200年において科学は急速な発展を遂げ、現在「生物科学はもっとも驚くべき発見の寸前」にある。しかし「近い将来、生物学の発達が前代未聞の問題」を起こすと暗示する。博士はここでオルダス・ハクスリー著『す

    『遺伝子組み換えのねじ曲げられた真実』日本の消費者はドルーカー氏の警鐘を どう受け止め、どう生かせばよいか - HONZ
    shinzor
    shinzor 2016/06/22
    GMOって,大昔からやっている品種改良とさして変わらない。品種改良にも危険性はある。人間がしなくても自然が勝手に品種改良して危険な作物もできる
  • 『ありえない生きもの 生命の概念をくつがえす生物は存在するか?』 - HONZ

    あまり科学的でない個人的なエピソードから、始めさせてください。 五年前、わたしは父の臨終に間に合いませんでした。明け方、宿直の若い医師からの電話でたたき起こされ、母とタクシーで駆けつけた時は、すでに息を引き取ったあとでした。病室に飛びこんだわたしは、気持ち良さそうな父の寝顔に、もちなおしたのだと、ほっとして、静かに枕元に向かおうとしました。背後で聞こえた「間に合いませんでしたね」という医師の言葉が信じられず、勘違いでしょう、ほら、と言うつもりで、父の鼻の下に手をやりました。その瞬間、わたしは父の死をさとりました。 息をしていなかったから、ではありません。母が父の手を握り、「まだ温かいのに」とつぶやいたので、冷たくなっていたわけでもありません。よくわかりませんが、父の皮膚に触れた途端、わたしは何か直感めいたもので、命のないことを感じ取った気がするのです。その時の衝撃を、うまく言い表す言葉が見

    『ありえない生きもの 生命の概念をくつがえす生物は存在するか?』 - HONZ
    shinzor
    shinzor 2015/12/19
    存在するなら「ありえる生きもの」
  • 『世界一ときめく質問、宇宙一やさしい答え 世界の第一人者は子どもの質問にこう答える』 - HONZ

    このは、2013年11月に河出書房新社から出版された『世界一素朴な質問 宇宙一美しい答え』の続編です。編者も同じジェンマ・エルウィン・ハリスで、同じようにイギリスの子どもたちからの質問に、各分野の第一人者が回答を寄せています。そして同じように、子どもたちがひとりで読めるやさしい文章で書かれていますが、おとなが質問にそなえて、あるいは忙しさにまぎれて見すごしていたまわりの世界の不思議にもういちど目をむけて楽しむために、読むこともできます。日語版だけに加えられているタイマタカシさんの美しいイラストも、ふたたび楽しんでいただけます。 の構成でわずかにちがっている点として、まず質問した子どもたちの名前と年齢があきらかになっていることがあげられます。これだけで質問がより身近に感じられるのが不思議です。このを読む子どもたちは、自分と同じ年齢の子どもの質問には、とくに興味がわくかもしれません。

    『世界一ときめく質問、宇宙一やさしい答え 世界の第一人者は子どもの質問にこう答える』 - HONZ
    shinzor
    shinzor 2015/11/09
    イリュージョニストの答えがいい
  • 意識は過大評価されている──『意識と脳――思考はいかにコード化されるか』 - HONZ

    意識をめぐるは最近も『意識はいつ生まれるのか――脳の謎に挑む統合情報理論』や『意識をめぐる冒険』が職の神経科学者によるノンフィクションとして発表されるなど、翻訳(と出版)が比較的に途絶えない分野である。書の著者もまた職の認知神経科学者ではあるが、特異性は徹底した実証に基づく意識の定義、およびその応用可能性についての地道な記述であろう(他の著者が実証に基づいていないわけではなく、アプローチの違いであることは後述)。 書では哲学的な謎を、実験によって検証可能な現象へと変えた戦略を詳しく解説する。この変化は「意識のより明確な定義」「意識的知覚を実験によって操作できるという発見」「主観的な現象に対する尊重」という三つの要素によって可能になった。 書の構成は意識の定義、無意識及び意識の働きの実証的考察、意識に関する理論的仮説の提起、臨床現場への応用事例と段階を踏んで、かつ自身らの物を含む

    意識は過大評価されている──『意識と脳――思考はいかにコード化されるか』 - HONZ
    shinzor
    shinzor 2015/11/05
    "哲学的な謎を、実験によって検証可能な現象へと変えた"読もう
  • 『脳はすごい』としか言いようのない『ある人工知能研究者の脳損傷体験記』 - HONZ

    自動車の追突事故。幸いなことに外傷はなく、CTスキャンなどの検査でも異常は認められなかった。しかし、さまざまな神経障害で生活に大きな支障をきたす外傷性能損傷(脳震盪症)患者となった著者・クラーク・エリオットは人工知能を専門とする大学教授。ほんとうにそんなことがあるのかと思えるほどに複雑な症状だ。つらかっただろうに、よく自らの症状をこれだけ克明に記録したものだ。 典型的な症状は、考えることができなくなったり、意思決定ができなくなったりすることだ。と聞いても、どういうことかわからないだろう。たとえば、リンゴとサラミをまな板の上に置いて切ろうとする。なんら意識することなく、どちらかから切ればいいのである。ところがエリオットにはそれができない。このことは、日常的に無意識におこなっている、と思えるようなことにも意思決定という過程がバックに必要であることを示している。 『ときに私の症状は、はなはだ滑稽

    『脳はすごい』としか言いようのない『ある人工知能研究者の脳損傷体験記』 - HONZ
    shinzor
    shinzor 2015/10/15
    脳障害は脳の働きを分かりやすく示してくれる。
  • 連続殺人犯は遺伝するか『暴力の解剖学』 - HONZ

    では馴染みがないが、神経犯罪学=neurocriminologyという分野がある。犯罪の原因には社会環境的な要因だけでなく、生物学的要因が密接に関わっているのではないかという見地から、遺伝的要因、胎児期・周産期の影響、外傷を含む後天的脳障害、自律神経系の異常、栄養不良や金属などの脳への影響などを研究する学問だ。 一般に凶悪な犯罪が起こった場合、虐待などを含む家庭環境や、貧困などの社会的環境を調べ、それを要因のひとつとする場合が多い。とりわけ裁判では情状酌量の証拠として提出されるものだ。たしかに、それによって社会的な環境が整備され、より良い社会を作ることはできる。 しかし、それは咳をして熱があるから風邪だと断定し、対症療法として解熱剤などを処方することに等しい。来は風邪のウイルスを特定し、そのウイルスが体内でどのように作用しているかを知ることで、根的な治療をするべきなのだ。(風邪ウィ

    連続殺人犯は遺伝するか『暴力の解剖学』 - HONZ
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    shinzor 2015/09/21
    遺伝もあるだろうけど、2歳で抑えようのない怒りを爆発させるようなら、極めて極端な例で、犯罪一般に言えるとは思えない。例の日本の連続殺人犯の脳の検査や投薬治療の必要性も調べられているはず
  • イジったら負け!? 力の入れどころを間違えた、空想上の道具たち『パラレルワールド御土産帳』 - HONZ

    ウソのようなホントの話が好物なのだが、書はその逆。つまりホントのようなウソの話。それゆえ厳密にノンフィクションなのかと問われると苦しいところだが、そこは見逃してほしい。 紹介されているのは、日用品やビジネスツールといった道具の数々。だがこれら全てが「パラレルワールドからの御土産品」という設定なのである。現実世界のものと一見同じに見えるのだが、よくよく見ると微妙な違いがある。しかもそこが、そこはかとなく可笑しい。 進化の分岐点において、明らかに力の入れどころを間違えてしまった道具たち。「どうしてこうなった?」と問いかけずにはいられない逸品の数々を紹介していきたい。 * パラレルワールドを代表する定番ガジェットーーそれが「異Pod ANALOG」。デジタル化技術の結晶、その全てをレコード盤を回すことに注ぎ込んだ。あちらの世界で、若者たちが手に持ちながら街を闊歩している様子が目に浮かぶ…わけは

    イジったら負け!? 力の入れどころを間違えた、空想上の道具たち『パラレルワールド御土産帳』 - HONZ
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    shinzor 2015/06/21
    元祖は自動食事機あたりか
  • 科学の最重要未解決問題『意識はいつ生まれるのか――脳の謎に挑む統合情報理論』 - HONZ

    「意識のハードプロブレム」とは何かご存知だろうか。端的に言うと「物質である脳が、どのようにして非物質である意識体験を生み出しているのか」という脳科学の未解決問題のことだ。哲学者のデイヴィッド・チャルマーズによって1994年に提唱され、それまで神経科学的な分析によって意識に関する謎はすべて解けたと考えていた研究者たちに大きな衝撃を与えた。 彼らが解決済みだと考えていたのは、あくまで「脳内で情報がどのように処理されているか」という機能的な問題だけであり、「意識はなぜどのように生じるのか」というもっとも根的な問題は、実は手つかずのままだった。いや、科学者たちはあえて目を背けていた、というのが正しいかもしれない。 意識の科学的な起源に関する問いは300年以上をさかのぼり、18世紀初頭ライプニッツは次のように述べている。 視覚や聴覚などの感覚意識(中略)が、どのような力学的な仕組みから形成されるの

    科学の最重要未解決問題『意識はいつ生まれるのか――脳の謎に挑む統合情報理論』 - HONZ
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    shinzor 2015/06/08
    "あるシステムが豊富な情報を統合できるのであれば、そのシステムは意識を持つ "
  • 『なぜ人類のIQは上がり続けているのか? 人種、性別、老化と知能指数』 知能の謎に迫る! - HONZ

    著者ジェームズ・R・フリンは1980年代に発表した論文で、アメリカをはじめとする工業国で、時代とともにIQ(Intelligence Quotient)が上がり続けていることを確かな証拠で示した。人類が過去100年にわたって賢くなり続けているという研究結果は大きな反響を呼び、このIQ上昇は著者の名前から“フリン効果”と呼ばれるている。 フリン効果は、更なる疑問を呼び起こさずにはいられない。なぜ、人類のIQは劇的に向上したのか、21世紀もこの傾向は続くのか、そもそも人類の知能は当に向上しているといえるのか。書はIQ研究の世界だけでなく、知能そのもののとらえ方に新たな視点を提供したフリン自身が、様々な時代と地域のデータを丁寧に分析することで上記の質問に答えを出しながら、「時代や場所が人類の知性にどんな影響を与えているのか」を解き明かしていく。 日でのIQに対する関心は欧米ほど高くはなく、

    『なぜ人類のIQは上がり続けているのか? 人種、性別、老化と知能指数』 知能の謎に迫る! - HONZ
    shinzor
    shinzor 2015/06/03
    相対評価なら,平均値は100で変わらないはずだが?
  • 『S,M,L,XL+: 現代都市をめぐるエッセイ』語り、それ自体が都市であるような - HONZ

    普段、線をぐりぐりと引きながらを読む。あとで引用しようと思うぐっときた部分に、結論部分に、問題提起の部分に。概ねあとから読み返した時に、そこを起点として他の細部をずるずると思い出せるように引いている。というわけで、書もいつもと同じように愛用のボールペンを片手に読み始めた。冒頭の畳み掛けるような問いかけから思っても見なかった都市観を提示され線を引き始めてみれば、これがいつまでたっても線が引き終わらない。 中心の束縛、アイデンティティの拘束から解放された、今のニーズを追求し古いものを捨て去る現代的な都市を「ジェネリック・シティ」と名づけた章から書ははじまる。時に冗長で混沌としながらも力強くリズミカルな文体は、まるで頭の中の都市概念を一旦解体し、言葉によって再構築してみせるかのようだ。1ページ線を引き続けて、2ページ目も引き続けて、4ページになっても引き続けて「このままじゃあ、が真っ黒に

    『S,M,L,XL+: 現代都市をめぐるエッセイ』語り、それ自体が都市であるような - HONZ
    shinzor
    shinzor 2015/05/26
    建築家の文章はペダンチックだけど,書評も都市建築論ではなく文体など文学に対するものみたい
  • 日本語って、深い 『辞書編纂者の、日本語を使いこなす技術』 - HONZ

    『舟を編む』(三浦しをん著)が屋大賞を受賞したのが2012年。そのころだろうか、「辞書ブーム」が来たのは。書は、その立役者のひとり、三省堂国語辞典(「三国」[さんこく]とも呼ぶ)の編纂者が語る、人間関係をスムーズにすることばの作法集。ちょっとした一言で伝わり方が違う。絶妙だ。 NHKの「どうも!にほんご講座です。」やTwitterでもおなじみの著者の飯間さん。ご存じの方も多いかもしれないが、「編纂(へんさん)ってなにするの?」という人は、まず『辞書を編む』という別のご著作からスタートするとよいだろう。 簡単に紹介すると、「編纂」とは、執筆者の原稿をとりまとめて形にして行く行為のこと。「編集」とは異なり、辞書づくりにおいては、世の中で使われ始めた新しいことばを掘り起こす「用例採集」、どのことばを辞書に掲載するかの取捨選択、そして選んだことばの「語釈」を書く作業を行う人、といえる。 改訂版

    日本語って、深い 『辞書編纂者の、日本語を使いこなす技術』 - HONZ
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    shinzor 2015/05/15
    話言葉では動詞が出てこないことが多い。動詞をぼかすのは敬語もぼかしているのだから、当然使い過ぎにならない。
  • 『ルポ 居所不明児童』 消えた2万4000人の子どもたち - HONZ

    383人。 2014年の所在が分からない小学生と中学生の数だ。文部科学省では「居所不明児童」と呼び、居場所もわからず、就学の確認もできない子どもを指す。 昨年厚木市で男児の白骨化遺体が発見された事件で「居所不明児童」が突如、メディアをにぎわすようになったが、文部科学省が「居所不明児童」の調査を始めたのは1961年。50年以上たつのだ。 著者が文部科学省の学校基調査を洗い出しただけで居場所もわからず、就学の確認もできない子どもの数は累計2万4000人に達する。だが、書を読むと、この数字が現実とは程遠いことがわかる。 各地の教育委員会の未集計やずさんな調査や管理によって計上されない場合や、住民票の居住地に居住の事実がなければ住民票が削除され、学校基調査の対象からも外れる事例が少なくない。計上されていても、義務教育期間が過ぎると、自動的に調査対象外になる。数字に反映されずに闇に埋もれている

    『ルポ 居所不明児童』 消えた2万4000人の子どもたち - HONZ
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    shinzor 2015/04/21
    "母親が生活が窮屈だと自ら受給を打ち切り"よく聞く話。セーフティネットの難しさ。
  • 犯罪者を特定する因子は存在するのか? 『暴力の解剖学 神経犯罪学への招待』 - HONZ

    HONZが送り出す期待の新メンバー・冬木 糸一。若干26歳にして恐るべき読書量を誇り、彼の個人ブログ「基読書」では注目のノンフィクションが続々と、HONZに先んじる形で取り上げられていった。こんな危険な輩を外で野放しにしておくわけにもいかないので秘密裏に交渉し、メンバー入りへと至った次第。今後の彼の活躍に、どうぞご期待ください!(HONZ編集部) 日のようにかなり平和な国であっても人は人を殺す。メディアは殺した人間をどのような人間であったのか、どのような趣味を持っていたのか、いかにも人を殺しそうな人間であったのか、はたまた普段は人当たりのよい人間だったのかと、盛んにそのパーソナリティに迫ってみせる。 そんな時、「どこにでもいる、あなたの隣にもいそうな人間が超凶悪な殺人犯でした! あなたも危ないかもしれません!」とただ危険を煽るだけだと問題でも生じるのだろうか、そこに何らかの特徴をつけて

    犯罪者を特定する因子は存在するのか? 『暴力の解剖学 神経犯罪学への招待』 - HONZ
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    shinzor 2015/03/09
    凶悪犯罪とY染色体の相関関係は極めて高い。言っていたのはカール・セーガンだったかな?
  • 『ぼくは物覚えが悪い』海馬を失った男は、永遠に続く30秒を生きた - HONZ

    今年も残すところあと1ヶ月となり、年忘れという言葉も聞こえてきた。皆さんにとって2014年はどのような年であっただろうか?そして来たる2015年のことを考えた時に、どのような感情が沸き上がってくるだろうか? 年の瀬ともなると、私たちは過去の出来事を頭の中で再現し、その情動を元に未来へ思いを馳せる。年を忘れるというくらいだから、辛かったことや不安な出来事を思い出す方も多いのかもしれない。いずれにせよ私たちは「今」という瞬間を疎かにするくらい、記憶というものに縛られながら生きている。それならば未来もなく過去もなく、現在進行形しか存在しない世界に行けば、不安を取り除くことは出来るのだろうか。 1953年、一人の男がてんかん治療のための脳手術を行った。左右の内側側頭葉を摘出するという実験的な手術であったものの、発作は無事に抑えられるようになる。しかしこの手術は、関わった全ての人にとって決して忘れら

    『ぼくは物覚えが悪い』海馬を失った男は、永遠に続く30秒を生きた - HONZ
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    shinzor 2014/12/01
    「7秒しか記憶がもたない男」はウイルスが原因だった。読んでて辛い話。
  • 『赤の女王 性とヒトの進化』 男と女のラブ進化ゲーム - HONZ

    時代、地域や人種の壁を超えて共通する「人間の性」とは、どのようなものなのか。そして、その性はどのようにもたらされたのか。性の進化を理解することが、これらの謎を解く鍵であると著者は説く。 いくらでも多くの子孫を残せる男と、出産に多大なコストのかかる女。異なる戦略を持つ2つの性の軍拡競争にも似た競い合いは、人類の誕生から数百万年間休まず続いている。なにしろ、異性を魅了し子孫を残さなければ、自らの遺伝子は消えてしまうのだ。狩猟採集生活では一夫多は珍しく、農耕生活では一夫多がありふれたものであることなどを通して、男と女の進化を支えた戦略を理解すれば、性を巡る争いとしての恋愛がもっと上手になる、かもしれない。 「人間の性」という壮大過ぎるとも思われるテーマに挑む著者マット・リドレーの特徴は、その圧倒的な証拠の収集力とそれを1つのストーリーにまとめあげる論理の構築力にある。書においても、知

    『赤の女王 性とヒトの進化』 男と女のラブ進化ゲーム - HONZ
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    shinzor 2014/11/12
    読書中
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