宗教は、人類の歴史と切っても切り離せないものの一つだろう。世界中どこへ行っても何かしらの宗教が存在するものだが、それはなぜなのか。一度は考えたことがあるだろうこの疑問に、心理学教授が科学的観点から答えた。科学からほど遠いものと思われる宗教を実践することによる「科学的利点」とは。 遠いようで近い「宗教と科学」 生と死、喪失、生きる意味。人間は数千年間、こうした問題を乗り切るために宗教的実践に目を向けてきた。ノースイースタン大学心理学教授のデイヴィッド・デステノは新著『神はいかにして機能するか』(未邦訳)で、最新の科学的証拠をもちいて、宗教儀式によって人のこころに他者への思いやりや信頼が育まれること、そして多くの場合、そのような儀式が苦しみや悲しみから立ち直るよすがになる理由を検証している。 たとえば赤子の誕生をめぐる神道の儀式では、親はわが子との結びつきを強く意識するようになり、仏教徒が行う