この1月に特許庁は50年ぶりの制度大改革を目指して,国内外の有識者を集めた「特許制度研究会」をスタートさせた。これまで既に7回の議論を終え,予定では9回の議論を経てとりまとめを行う予定と聞いている。 特許庁がホームページで公開するその議事録(要旨)を見ると,事務方から提出された資料とともに,時代の変化に合わせた「差止請求権の在り方」や「裁定実施権制度の在り方」をはじめとして,様々な角度から極めて専門的な議論が行われているようである。中長期的視点に立って,多くの専門家が制度の根本を議論する本研究会が,最終的にどのような成果が出されるのか大いに期待される。 一方,公開されている本研究会概要を見て残念な点を一つだけ挙げるとすれば,今回の議論の出発点,前提となる日本の課題・問題点が明確に提示されていないことだ。単に50年ぶりの大改革というアドバルーンと,ふわふわした現状分析だけで,一体,現在の