視点を魏(ぎ)に転じ、もうひとつの落日賦(らくじつふ)を描いた篇外余録の3話目。 蜀(しょく)の諸葛亮(しょかつりょう)のたび重なる侵攻を防ぎきった魏の曹叡(そうえい)だったが、3代目のお約束にはまってしまう……。 篇外余録(3)の全文とポイント (01)三国、晋(しん)一国となる 孔明(こうめい。諸葛亮のあざな)の歿後(ぼつご)、魏は初めて、枕を高うして眠ることを得た。年々の外患もいつか忘れ、横溢(おういつ)する朝野の平和気分は、自然、反動的な華美享楽となって現れだした。 この兆候は、下よりまず上から先に出た。大魏皇帝の名をもって起工された洛陽(らくよう)の大土木の如きがその著しいものである。朝陽殿(ちょうようでん)、大極殿(たいきょくでん)、総章観(そうしょうかん)などが造営された。 また、これらの高楼、大閣のほかに、崇華園(すうかえん)、青宵院(せいしょういん)、鳳凰楼(ほうおうろう
![吉川『三国志』の考察 篇外余録(3)「魏から――晋まで(ぎから――しんまで)」](https://cdn-ak-scissors.b.st-hatena.com/image/square/c7e6af8d3e893c4027de9b251d4164dfd534d03e/height=288;version=1;width=512/https%3A%2F%2Fsangokushi-biyori.com%2Fwp-content%2Fuploads%2F2020%2F08%2FYK-10-314r.jpg)