日本には、長い歴史の中で、幾度も天変地異に遭っている土地が存在する。 そういう場所には先人が災害を示唆する地名をつけていることが多い。 つまり地名を知れば、災厄を予見し、我が身を守ることもできるのだ。 だがそうした地名は、時の流れの中で名称が変わってしまい、表面的にはその危険性がまったくわからなくなってしまっている土地もある。 自由が丘をはじめ、日本全国には「○○が丘」や「○○台」、あるいは「希望」や「光」といった 明るい意味の単語を使った地名は数多い。そのほとんどは近年つくられたばかりの新興住宅地。 ところがそうした場所は、古い地名が災害と関係していることがしばしばある。 そう語るのは「地名情報資料室」を主宰し、『この地名が危ない』(幻冬舎新書)などの著書をもつ地名評論家の楠原佑介氏だ。 「新地名が一つ誕生すると、少なくとも数個の旧地名が抹消されます。そうなるとその土地に根付く伝承、それ