親子と配偶者に限り、優先的に臓器提供が可能となる改正臓器移植法の親族優先提供が17日に施行された。これまで提供先は不特定の第三者だったことを考えると、限定的とはいえ身内に臓器提供ができるようになる意味は大きい。しかし、移植医療の現場に親族への「感情」が入り込むことで、想定外だった問題が起き、移植医療が停滞する危険性も指摘される。いわば“もろ刃の剣”で、制度の運用には慎重な対応が求められている。(蕎麦谷里志) 「例えば脳死になった人の子供が拡張型心筋症だった場合、親の心臓が子供ではなく第三者に行くのはいくらなんでも忍びない」 改正法の提案者、河野太郎衆院議員は、親族優先提供を盛り込んだ思いを説明する。生体間の移植だが、自身も父の河野洋平前衆院議員に肝臓を提供した経験を持つ。 他人よりも親しい家族を救いたいというのは自然な感情だ。しかし、親族優先提供は臓器移植法の基本理念である「移植機会の公平