騙されていたのか 東芝は5月15日、監査法人からの監査意見を得ないまま2017年3月期の「連結業績概要」を発表した。米原子力子会社ウェスチングハウスの米破産法申請に伴う損失などで、最終損益は9500億円の赤字(前の期は4600億円の赤字)となった。製造業としては過去最悪の赤字決算で、5400億円の債務超過に陥った。 決算発表時に監査意見を得ていないケースがないわけではないが、そうした企業は6月末の有価証券報告書提出期限までに「無限定適正」意見を得られるメドが立っている場合がほとんど。これに対して東芝は、6月末までに適正意見を得ることがほぼ絶望的と見られているにもかかわらず、決算の公表に踏み切った。まさに異例中の異例の展開と言っていい。 監査制度は、会社から独立した第三者の専門家である公認会計士が、企業が作った決算書が正しいかどうかを「証明」するもの。つまり、東芝の9500億円の赤字という決