理化学研究所(理研)は米The University of Illinois at Chicago(UIC)と共同で,単一分子と金属電極間の接合状態を可逆的に制御することに世界で初めて成功したと発表した(発表資料)。現在,大量の情報を高速に処理する次世代の素子として,単分子のスイッチやトランジスタが期待されている。有機単一分子素子には,半導体や金属の素子では実現が難しい機能や電気伝導特性を任意に設計できる利点がある。今回の成果は,こうした単分子素子の開発につながると,理研は説明した。 理研とUICの研究グループは今回,有機分子としてイソシアニド(NC)の末端基を持つメチルイソシアニド(CH3NC:MeNC)を,金属電極として白金(Pt)を用いた。MeNCは,炭素原子(C)に局在する孤立電子対により,Ptの結晶表面(111面)に1本足で直立する形で吸着する。この状態で,水素(H)ガスを室温で