図書館の所蔵又は貸出が出版物の売上に与える影響に関する研究動向 国士舘大学政経学部:貫名貴洋(かんめいたかひろ) 1. はじめに 出版市場の売上減に歯止めがかからない。取次ルート経由の推定販売金額(1)は、2021年には書籍6,804億円、雑誌5,276億円、合計1兆2,080億円となり、書籍のピーク1兆931億円(1996年)、雑誌のピーク1兆5,644億円(1997年)、合計のピーク2兆6,564億円(1996年)から大幅な下落を示している(図1参照)。
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図書館の所蔵又は貸出が出版物の売上に与える影響に関する研究動向 国士舘大学政経学部:貫名貴洋(かんめいたかひろ) 1. はじめに 出版市場の売上減に歯止めがかからない。取次ルート経由の推定販売金額(1)は、2021年には書籍6,804億円、雑誌5,276億円、合計1兆2,080億円となり、書籍のピーク1兆931億円(1996年)、雑誌のピーク1兆5,644億円(1997年)、合計のピーク2兆6,564億円(1996年)から大幅な下落を示している(図1参照)。
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2014年4月21日、インプレスR&D社国立国会図書館(以下NDL)のパブリックドメイン古書のオンデマンド印刷版を、Amazon及び三省堂書店で販売開始すると発表しました。これはNDLがインターネットですでに公開している「近代デジタルライブラリー」の350,000冊の書籍データのうち、著作権保護期間を経過してパブリックドメインとなったコンテンツに限り、紙の本として販売するというものです。 インプレスグループで電子出版事業を手がける株式会社インプレスR&D(本社:東京都千代田区、代表取締役社長:井芹昌信)は、スキャニングデータ(画像)を印刷・製本可能なページデータに整形する技術により、国立国会図書館(NDL)のパブリックドメイン古書コンテンツをAmazon.co.jp「プリント・オン・デマンドプログラム」を通じたPOD書籍として販売を開始しました。 第一弾として、Amazon.co.jpでは
モノグラフ・クライシス(学術書の危機)とは、2000年代に北米の学術出版界をおそった現象をいう。ジャーナルの価格高騰と予算の削減のしわ寄せが、大学図書館の学術書(モノグラフ)購入費におよび、図書館が学術書を購入できない、学術書が売れない、そうして最終的には学術書の出版自体が危ぶまれる事態となった例のアレのことである。出版活動の持続性を担保する製造—販売−資金回収のサイクルが破綻した結果、北米では人文社会系学術書の主な発行元である大学出版部の活動が停滞したといわれている。活動停止にまで追い込まれる大学出版もすくなからずあった。たとえば、2000年にはアイオワ大学出版部が経営難でブラックウェルに売却されたし、ミシガン大学出版は独立して出版活動を継続するのが困難となったため図書館の傘下に組み入れられたし、最近ではミズーリ大学出版の廃止も話題となった。その他にもライス大学出版部が閉鎖、南メソジスト
アメリカで電子書籍が定着し始め売上げも伸びているが、いまだに大きな問題となっているのが、図書館での電子書籍の貸し出しだ。電子書籍は何年経っても劣化せず、基本的に1冊のデータでどこからでも何人でもアクセス可能なものなので、伝統的な紙の本の貸し出しとどう差別化を計っていくかので図書館側と出版社側のせめぎ合いというか、模索がおこなわれている。 この8月にアメリカ図書館協会(ALA)のデジタル・コンテント&ライブラリーズ・ワーキンググループから提言の形で、図書館と出版の電子書籍における条件を探った複数の電子書籍ビジネス・モデルが発表されたので、今回はそのモデルの紹介をしてみたい。 ※この記事の内容に、アメリカ図書館協会(ALA)のディレクター、キャリー・ラッセル氏へのインタビューをくわえたロングバージョンは、ブックジャム・ブックス編集部編の電子書籍、『ニューヨークの夜と文学ギャングたち』(BinB
出版状況クロニクル54(2012年10月1日〜10月31日) 先月ふれられなかったのだが、『週刊東洋経済』(9/8)が「『貧食』の時代」という特集を組んでいた。 サブタイトルは「壊れるニッポンの『食』」で、そのリードは次のようなものだ。 買物が困難になり、新型栄養失調に陥る高齢者。不健康な食生活の社会人、そして子どもも―。壊れゆく、わが国の「食」の現実。 特集の内容は3部に及ぶ。 1 は高齢者が置かれている「フードデザート(食の砂漠)」で、生鮮食料品の入手が困難な地域に住んでいる人々は910万人と推計され、その中でも深刻な状況にあるのは高齢者世帯であり、新型栄養失調や孤独死の原因にもなっている。 2 はビジネスマンのファストフードやコンビニ弁当などによるメタボの進行と「トクホ」(特定保健用品)への依存と被害。 3 は子どもの学校給食と食物アレルギー。 つまり日本は「飽食」の時代どころか、か
マンガや書籍は店頭にない場合、書店から注文することができる。これは昔からある方法なので利用したことがある人も多いだろうが、ご存知のとおりすべての作品が必ず手に入るわけではない。 22日、こうしたマンガの流通と在庫をめぐる問題がTwitterの書店員やマンガクラスタの間で話題になった。 ■TLで話題に上がった「市中在庫」とは何か? 書店で注文しても入荷できないというとき、いくつかのパターンが考えられる。代表的なのは、いわゆる「絶版(=品切れ重版未定)」。出版社にもすでに在庫がなく、かといって重版する(新たに作品を作る)予定もないので手に入らないというケースだ。 だが、商品はあるのに手に入らないということもある。たとえば、「市中在庫」が多すぎる場合だ。 「市中在庫」というのは、書店にある在庫のこと。日本の場合、一般的に本が店頭に並ぶとき、出版社から委託販売されている形になり、売れなかった場合は
書籍の復刊は新聞書評に載らない仕事です。書評に取り上げられるのは、あくまで新刊書だけです。海外文芸作品の「新訳」なら取りあげられる可能性もなくはありませんが、復刊ではまず無理でしょう。また復刊書がベストセラーになることも滅多にありません。表舞台に背を向けた、決して「主役」にはなれない仕事です。しかし、だからこそ読者の願いを本当に叶えることのできる仕事でもあるのです。 「復刊ドットコム」の活動は今年で12年目を迎えます。これまで5000点以上の復刊を実現させてきました。「復刊ドットコム」で復刊を実現する方法は、二つあります。一つは私たちが出版社交渉によって「ネット書店」として実現する方法。もう一つは私たちが「出版社」として実現する方法です(下図を参照)。 全体では前者が八割、後者が二割の占有率です。前者は投票数というマーケティングデータから、すべて私たちがリスクを負う買切仕入れです。復刊では
公立図書館における書籍の貸出が 売上に与える影響について 【要旨】 我が国の著作権制度上、公立図書館において、非営利・無料で書籍類の貸出は、権利制 限規定により著作権者の許可なくして行うことができる。しかし、図書館における書籍の 貸出は売上を減少させるものであるとして、一部の諸外国において制度化されている、図 書館が貸出を行う代わりに著作権者に報酬請求権を認める、いわゆる「公共貸与権」の導 入を求める要望が著作権者側から挙がり、1990 年代末から同制度の導入の是非を巡り議論 が交わされたが、統計的な分析にまで議論が及んだものはなかった。 本論文は、計量経済学に基づく統計的分析手法を用いて、図書館における書籍の貸出が 書籍の売上に与える影響を明らかにすることを目的とする。分析の結果、むしろ図書館に おける書籍の貸出によって、売上が総計としては増加していることが分かり、貸出が売上 を減少させ
■今週最初の新着品は文字通りニュース。いえこの記事を売るわけではありません。「活字」をめぐる現況についてのご報告とお願いです。というのも、おかしい。絶対におかしいと思うからであります。一部ではあれ、活版印刷に注目する人が増え、Adanaや手フートの一般の人の需要が途切れることなくあり、体験講座などもさまざまな形で開催されているというのに。和文から欧文まで、さまざまな書体、あらゆるサイズの活字について鋳造から販売まで、国内で最も豊富に供給してきた「名古屋活版地金精錬所」が、現在、廃業の危機にあり、しかも直近の6月には最終的な態度を決めるのだと云って、現状や経緯がつい先日、中日新聞に取り上げられたというのに。ネット上では全くと云ってよいほど話題になっていない! 大事件だというにも関わらず。これはおかしい。 故障した時に部品だけでも取れるようにと集められた活字鋳造機、晃文堂の欧文活字を含む貴重な
東京大学は、アップル社のiTunes® Uにて、EPUB電子書籍「東大発2012」を無償公開いたしました。この電子書籍は、2011年度に本学教養学部開講された授業「メディア創造ワークショップ」の成果物です。EPUBに対応したiPhone、 iPad等の携帯電話、電子端末で閲覧することができます。 「東大発2012」ダウンロードサイト http://itunes.apple.com/jp/course/dong-da-fa2012/id518239744 東京大学は、グローバルな人材競争、研究競争に耐えうる「タフな東大生」を育成するため、様々な教育基盤・研究基盤の整備を行っています。「タフな東大生」の育成には、多様な学習経験が必要となります。その一つとして企画されたのが、講義「メディア創造ワークショップ」です。 「メディア創造ワークショップ」は、「働く」というテーマに基づいて、学生がグループ
23世紀を舞台にしたSF漫画「てきぱきワーキン・ラブ」に、登場人物が図書館で「2013年に刊行された、最後の紙の版の百科事典」を手に取る場面がある。もちろんこの時代には書籍はすべて電子化され、紙の本は消滅しているという設定だ。 そんなワンシーンが現実のものになるかも知れない。百科事典の代名詞「ブリタニカ百科事典」が2012年3月13日、書籍版の刊行を打ち切ることを発表したのだ。 90年代を境に苦境続く 百科事典の歴史は1751年にフランスで刊行を開始した「百科全書」に始まるとされる。ブリタニカはそれから間もない1768年に誕生し、以来244年にわたり15版を重ねた。しかし最近では、書籍版の販売部数が20年前の10分の1にまで落ちこむなど、不振が目立っていたという。 ブリタニカのほか、アメリカを代表する「アメリカーナ百科事典」も2007年の改訂以来、書籍版の刊行を中断中だ。「紙の百科事典」に
角川書店、アスキー・メディアワークス、エンターブレイン、角川学芸出版、富士見書房、メディアファクトリーなどのグループ傘下の全出版社が契約を締結した。契約では、アマゾンが今後日本で発売するキンドル上で、グループ傘下の出版社が提供する電子コンテンツを販売するほか、同サービスが対応しているPCや各種スマートフォンなどに配信する。「価格決定権」はアマゾン側が持つ。両社は、約1年にわたり交渉を続けていた。 大手出版社で契約したのは同グループが初めてとなる。
アマゾンはKindleの日本開店を延期(EB2 Magazine, No. 2-15)したようだが、難航する交渉の背景には、出版社の抜きがたい警戒心がある。デジタル時代をひた走り、すでに比率が20%を超えたと思われる米国でも、最大の書店アマゾンに対する警戒、あるいは憎しみは高まっている。アマゾンは出版社にとって何なのか。これまで大手関係者の声ばかりが伝えられてきたが、そればかりを聞いていては認識を誤るだろう。 今年も欧米出版界の最大のキーワードは「アマゾン」だった。アマゾンはKindleをばら撒いて価格破壊を進め、図書館に貸し出し、街の書店を“ショールーム”に使って顧客を奪い、有名作家と独占契約して出版事業を立ち上げた。著作権者と消費者以外のエコシステムを無視するかのような行動は、プレデター(捕食者)のように言われることが少なくない。しかし、アマゾンは同時にデジタル出版市場を創造し、自主出
静岡大学発のITベンチャー「静岡学術出版」が、学術論文や絶版になった書籍を電子書籍化し、低価格で出版・復刻するサービス「新電子出版 知の偉産シリーズ」を開始した。電子書籍化の価格は1冊あたり5万円。出来上がった電子書籍は、ネット小売り最大手「アマゾン・ドット・コム」や同社のウェブ書店で、1冊500円程度で販売されるという。 同社によると、博士・修士論文は毎年、合計約10万件が作成されているが、そのほとんどは出版されず、大学図書館などに眠ったままになっている。同社では、これまでも紙での自費出版を1000部約50万円で請け負ってきたが、「長い年月や費用をかけた研究成果が、人の目に触れずに埋もれるのは大きな損失。もっと低価格で提供したい」として、電子書籍での出版サービス開始を決めた。 同社では著者から提出された原稿をDVDなどに移し、表紙や奥付のデータを付けて電子書籍化する。経費削減のため、カバ
本場カジノの臨場感をそのまま味わえる遊雅堂のライブカジノ(https://www.yuugado.com/livecasino)がおすすめ! ギャンブルやバカラの本は人気上昇中です。ギャンブルに関する本の出版社を無視してギャンブルについて語ることはできないでしょう。こういった本は、読み出すと本当に面白いものです。世界中には多くの出版社があり、その数を数えたり、ひとつひとつ解説するのは不可能です。しかしここでは、ギャンブルに関する良質な書籍を出版している人気の出版社をご紹介します!他にもご紹介したい出版社はたくさんありますが、ここでは数社に限定しています。 (more…) 本場カジノの臨場感をそのまま味わえる遊雅堂のライブカジノ(https://www.yuugado.com/livecasino)がおすすめ! ギャンブルやバカラの本は人気上昇中です。ギャンブルに関する本の出版社を無視してギ
先日phaさんの「電子書籍とブログって何が違うの?」という文章を読み、最初そのタイトルに違和感を覚え、そりゃ全然違うだろうと内心突っ込んだのですが、よくよく考えるとそうとも言えない。思えばこのタイトルと同じ問題意識を何度も文章にしている人を自分も知ってるじゃないかと思い当たりました。それは『クラウド化する世界』などの著書で知られるニコラス・G・カー(Nicholas G. Carr)です。 phaさんが問題としているのは主にコンテンツの流通と課金ですが、カーはそれだけでなく本を本たらしめるものは何か、それは電子書籍によってどう変わるのかということにフォーカスしており、こちらのほうがより普遍的な問題でしょう。本文ではカーの文章を紹介しながら「本」と「インターネット」の間の一線について考えてみたいと思います。 本の「アプリ」化 まずiPad発売と同時期に書かれた「The post-book b
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