作家・長谷川伸は幕末の「赤報隊」隊長・相良総三の軌跡を追い、草莽の志士たちの生死をたどることで「歴史」というものの姿をあらわしました。明治維新について記された書物はあまたありますが、その叙述の志の高さにおいて本書をこえるものはまずないでしょう。軽薄で声高な「改革史観」がはびこりつつある昨今、「偽官軍」の悲劇をあますところなく描いた本書がふたたび多くの読者に迎えられることを切望します。 相楽総三は幕末に尊王攘夷の志をもち、薩摩の西郷隆盛らと往来して倒幕運動に従事した男です。戊辰戦争の際には「赤報隊」を結成。「年貢半減」を掲げて東山道を進軍していったところ新政府の方針変更(裏切り)によって「偽官軍」とされ下諏訪で刑死しました。享年30。 作家・長谷川伸は相楽の軌跡を追い、草莽の志士たちの生死をたどることで「歴史」というものの姿をあらわしました。明治維新について記された書物はあまたありますが、そ