アルバニアの首都ティラナの事務所で私たちのインタビューに応じた同国のエディ・ラマ首相は、絵の具がうっすらと付いたデニムの作業シャツにジーンズ姿という、自らが「絵かき服」と呼ぶ装いで現れた。 ラマは休日の朝を、友人のアトリエで過ごしていた。2013年に首相に就任する前、最初のキャリアを画家とスタートさせた彼は、今でも1か月に一度はこうして絵を描いている。 首相として、汚職がはびこる欧州最貧国のアルバニアを暗黒時代から解放し、2025年に予定される欧州連合(EU)拡大の候補として、念願の加盟交渉にたどり着くまで国を率いるのは、並大抵のことではなかった。 欧州への道 アルバニアが正式にEU加盟を申請したのは2009年。加盟候補国の地位が与えられたのは2014年だ。EUは、加盟交渉を始める上での5つの主要条件を提示した。行政制度改革、司法制度改革、腐敗の撲滅、組織犯罪の撲滅(麻薬取引と大麻栽培の取