習近平体制がスタートした。新しい中国のリーダーは難しい舵取りを迫られるだろう。中国はひとつでも判断を誤ればたちまち内戦状態へ突入する不安定な状態にある。ジャーナリストの富坂聰氏がリポートする。 * * * 江沢民、胡錦濤時代に繁栄を謳歌した中国だが、強引な開発、投資による経済成長のツケを払う時期にさしかかっている。 尖閣諸島の国有化をきっかけに中国の各都市で発生した反日デモでは、日本車に乗っている者への暴行や悪質な破壊行為を理由に事件後まもなく29名が指名手配された。その全員が若い世代で無職だった。 デモの様子をテレビで見た日本人のなかには「それが井戸を掘った人に対する礼儀か」と憤った人が多かったようだが、歴史的経緯をきちんと把握しているインテリ層はデモの時、黙って家にいたのだ。デモはそんなことを考えたこともない若年貧困層が主体となっている。 その暴れる下層こそ、中国共産党が最も恐れる存在