アイヌのイナウとイクパスイの起源をめぐって行ってきた一連の考察の、これが決定打である。 アイヌ語には隣接する日本語からの借用語は多くないとされる。しかし例外的に祭儀にかんしては日本語からの、それも古代日本語からの借用語が多くみられる。それはたとえばカムイ(神)・タマ(魂)・ノミ(祈む)・オンカミ(拝み)・ヌサ(幣)・タクサ(手草)・シトキ(粢)といったものであり、そこでアイヌ語学の中川裕は、アイヌ社会には古代日本の宗教・儀礼そのものが入ってきたのではないか、と指摘しているのである(中川2010『アイヌ語のむこうに広がる世界』グループSURE)。 このような祭儀にかかわる核心的な概念が受容されるにあたっては、伝播といった間接的影響にとどまらない、日本の祭儀を担った集団との濃密な交流を想定しなければならないが、北海道には7世紀後葉から9世紀にかけて東北北部から移住が行われ、石狩低地帯を中心に在
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